48「第三話 獣使い」私たちは決意する。
【毎日昼の12時に更新します】
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そのため書き上げてからの投稿となるので一日一回の更新となります。
すみませんが、よろしくお願いいたします。
「他になにか書かれているかもしれないわ……」
ゆうが香奈恵のノートを手に取った。
ノートの表紙には数字で4と書かれている。
「4と言うことは四冊目って意味かしら?
だとしたら一冊目、二冊目、三冊目があるってことよね?」
「そうだねっ。探してみようよっ」
ゆうの問いにきいは返事をし、机の周りを探し始める。
「あったわ」
ヨウコが机脇の書棚にならんだ書籍の中からノートを三冊見つけた。
それを調べると確かに表紙に、1、2、3とそれぞれ書かれていた。
1の表紙には二年前の日付があり、開いてみると序文とも言える文章が書かれてあった。
『――私が失踪してしまったときには、このノートに書かれた内容を元に行動をして欲しい。願わくばこれを読むのが生忌物倶楽部のメンバーであって欲しい――』
きいとゆう、ヨウコ、寸沢嵐先生は息を呑んだ。
「私が読もう」
そう言って寸沢嵐先生は一冊目から目を通し音読を始めた。
内容は、やはりシナノの飼育に関しての記述がほとんどであったが、それ以外にも驚異すべき事柄も書かれてあった。
――私が行方不明となったときは森の奥にある祠に向かっているだろう。
そのときの私は意識も意思もなく、夢遊病者のようにふらふらと歩いているはずだ。
そうなったときの私を止めてほしい。
――そのときの私は敵対的な行動を取る可能性が髙い。
そのことから戦闘力のある相棒を伴った人物に止めてもらいたい。
生忌物倶楽部のメンバーを希望するのはそういう理由からだ。
――祠への地図はこのノートに記載した。
この祠へ来てもらえば、生忌物に関する真実を伝えられると考えている。
鉛のような重い空気が部屋を支配した。
しばらくの間、誰もがなにも口にできなかったのだ。
「……行こうよっ! そして大月さんを見つけて助けようよっ!」
こんなときでもいちばん最初にポジティブな考えができるのは、やはり千木良きいだった。
「そうね。幸い私たちの相棒は強いし……」
そう返事をしたのは三ケ木ゆうだ。
「……生忌物倶楽部のメンバーはここにひとりいるわ」
生忌物倶楽部の残存メンバーである高見澤ヨウコもそう答えた。
「仕方ない。生忌物絡みで警察は頼めない。私たちが行くしかないだろうな……」
そう締めくくったのは寸沢嵐先生だった。
そして、きいはムサシ、ゆうはシナノの待つ廊下へと行く。
ヨウコは肩にヤマトを乗せた。
そして寸沢嵐先生はヨーロッパオオヤマネコを呼び寄せたのであった。
よろしければなのですが、評価などしてくださると嬉しいです。
私の別作品
「いらぬ神に祟りなし」連載中
「四季の四姉妹、そしてぼくの関わり方。」完結済み
「固茹卵は南洋でもマヨネーズによく似合う」完結済み
「甚だ不本意ながら女人と暮らすことに相成りました」完結済み
「墓場でdabada」完結済み
「甚だ遺憾ながら、ぼくたちは彼の地へ飛ばされることに相成りました」完結済み
「使命ある異形たちには深い森が相応しい」完結済み
「空から来たりて杖を振る」完結済み
「その身にまとうは鬼子姫神」完結済み
「こころのこりエンドレス」完結済み
「沈黙のシスターとその戒律」完結済み
も、よろしくお願いいたします。