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生忌物倶楽部  作者: 鬼居かます
30/55

30「第三話 獣使い」私は研修センターに到着する。

【毎日昼の12時に更新します】


注:先日は間違いで投稿できませんでした。すみません。


この作品には以降のストックがありません。

そのため書き上げてからの投稿となるので一日一回の更新となります。

すみませんが、よろしくお願いいたします。




 


 その後、ムサシは山中で津久井勇平と劇的な出会いをし、彼の相棒(バディ)となるのである。

 だがそれは後日の話。




 ■




「……きっとムサシはまだ小さい頃に猟銃に撃たれたとかの体験があったんだと思うわ。

 だから今でも銃声を聞くと身体がすくんでしまう。

 だって、今のムサシなら急所にでも偶然当たらない限り、猟銃程度じゃダメージを受けないもの」



 三ケ木ゆうが腕組みをしながら考え考えそう言う。




「そうだねっ。きっとそれが正しいと思うよっ。

 ……ねえ、ムサシ、もう大丈夫だから。私がいるからっ」




 それからしばらくムサシは震えていたが、やがて輸送トラックが狩猟地区を通り過ぎたことで銃声が聞こえなくなり、落ち着きを取り戻したのであった。




 そしてバス、トラックを連ねた一行はようやく研修センターに到着した。




 広い。

 横に二百メートルはある大きな二階建ての建物の正面に車寄せがあるのだが、敷地の門から車寄せまでに目視で一キロは軽くある。




 そして前庭と呼べるこの広大な土地には左右びっしりと葉物野菜の畑となっていたのである。

 しかしよく見るとあるのは畑だけじゃなくて、背丈ほどの囲いがいくつも存在し、その中にはヤギやヒツジが群れているのも見えた。

 その向こうにはウマやウシの姿もちらほらと視認できる。




「さすが国直営の施設ね。研究施設としての広さが桁違いだわ」




 輸送トラックの、のぞき窓から見ていたゆうが感嘆の声を漏らす。




「国なの?」




「ええ、ここは農林水産省直轄よ。研究所、試験場、田畑から畜産まであらゆる分野の農業の研究施設が集中しているの。

 特に畜産やだけじゃなくてペットとしての動物の研究施設なんて国でもトップレベルの飼育数を誇るわ。ちょっとした動物園とも言えるのよ」




「へえ、動物変並ってスゴイねっ」




 きいは素直に関心したようだ。

 間違いなく見学したくて仕方ないようで、身体がウズウズしているのがわかる。




 そしてそのときだった。

 建物に向かうトラック、バスを囲うように放し飼いの大型のイヌが集まってきたのである。

 吠えている鳴き声からそれは歓迎しているよりも警戒している鳴き方なのがわかる。




「土佐犬? いや……マスティフね。しかもブル・マスティフだわ。

 しつけ次第だけど、かなり危険な犬種よ」




 窓から様子を見ていた三ケ木ゆうが不安な声を漏らす。




「ブー・マチフゥ? なんかスゴイ名前だねっ?」




 きいが知らない知識を得たことを喜んでいる声が聞こえた。




「……スゴイのは、きい、あなたのヒアリング能力よ。

 まあ、いいわ。

 でも、あんなのを番犬として放し飼いしているなんて、よっぽどなのね」




「どいうことっ?」




「ツキノワグマとかイノシシ、シカなんかを寄せ付けないためでしょ?

 山奥なんだし。

 農作物を荒らされたら大変だからよ。きっと」




「そうか。さすがゆうだね頭いいっ」




 きいは手放しでゆうを褒める。




 やがてトラックが先に車寄せについた。

 するときいがまっさきに扉を開けて飛び出した。




「ちょ、ちょっときい、危ないわ」




 ゆうが手を伸ばしてきいの身体を掴もうとしてが、

 きいの動きは素早くてゆうの手はするりと宙を掴むことになった。




 そして地面に降り立った小柄な千木良ゆうに対して唸り声を上げる五頭のブル・マスティフ。

 どうみても獲物と捕食者たちの関係にしか見えない。




 だがそこできいはあり得ない行動に出る。

 なんと無防備にイヌたちに抱きついたのだ。




 するとイヌたちは態度が良い意味で豹変した。

 それまで唸り声を上げていたにも関わらず、いきなり途端に鼻からクゥーンと言った甘え声を出してきいにすり寄って来たのだ。




「ちょっと重いよっ。くすぐったいよおっ」




 巨体にのしかかかれるようになっていた千木良ゆうが嬉しい悲鳴を上げる。

 小柄な身体が翻弄されるようにイヌたちによって右に左に動かされているのだ。




 するときいがイヌたちをあやす。と、言うか遊ばれていると二台のバスも到着して寸沢嵐先生を先頭に高見澤ヨウコや男子クラスの津久井純平も降り立つのが見える。




「……見ようによっては襲われているようにも見えるわね」




 そうボソリといったのはヨウコだった。




「僕は最初、そう思ったよ。だけどそれが千木良さんだとわかったときに納得したよ。

 彼女はホントにイヌに好かれているんだね」




 こう答えたのは獣医科男子クラスの純平だった。




 


よろしければなのですが、評価などしてくださると嬉しいです。


私の別作品

「いらぬ神に祟りなし」連載中


「四季の四姉妹、そしてぼくの関わり方。」完結済み

「固茹卵は南洋でもマヨネーズによく似合う」完結済み

「甚だ不本意ながら女人と暮らすことに相成りました」完結済み

「墓場でdabada」完結済み 

「甚だ遺憾ながら、ぼくたちは彼の地へ飛ばされることに相成りました」完結済み

「使命ある異形たちには深い森が相応しい」完結済み

「空から来たりて杖を振る」完結済み

「その身にまとうは鬼子姫神」完結済み

「こころのこりエンドレス」完結済み

「沈黙のシスターとその戒律」完結済み


 も、よろしくお願いいたします。

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