05 メンタル
ジェットコースター的展開、どころでは無いのです。
まるで、暴走したジェットコースターがレールを外れてすっ飛んで、空高く舞い上がってしまったかのような急展開、ですよ。
プリナさんと婚約しました。
婚約の報告からの話し合い、
我が家の家族4人とユイさんとプリナさんのご家族、
みんなの思いはただひとつ、
プリナさんが平穏な生活を送れること。
それこそが、僕だけじゃなく、みんなの、心からの願い、なのです。
婚約の事は、プリナさんが成人の儀を迎えるまで伏せておくことに。
……
冒険者活動を始めたイリーシャさんたちに、僕もお供として同伴。
今日はエルサニア王都のギルドで、初心者向けの依頼を探してきます。
「行ってらっしゃいませ……」
行ってきます……
……お見送りのご挨拶、何だか以前と違うのです。
カチカチと言いますか、ギクシャクと言いますか。
参ったな、挨拶くらいは前みたいに自然にやりたいんだけどな。
でも、変なこと言って、これ以上プリナさんを緊張させたくないし……
「たぶんアレが足りないんだよ、サイリ」
アレって何ですか、スーミャ。
「らぶらぶ成分!」
らぶらぶ……
「お仕事がんばってのハグとか、行ってらっしゃいのちゅーとか」
ちゅう……
「無茶な要求のごり押しは良くないぞ、スーミャ」
無茶……
「そういうらぶらぶイベントは、当人同士の自然な盛り上がりから生まれねば意味が無い」
「と、らぶらぶの大先輩であり新妻の鑑でもあるリリシア殿も仰っておられた」
らぶらぶ経験者……
……
どうにももやもやが晴れないのです。
主に僕の豆腐メンタル的に……
何と言いますか、抗っちゃうのですよ、
"豆腐の中にあるエグみ"的な何かが。
これまでの僕の、逃げ腰豆腐な部分と、変なところだけはプライド高過ぎな部分。
僕の中の良くない面が、煮凝りてんこ凝りに煮詰まっちゃってます。
何を言っているのか全く意味不明かと思われますが、
大丈夫、本人が一番分かっていない状態。
つまりは、もやもやが晴れないのです。