41「第三話 獣使い」私たちは動物たちをなだめる。
【毎日昼の12時に更新します】
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そのため書き上げてからの投稿となるので一日一回の更新となります。
すみませんが、よろしくお願いいたします。
千木良きいと三ケ木ゆうの二人は着替えを終えた。
そして着替え終わったゆうの肩にワオキツネザルのジャンボが飛び乗るのを見た。
「……そっか。もしかしたらもあるし……。
ムサシも行こうよっ」
きいはムサシを連れ出すことにした。
ゆうはそれを見たときに、ふと考えた。
これから見回りに行くのは自分たちが昼間、世話した鶏舎とウサギ舎だ。
そんなところに巨大肉食獣のムサシを連れて行くのは逆効果だと最初考えた。
しかもその奥の獣舎には巨大オランウータンのシナノもいるはずだ。
ムサシをシナノに近づけても大丈夫なのだろうか? とも思った。
だが、なにか異変が起きているのであればムサシの力は絶対に必要である。
「……そうね。ムサシは連れて行った方がいいかもね」
ゆうもそう判断することにしたのだった。
そしてきいとゆうはムサシを連れて廊下を進み、渡り廊下を超えて動物舎に向かった。
昼間作業した鶏舎とウサギ舎に到着したのは五分後だった。
ムサシはニワトリとウサギを刺激しないように入り口外で待機させた。
「わあ、大変だあっ」
やはり想像していた通りにニワトリやウサギたちは大騒ぎであった。
片隅に怯えて固まっているおとなしい群れも一部いるのだが、そのほとんどが落ち着かずグルグルと柵の中を走り回っている。
しかも各匹がバラバラに行動しているので逆走しているものにぶつかって転倒したりしているものも多数いるのだ。
このままでは怪我をするだけじゃなくて、更にパニックが進めば脱走するものも出るかもしれない。
「私はウサギを見るわ。きいはニワトリをお願い」
「わかったよっ」
きいはゆうの指示に従いニワトリの檻の中へと入る。
中は、コケッコケッと大騒ぎする群れで大混乱であった。
「ダメだよっ。静かにしてっ」
暴れる群れの中の一羽を捕まえて檻の片隅に置く。
するとそのニワトリは落ち着いた様を見せるが、それも一時ですぐさままたコケッコケッと鳴き出して羽ばたきながら走り回ってしまう。
「ダメだよっ。ぜんぜんニワトリたちがおとなしくならないよっ」
通路向こうの檻からゆうに聞こえるようにきいが叫ぶ。
見るとウサギ舎の方も鶏舎と同様で大混乱しているのがわかった。
「きい、いっそのことムサシを呼んだほうがいいかも。
ムサシを見せれば怖がってかえっておとなしくなるかもしれないわ」
「そうだねっ」
ゆうの提案にきいは返事をした。
そして鶏舎を出て入り口外に戻り、ムサシを連れてきたのであった。
「……嘘みたいだわ……」
ゆうが予想外の効果に驚く。
「怯えているけど、みんな大人しくなったねっ」
あまりにも効果覿面だった。
ムサシの巨体を檻の通路に登場させただけで、ニワトリたちもウサギたちもすべて檻の奥に固まっておとなしく震えているだけになったのだ。
「とりあえずは解決かしら?」
「これでいいと思うよっ」
二人が安堵した、そのときだった。
緊急事態を告げる放送が館内に鳴り響いたのだ。
『寸沢嵐だ。牛舎が大変なことになっている。
手の空いた生徒たちは支給、牛舎に集まってくれ!』
寸沢嵐先生からの応援要請が入ったのだ。
「大変っ。ゆう、行かなくちゃっ! ムサシも連れて行くよっ」
湘南農業高校での事件のこともあった。
あのときはムサシがウシの暴走を止めたのだ。今回も必要があるかもしれない。
壁にある館内見取り図を見ると、このまま通路奥へと向かって行くのが近道だとわかった。
その経路の途中には昼間会ったシナノの獣舎もある。
「……待って。ちょっと考えがあるの」
急ごうとするきいに、ゆうが提案を始めたのであった。
よろしければなのですが、評価などしてくださると嬉しいです。
私の別作品
「いらぬ神に祟りなし」連載中
「四季の四姉妹、そしてぼくの関わり方。」完結済み
「固茹卵は南洋でもマヨネーズによく似合う」完結済み
「甚だ不本意ながら女人と暮らすことに相成りました」完結済み
「墓場でdabada」完結済み
「甚だ遺憾ながら、ぼくたちは彼の地へ飛ばされることに相成りました」完結済み
「使命ある異形たちには深い森が相応しい」完結済み
「空から来たりて杖を振る」完結済み
「その身にまとうは鬼子姫神」完結済み
「こころのこりエンドレス」完結済み
「沈黙のシスターとその戒律」完結済み
も、よろしくお願いいたします。




