33「第三話 獣使い」私は浴場で人の好みを知る。
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そのため書き上げてからの投稿となるので一日一回の更新となります。
すみませんが、よろしくお願いいたします。
そして身体を洗い終えた千木良きいと三ケ木ゆうはともに巨大な千人風呂に浸かった。
手足を伸ばし後頭部を湯船の縁に乗せて、はあぁぁぁ、と気の抜けた声を出す。
「気持ちいいねっ?」
「そうね。学校の寮のお風呂も広いけど、やっぱりヒノキの湯船で温泉っていうシチュエーションが最高ね」
くつろぐ二人の正面に高見澤ヨウコがいた。
ヨウコはひとりだった。
目を閉じて瞑想している様子にも見える。
するとそれを見たきいがジャブジャブと水音をたててヨウコに近づくのであった。
「……なに?」
音に気づいたヨウコが目を開けて、きいに問いかけた。
「ヨウコちゃんに質問があるんだけどっ」
「なに?」
「ヨウコちゃんはどうして背が高くてカッコいいの?
どうしておっぱいが大きくて色っぽいの?」
「……はあ?」
「私、ヨウコちゃんみたいになりたいのっ!
秘訣があるなら教えてっ!」
これには言われたヨウコは面食らった。
そしてそれを聞いたゆうも同様だ。
内面の性格なり、学力なり体育なりなら教えようがあるだろうし、
アドバイスもしやすいだろう。
だが、発育の方法など伝えられる訳じゃない。
「……千木良さん。それ真面目に訊いているの?」
「うん。大真面目だよっ!」
天真爛漫。まっすぐな大きな瞳を直視してヨウコはのけぞった。
だが、我を失うほどのダメージではない。
「……それはあなたが私の外見が羨ましいと思っていると考えていいのかしら?」
「うん。そうだよっ。だってヨウコちゃん、カッコいいからっ」
するとヨウコは再び目を閉じた。
そしてしばらくそのまま思考している様子を見せていたのだが、やがて目を開いた。
「……それを言うなら、私は千木良さん、あなたが羨ましいわ」
「ふえ?」
「……私が好きな人は小柄で元気いっぱいの女の子が好みのタイプだといつも言っていたわ。
だから私はあなたの容姿が羨ましい。
……これが答えになったかしら?」
そこでやり取り一切を聞いていた三ケ木ゆうは、ハッとなった。
高見澤ヨウコが好きだったのは、あの津久井勇平だ。
今はもうこの世にはいないあの少年の好みのタイプが千木良きいだとヨウコは断言したのだ。
「……私が羨ましい? わかんないけどありがとう。
私、コンプレックスが多いから自分の容姿には自信なかったけど、美人のヨウコちゃんに言われて少し安心したよっ。私のことをかわいいと思ってくれる男の人もいたんだねっ」
わかったようで全然わかっていないきいだったが、ヨウコもゆうもここに至って微笑ましげにきいを見ているのであった。
■
入浴が終わり、きいとゆうは自室に戻っていた。
二人は備え付けの浴衣を着て、くつろいでいた。
部屋の中央にはムサシの巨体が横たわり、鼻をスンスン言わせて眠いのかうつらうつらしている。
そしてきいは濡れた髪をバスタオルで拭っていて、ゆうは長い髪をまとめてバスタオルで頭の上で巻いている。
どうやらドライヤーは髪が痛むのでなるべく使わないように最低限の水分をそれで吸っているようだった。
「ジャンボは元気だね~」
ゆうの相棒のワオキツネザルのジャンボは今はムサシの巨体の背に乗り軽業師のように飛んだり跳ねたりしている。
出会ったばかりの頃は巨大な肉食獣のムサシに恐れをなしてガタガタ震えていたジャンボだが、今はすっかり大の仲良しになっていた。
「きいに見せたいものがあるのよ。この太鼓よ」
そう言ったゆうはバッグから小さな太鼓を取り出した。
それは曽祖父がインドネシアで手に入れた神の鳥ガルーダが掘られた太鼓だった。
「ひいおじいちゃんからもらった太鼓だね。キレイ。鳥さんの彫刻がカッコいいよ」
「ありがとう。でもキレイなだけじゃないの。これは猿回しとしての能力を最大限に引き出してくれる神の楽器なのよ」
そう言ったゆうは太鼓の脇から付属の撥を取り出した。それにも細かい象嵌が施されていて名工の作品だと言うのがきいにもわかった。
よろしければなのですが、評価などしてくださると嬉しいです。
私の別作品
「いらぬ神に祟りなし」連載中
「四季の四姉妹、そしてぼくの関わり方。」完結済み
「固茹卵は南洋でもマヨネーズによく似合う」完結済み
「甚だ不本意ながら女人と暮らすことに相成りました」完結済み
「墓場でdabada」完結済み
「甚だ遺憾ながら、ぼくたちは彼の地へ飛ばされることに相成りました」完結済み
「使命ある異形たちには深い森が相応しい」完結済み
「空から来たりて杖を振る」完結済み
「その身にまとうは鬼子姫神」完結済み
「こころのこりエンドレス」完結済み
「沈黙のシスターとその戒律」完結済み
も、よろしくお願いいたします。




