54「第三話 獣使い」私たちは対策を講じる。
書き直しがうまく進みません。
そのため5月14日(日)まで投稿をお休みさせていただきます。
と、宣言いたしましたが再度延期させていただきます。
申し訳ございませんが、どうぞよろしくお願いいたします。
「私がやってみる」
「なら、私も試してみるか……」
高見澤ヨウコがきいの問いに返事をし、寸沢嵐ひばりもそれに応えた。
そしてそれぞれ相棒のヤマトとキイを操る。
ヨウコはヤマトを高空まで一気に飛翔させ、そこで急降下させる。
勢いをつけたヤマトはその鋭い爪でヒュドラの頭のひとつ、正確には目を抉った。
寸沢嵐ひばりはヨーロッパオオヤマネコのキイに指示を出し、ヒュドラの頭の一つの喉元に喰い付かせた。
すると、ヤマトの攻撃を受けた頭も、キイの攻撃を受けた頭も黒い霧が発生し霧散する。つまり消滅である。
「ああっ。やったよっ!」
きいが喜びの声を上げる。
が、次の瞬間に一度散った霧がまとまり始め、やがて再び頭が形成される。
つまりなくなった頭部が元に戻ったのである。
「……再生能力。やっかいね」
三ケ木ゆうが舌打ち混じりにそう告げた。
元々キクガシラコウモリの群れが集まってできている肉体だ。
それぞれが分離しても、また戻れば身体は再生できる理屈である。
「まさか同時に全部の頭を潰さないと再生するのか?」
寸沢嵐ひばりが心底嫌そうな顔でそう尋ねた。
「いいえ、それは伝説です。……二年前に私たちが戦った大蛇も頭が再生する能力を持っていました。ですが力押しで攻め続けた結果、倒すことはできました。……できましたが……」
答えたヨウコはそこで無言になった。
二年前の生忌物との戦いでは初代のシナノと最愛の勇平を失ったからだ。
力押しの殴り合いとなったことで、シナノと勇平が強力なダメージを受けてしまったのだ。
「……ああ、待ってください」
突然に三ケ木ゆうが叫んだ。
ゆうは先日、曽祖父の又一との会話を思い出したのだ。
それは今、ゆうが手にしているガルーダの太鼓を曽祖父がインドネシアでもらった際の話だ。
金色の巨大オランウータンに助けられて屋敷で静養しているときに、襲撃してきた巨大なジェヴォーダンの獣をオランウータンの群れが退治したときのことである。
確か、老人の命令を受けたオランウータンたちはジェヴォーダンの獣の背に乗り、両手でその生忌物を構成していたネズミたちを身体から引き剥がし、手で握り潰して撃退したはずだったのだ。
「――生忌物は小動物の集合体です。だとすれば一匹一匹を潰していけば最後には必ず倒せると思うんですが」
「……なるほどな。だとすると私と高見澤で頭たちを牽制して、その間に三ケ木と千木良の相棒で本体のキクガシラコウモリたちを順々に潰していけば……勝てるな」
寸沢嵐ひばり、高見澤ヨウコ、三ケ木ゆう、千木良きいの四人は互いに頷いた。
そしてそれぞれの作戦を始めるのであった。
よろしければなのですが、評価などしてくださると嬉しいです。
私の別作品
「いらぬ神に祟りなし ~少子化問題解決します~」連載中
「夢見るように夢見たい」連載中
「四季の四姉妹、そしてぼくの関わり方。」完結済み
「固茹卵は南洋でもマヨネーズによく似合う」完結済み
「甚だ不本意ながら女人と暮らすことに相成りました」完結済み
「墓場でdabada」完結済み
「甚だ遺憾ながら、ぼくたちは彼の地へ飛ばされることに相成りました」完結済み
「使命ある異形たちには深い森が相応しい」完結済み
「空から来たりて杖を振る」完結済み
「その身にまとうは鬼子姫神」完結済み
「こころのこりエンドレス」完結済み
「沈黙のシスターとその戒律」完結済み
も、よろしくお願いいたします。