18.実験
「ちなみに...ここのダンジョンのボスモンスターって、どういう奴なの?」
ふと気になり、私はミオちゃんに聞く。
「...それは、わからない...。ここに侵入できるプレイヤーは限られている。アカリのように【審美眼】のような力を持つ人間しか、この湖の底の扉を開けることどころか、視認することも出来ない」
ミオちゃんは指を立てながら言う。
「だから、攻略情報が自体が無い...ボスを見たことがあるプレイヤーがそもそもいないのよ」
「なるほど...」
と、なるとやはり危険か。ボス部屋は入れば勝つか負けるか...どちらかが死ぬまで出られないと言うし。って、あれ?
ふと引っ掛かりを覚え、ミオちゃんの顔をみた。
「? どうしたの?」
「あ、いや。でもミオちゃんここに来たことあるんでしょ?ダンジョンの場所も知ってたし、出現するモンスターにも詳しかったし」
「...まあ、そうね」
「ボスとは戦わなかったの?」
「戦わなかったわ。まあ、正確には戦えなかった...かしら」
「?」
「アカリ達プレイヤーがこの世界からログアウト出来なくなった日...覚えている?」
「うん。私、あの日は買い取りの約束を取り付けてたんだけどね、ログアウト不能が起こった時に始まった強制転移に巻き込まれてさ、約束の時間に間に合わなかったんだよね。それが原因で破談しちゃって大損したから...しっかり覚えてるよ!」
あれは悲しかった〜。気がついたら始まりの宿に寝てたんだよね。
「そう、あの日はそれが全プレイヤーに起こった...私達、デバッカーのAIにも」
「あ、もしかして...」
頷くミオちゃん。
「ボス部屋まではたどり着けたんだけど、その扉を開くには至ってないわ。だからわからない...ごめんね」
「ううん。そっか...だから」
あと一歩だったんだ。やっぱり、悔しかったのかな...いや、デバッカーだからお仕事だしそういう感じでは無いのかも?
「でも、あの強制転移はプレイヤーだけじゃなかったんだ」
「そうね。誰かの意図で行われたものよ」
「え?誰かの...意図?」
キョトンとする私に更に驚きの話を追加してくる。
「そうよ。これはゲームのエラーやバグ、不具合なんかじゃない。おそらくは大がかりな実験よ」
実験?いや、嘘でしょ?
「え、でも...それだと、これ人体実験ってことに」
「そうね。まあ、人体実験自体は結構前から行われていたらしいけれど、こうして多くの人間を、しかも一般のプレイヤーを巻き込んだものは初めてね...」
それじゃあ...私達、プレイヤーは実験体ってこと?
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