32.ほら
「おお、言うねえ!」
と、ザトウが笑った。それと同時にミノルは椅子から腰をあげる。
「...まあ、そうだな。反抗的な方が面白えかもな」
と、机に立て掛けていた剣を手に取る。
「いや、まてよ?顔が腫れ上がる前に、ここまで連れてきたあいつらへの褒美が先か...おい、オオナ、ケンジ、サイトー。お前らこの女、ヤッて良いぞ」
「おお、良いんですか!」「やったぜ」「へへ」
アイテムボックス...は、使わない。
上着を脱ぎ近づいてくる三人。私は
――ヒュッ
オオナの腹に膝を、ケンジの顎に裏拳を振り抜き、サイトーはそのまま回し蹴りで首を踵落とし気味に撃ち抜いた。
「あ!?」「む!?」「...!!」
ドサッと倒れた三人。それを目撃したミノル、ザトウ、シカルバが目を見開く。
魔力の無い私でも、この程度はわけない。多分、この倒れた三人は何が起きたかも理解できずに意識を失ったはずだ。
「お前...今のは」
驚くミノルに指をさす。
「次はあんた達...」
「あ?馬鹿かてめえ...どういう理屈か知らねえが、少しは戦えるみたいだが、不意打ちキメたくらいで調子乗んなよ」
言葉とは反対に、本能がそうさせたのか。ミノルは剣を鞘から引き抜いた。
「直接躾けてやる」
ヒュンと肩へ担ぐように剣を構え、左の手のひらをこちらへ見せるように向けた。
――...ふうん。なるほどね。
剣は囮ってわけ。
「――《ブレイク》!!」
そう、ミノルが唱えると魔力の塊が手のひらから発射された。狙いは腹部。
ドオンッ!!
「っしゃ!クリティカルヒット!!悶絶もんだぜえ!!」
「いや」とザトウが言う。
シカルバは「...ははっ、化物がいるぜ」と鼻で笑った。
「な、ん...だと」
驚き目を見開くミノル。私は彼の放った魔力弾をくらった。しかし避けれなかったのではなく、あえて。力の差を認識させる為に。
無傷の私。
しかしミノルは認めない。
「はっ、手品かなんかだろ。こいつは商人だぞ?戦う力なんてねえよ」
するとザトウが口を開いた。
「ミノル。一応お前はこのクランの頭だ...だから忠告しておくぞ。大人しく降参したほうがいい」
「てめえ。俺からも忠告してやる...次にそんな舐めた事を俺に言ってみろ。首だけにしてやるぞ。シカルバ、てめえもビビってんのか?」
「ん?あー、いやいや。っていうかまあ、ミノルには勿体ない相手ではあるかなとは思うけど...コイツ、俺にくれない?」
「は?てめえ」
「いやあ、これだけの上物プレイヤー中々いないからさ。俺がヤりたいなって...どーせミノル、勝てないぜ?」
瞬間、部屋中に満ちるほどの殺気。
「ああ、よくわかったわ。お前も後で殺す」
――私は言う。
「あのさ」
「あ?」
「キャンキャン吠えてないで来たら?」
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