44「第三話 獣使い」私たちは背に乗り牛舎へと目指す。
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そのため書き上げてからの投稿となるので一日一回の更新となります。
すみませんが、よろしくお願いいたします。
――ワウ――
すると短く一言だけ吠えたシナノは、その野球グローブのような大きな両手で施錠鍵である大きな南京錠を掴んだのだ。
バキッ……!
ものの十秒もしないうちに、その太い指が南京錠の輪っかを引きちぎった。
そして自ら扉を開けて、シナノは身の丈三メートルはあるその巨大な身体を通路の廊下へと出したのであった。
ゴトリと硬い音がして南京錠は床に落ちた。
そのちぎられた断面を見てもシナノの怪力が相当なものだとわかる。
だが、いくらシナノだとしてもこう簡単に鍵を破壊できる訳がない。
それならば鍵の意味がなく、ちゃんとシナノの腕力を考慮して用意された大型南京錠であったからだ。
シナノが容易に鍵を壊せた理由。
それはゆうが演奏する太鼓に秘密があった。
ゆうが使うガルーダの太鼓にはサルが本来持っている筋肉の潜在能力を引き出す力がある。
先程、部屋でワオキツネザルのジャンボが八メートル以上も跳躍できたこともそれだ。
ゆうはそのことを知っていたことで、シナノに鍵の破壊を命じたのであった。
「さあ、行きましょう!」
ゆうがきいにそう告げた。
そのときだった。
「ちょっと待ってっ。乗せてもらおうよっ!」
きいがそう提案してきたのである。
「乗せてもらうの?」
「うんっ。ムサシ、お願いっ!」
きいはそう言うとムサシの背にヒラリと乗った。
馬に乗るのと同じ要領である。
「……そうね。じゃあ、私も。……シナノ、お願い」
そう言ったゆうは四足状態になっているシナノの背に乗ったのだ。
「じゃあ出発っ!!」
きいの合図でムサシとシナノは走り出した。
「確かに私たちが走るより速いわね」
人より遥かに速い速度でムサシとシナノは奥へ奥へと通路を走って行くのであった。
■
記憶していた見取り図の通り通路の角を右に左へと曲がる。
「次の角を右に曲がれば牛舎よ」
ゆうの指示でムサシとシナノは角を右折し、そしてとうとう牛舎へと到着したのであった。
「ああっ! 大変だっーーー!!」
牛舎内の状況を見て、きいが叫び声を上げたのであった。
そこでは大騒動が起きていた。
牛舎は天井が高く広々としていたのだが、その天井までもモウモウとした埃で満たされていて視界が悪くなっていたのである。
これはウシたちが大暴れして、敷きワラが埃となって辺り一面巻き散らかさせれていたからであった。
そしてモウッーっと言うウシたちの叫び声が充満し、誘導しようと奮闘している人たちの姿が埃の中でうっすらとシルエットとして見えている。
ピィーーーーーッ。
そんなとき甲高い啼き声が響いた。
見ると天井付近に巨大な鳥が眼下を伺いゆっくり旋回しているのが見えたのだった。
よろしければなのですが、評価などしてくださると嬉しいです。
私の別作品
「いらぬ神に祟りなし」連載中
「四季の四姉妹、そしてぼくの関わり方。」完結済み
「固茹卵は南洋でもマヨネーズによく似合う」完結済み
「甚だ不本意ながら女人と暮らすことに相成りました」完結済み
「墓場でdabada」完結済み
「甚だ遺憾ながら、ぼくたちは彼の地へ飛ばされることに相成りました」完結済み
「使命ある異形たちには深い森が相応しい」完結済み
「空から来たりて杖を振る」完結済み
「その身にまとうは鬼子姫神」完結済み
「こころのこりエンドレス」完結済み
「沈黙のシスターとその戒律」完結済み
も、よろしくお願いいたします。




