16「第二話 出現」 私たちはジェジェジェの獣と対峙する。
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そのため書き上げてからの投稿となるので一日一回の更新となります。
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「ジェジェジェの獣っ?」
聞き慣れない言葉だったことから、きいは頓珍漢なことを口走る。
だが本人は至って真面目だ。
ただ聞こえた単語が脳内で斜め上に変換されてしまっただけなのだ。
「……千木良さん。
……それだとちっとも怖くない。
まあ、怖くないほうがいいか……」
最初は呆れ気味に、
だが途中からさもありなんと納得した純平の呟きが聞こえた。
「ジェヴォーダンの獣って……っ?!
嘘よ。……そんな……」
ゆうが顔を引き攣らせて呻いた。
彼女は知識として知っていた。その恐ろしさも……。
「ゆう、知ってるのっ?」
「え、ええ。
話だけは……」
そしてゆうはそこからジェヴォーダンの獣について知っていることを話し始めた。
「……それはフランスのジェヴォーダンと言う場所に、
1700年代くらいに出現したとされるオオカミのような謎の生物なのよ……。
そして人を百人くらい襲ったはず。頭部を噛み砕いて……。
食べるのはハラワタだけなのに、まず頭を仕留める凶暴さがあるの。
でも、獣の正体は不明。
あまりにも謎が多いからUMAとも言われているわ……。
まさか、……生忌物だったなんて」
もちろんオオカミじゃないのかとも推測されてはいるけど、目撃情報によると、
サイズが大きすぎるのよ」
「そうだねっ。ムサシより大きいしっ」
きいの言う通りであった。
ムサシも馬や牛くらいのサイズではあるが、
ジェヴォーダンの獣と呼ばれた生忌物は、それ以上に大きい。
そしてそれ以外にも外観の違いがあった。
ムサシは発達した筋肉の上に適度の脂肪がある。
そして毛足が長く、柔らかい体毛に覆われているのだ。
いわゆるモフモフなのである。
それに対してジェヴォーダンの獣は細身だった。
身体は極端に細く、骨の上にわずかばかりの筋肉が乗っている。
そんな印象を受けるのだ。
そして体毛は短く身体にぴったりと張り付いている感じ。
イメージで言えばウナギやナマズのようなテラリと光っている、
スリムマッチョと言った印象を受けるのだ。
「……すっかりイヌたちが怯えているな。
まあ、無理もないか」
純平が辺りを見回して言う。
周囲には小型犬、中型犬だけじゃなく、猟犬や軍用犬としての大型犬も多数いるのだが、
そのすべてが尻尾を後ろ足の股に挟み、腰を落としてしまっている。
――怖いのだ。
本来、捕食動物であるはずのイヌたちでさえ、
ジェヴォーダンの獣に対しては自分たちの戦闘能力では、あまりにも無力だと、
戦う前から実感してしまっているのだ。
グルルルゥゥゥゥ……。
間合いを測るかのように、ジリッジリッとジェヴォーダンの獣たちは、
すり足で、きいたちとの距離を詰めてきたのであった。
よろしければなのですが、評価などしてくださると嬉しいです。
私の別作品
「いらぬ神に祟りなし」連載中
「四季の四姉妹、そしてぼくの関わり方。」完結済み
「固茹卵は南洋でもマヨネーズによく似合う」完結済み
「甚だ不本意ながら女人と暮らすことに相成りました」完結済み
「墓場でdabada」完結済み
「甚だ遺憾ながら、ぼくたちは彼の地へ飛ばされることに相成りました」完結済み
「使命ある異形たちには深い森が相応しい」完結済み
「空から来たりて杖を振る」完結済み
「その身にまとうは鬼子姫神」完結済み
「こころのこりエンドレス」完結済み
「沈黙のシスターとその戒律」完結済み
も、よろしくお願いいたします。




