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28.親身



やっとの思いで街までたどり着いた。けれど、少し変だ。

街の人々の視線が私に突き刺さる。自意識過剰とかでなく、なまら見られている。


(...?称号は外してるから、ダンジョンソロとかバレてないハズ...なんだろう)


しかしその答えはすぐに知ることになる。


こちらへ小走りで駆け寄ってくる老人。それは私のお得意様の一人、タケさんだった。


「アカリちゃん、ちょっと」

「あ、久しぶりタケさん!」

「ああ、久しぶり。ちょっとここは危険だ。わしの店へ来なさい」

「?...うん、わかった」


私が頷くと、あるき出したタケさん。なんまら早足で。急ぎすぎでしょ、転んだら大変だよ?と思いつつもついていく。


『ガラクタ専門店』と大きな看板が掲げられている。彼の店は様々な機械を扱う。その関係で私が顔の効く旅商人にお願いして、部品等を取り揃えたり交渉した事がある。


「さあ、早くお入り」

「お邪魔します...」


店はまだ日中だというのにクローズの札が掛かっていた。


「どうしたの?なにかあった?今、金欠だけど相談には乗れるよ」

「ああ。だが、あいにくわしの悩みではない...」

「?...どゆこと?」

「おまえさんの命が狙われとる」


「...ん、んん?え、どゆこと?」


突然の衝撃的な話に困惑する私。ミオちゃんも隣で眉間にシワを寄せている。


「お前さん、クランで何かあったのか?奴ら血まなこでおまえさんを捜し回っとったぞ...」

「え、あ...メテオの...そっか」


きっとまたお金を取りに来たんだ。こんどは何を売りつけられるんだ?ってか今財産ゼロなんだが?

この0Gのステータス画面みたら引き下がってくれるかな。...いや、無理だろうな。


「...街、でようかな」

「うむ、その方がいいかもしれん。どれ、わしが護衛兵代を出してやろう」

「え?」

「おまえさんには世話になったからの。返せる見込みがない時もおまえさんは嫌な顔一つせずお金を無心してくれたじゃろ...こんどはわしが助けるばんじゃ」

「タケさん...」


ホントは護衛無くても大丈夫なんだけど。でも...私はその気持ちが嬉しかった。こういう時ほど商人やってて良かったと思うことはない。嘘だ。他にもある。

けど、ホントに心の底から嬉しい...人の優しさが。


世界が変わって人も変わった。ミノルも私がクランに入った時はとても優しく、メンバーもみんな彼を信頼していた。


けれど、ログアウト不能の半ば無法と化したこの世界で彼は変わってしまった。いや、彼だけじゃない。この世界の多くの人が、だ。


「...ありがとう」

「金は返さんでいい。ただし、約束してもらう」

「約束?」

「絶対に死なんこと、じゃ」

「...!うん、わかったよ」


「そうと決まれば、護衛を予約してくるぞ。夜に出られるよう。お前さんはそれまで休んでいてくれ。食事も好きにしてくれていい」

「うん、ありがとう」


頷くとタケさんは出掛けていった。それを見送りミオちゃんがいう。


「大丈夫?」

「ん?なにが?」

「あなたのクラン...」

「うん。もう、いいんだ。たくさん助けられたこともあったけど...もう変わってしまったから」

「...そう」


店内に措いてあるソファに横になる。「少し寝るね」とミオちゃんに告げると、彼女は「おやすみなさい」と言った。


「うん...おやすみ」








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