32「第三話 獣使い」私は大浴場で現実を見る。
【毎日昼の12時に更新します】
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そのため書き上げてからの投稿となるので一日一回の更新となります。
すみませんが、よろしくお願いいたします。
「うわあっ。でっかいお風呂だねっ」
ムサシを伴って脱衣場から女湯の浴場へと入った千木良きいは驚きの声を上げた。
そこには千人風呂と呼んでも差し支えのない一辺二十メートル以上ある巨大な四角いヒノキの浴槽があったのだ。
そしてその横にはウマやムサシのような巨大な相棒を洗える直径五メートルくらいある円形の風呂も三つほどある。
相棒用の風呂にはウマなどが立ったまま入浴できるように支えとなる柱と梁も備え付けてあった。
「掛けっぱなしの温泉って話だわ」
きいと違ってタオルで身体を隠しながらの姿でワオキツネザルのジャンボを入ってきた三ケ木ゆうがそう告げた。
「温泉なのっ? スゴイねっ」
「ええ。東北の山奥なんだもの。温泉なのも別に珍しくないわよ。
……でも、温泉っていうだけでも十分嬉しいわね」
「うんっ。私、温泉大好きっ」
きいははしゃぐ。そしてムサシの長い顔の脇の毛を引っ張ってずんずんと進んで行く。
そして軽く身体を流した、きいとムサシはまずは相棒用の円形風呂へと向かった。
「こっちはちょっとぬるめだねっ」
相棒の動物には人間用の湯温では高すぎるので温度を抑えたものになっていた。
クゥーン……。
イヌは風呂が嫌いと言う話も多いが、ムサシは違った。
促されることもなく自分から円形風呂へと入り、身体を伏せて頭だけ湯から出した。
そして目を閉じて気持ちよさそうに鼻から甘え声を出していたのだ。
「ムサシっ。なんかオヤジくさくてかわいいよっ」
きいはそんなムサシが愛おしくて思わずジャンプして抱きついてしまう。
それがムサシも嬉しいらしく、きいの頬をペロペロと舐めるのであった。
「さあさあ、きい。相棒用のお風呂もいいけどこっちの人間用の広いお風呂にも入らない?」
洗い場で自分とジャンボの身体を洗っているゆうがそうきいに話しかけてきた。
「そうだねっ。広いお風呂に入ろうかな? でも私もまずは身体を洗うよっ」
広い洗い場でゆうの横の席についたきいはまずはシャワーを浴びてからシャンプーを手にして頭を洗い始める。
毛の長いゆうとちがってショートヘアのきいは男子が洗うのとさほど違いはなく、すぐさまに洗い終える。
そして真横の風呂椅子に腰掛けて体中泡まみれになっているゆうをしげしげと見るのであった。
「ねえっ?」
「なあに?」
「ゆうはどうしてそんなにおっぱいが大きいのっ? 私のとぜんぜん違うよっ」
三ケ木ゆうは思わずブホッと下品に吹いてしまった。
「な、な、な、なにを言うのっ? いきなり!」
「だってゆうって私と同い年じゃないっ? なのにゆうはもう大人の女の人より大きいよっ」
「ひ、ひとそれぞれなのよっ。同い年の女の子でも例えば高見澤さんは背が私たちよりずっと大きいでしょ? それと同じよ」
答えにくい質問をされたことでゆうは身を固くして泡立ったタオルで胸を隠す。
でも大きいので隠しきれない。
するときいは少し離れたところで身体を洗う高見澤ヨウコを見る。
ヨウコはちょうど体を洗い終えたようでシャワーで泡を流しているのが見えた。
「ヨウコちゃん。背だけじゃなくて胸も大きいよ。ゆうと同じくらいあるよっ。
それで背も髙いなんてちょっとズルいねっ」
「だから人それぞれなのよ。背が高いのも胸が大きいのも人としての魅力のすべてじゃないわ」
「ふーん。そうなんだっ」
背が低く、胸もないきいを見たゆうは、思わず幼児体型と言う単語が頭をよぎったが、それをきいに言うと面倒なことになりそうなので黙っていることにしたのだった。
よろしければなのですが、評価などしてくださると嬉しいです。
私の別作品
「いらぬ神に祟りなし」連載中
「四季の四姉妹、そしてぼくの関わり方。」完結済み
「固茹卵は南洋でもマヨネーズによく似合う」完結済み
「甚だ不本意ながら女人と暮らすことに相成りました」完結済み
「墓場でdabada」完結済み
「甚だ遺憾ながら、ぼくたちは彼の地へ飛ばされることに相成りました」完結済み
「使命ある異形たちには深い森が相応しい」完結済み
「空から来たりて杖を振る」完結済み
「その身にまとうは鬼子姫神」完結済み
「こころのこりエンドレス」完結済み
「沈黙のシスターとその戒律」完結済み
も、よろしくお願いいたします。




