36「第三話 獣使い」私たちは立入禁止に侵入する。
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そのため書き上げてからの投稿となるので一日一回の更新となります。
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ガラス戸を開けると、そこには左右が大きな檻が設置され並んでいる通路だった。
空調はしっかりとしているが、それでもさまざまな動物の臭いがまじり慣れていない人には不快に感じる異臭が漂っていた。
だが、千木良きいと三ケ木ゆうはもちろん動物には慣れているのでまったく問題ない。
そして鳥や獣の蠢く音、かすかな鳴き声なども聞こえてきたのであった。
「さっきの鳴き声と違うねっ?」
ウォーン。と聞こえてきた動物の声と今聞こえてくる鳴き声は違った。
「もっと奥の方かしら?
……でも、どうしようかしら?」
そう答えたゆうだが、目の前の立て札を指さして困り顔になる。
そこには『関係者以外立入禁止』と書かれてあったからだ。
そしてきいとゆうは思案顔になる。
関係者とはもちろんこの研修センターの関係者を指すのだろう。
ここには一般の見学者も数多く訪れる施設なので、そこで線引しているはずだ。
だが、そこで考えるのが自分たちはどっちなのか?
と、言うことだ。
自分たちはここの施設の職員ではない。
それは間違いないのだが、かと言って一般の見学者では絶対にない。
一般の見学者ではないから、朝からこうやって汚れ着を着て獣舎の清掃を行っているのだ。
そのための道具も使っているし、トイレやシャワー室を使うのも許されている。
「ねえ、私たち、きっと関係者でいいんだよっ」
自分の願望を十分に踏まえた判断をきいがする。
「そうよね? だって施設で寝泊まりしてるんだし、関係者よね?」
ゆうも自分に都合の良い判断を下した。
そして二人は立て札の脇を通り、更に奥へと進んでいくのであった。
「……ここは動物の檻って言うよりも鉄格子こそあるけど人が暮らせそうね?」
ゆうが奥まで到着したときにそう言った。
見るとゆうが言う通りで、清潔に見える鉄格子の中は十畳ほどの広さがあり、ソファがあり、テーブルと椅子があり、テーブルの上には皿やフォークなどの食器類まで置かれているからだ。
もしかすると刑務所より快適かもしれないと思えるほどだった。
「でもなにもいないねっ? なんの動物が入る場所なんだろっ?」
きいが鉄格子を手で掴み、なにか見えないかと中を伺う。
そのときだった。
檻の中の奥の壁にある扉がガチャリと開かれたのであった。
よろしければなのですが、評価などしてくださると嬉しいです。
私の別作品
「いらぬ神に祟りなし」連載中
「四季の四姉妹、そしてぼくの関わり方。」完結済み
「固茹卵は南洋でもマヨネーズによく似合う」完結済み
「甚だ不本意ながら女人と暮らすことに相成りました」完結済み
「墓場でdabada」完結済み
「甚だ遺憾ながら、ぼくたちは彼の地へ飛ばされることに相成りました」完結済み
「使命ある異形たちには深い森が相応しい」完結済み
「空から来たりて杖を振る」完結済み
「その身にまとうは鬼子姫神」完結済み
「こころのこりエンドレス」完結済み
「沈黙のシスターとその戒律」完結済み
も、よろしくお願いいたします。




