14 おやすみ
その後、合流した方々に現場のことをお任せして、僕は『転送』でエルサニアに戻りました。
ヴォルドルフさん、リルルリエルさん、ケモミミ近衛騎士さまたち、
そして一番お若いながらも颯爽と現場を取り仕切ってくれたカミスさん、
本当にありがとうございました。
『転送』で我が家に戻ったら、みんなからハグられちゃいました。
心配かけちゃってごめんなさい。
でも、プリナさんのハグ、すっごく気持ちが安らぐのです。
無事に我が家に帰ってこれたって、心から実感出来ました。
……
ひと息ついたらみんなといっしょに『システマ』でモノカ邸へ。
さすがに今回ばかりはお姉さま方からのハグの嵐を受け入れないと。
モノカさんにも、きちんとお礼を。
カミスさんの大活躍と近況報告、とても喜んでもらえました。
モノカさんにはまだ内緒なのですが、例の宝石、早めにアレしないと。
もちろん加工が済んだら、モノカさんに手渡すのはカミスさん自らですからね。
……
モノカ邸での報告会終了後、日暮れ前に商業ギルドへ。
ギルドマスターさんと担当のロミエスカさんが、今回の件での不手際を謝罪してくれました。
ヨラシュネイアが使ったキルヴァニアの身分証明書はギルド本部でも見抜けなかったほどの、偽造とは呼べないくらいに完璧なモノだったそうです。
まるでキルヴァニアで正式に発行されたかのような。
今回の件、まだまだ闇が深そうです。
カミスさんたち、大丈夫かな。
残念ながら、僕の監査員としての仕事はしばらくお休みすることになりました。
今回みたいに僕の油断でみんなに迷惑をかけるくらいなら、引きこもりの方がまだマシです。
狙われている僕の方がしっかりした対策を取るまでは、社会復帰どころじゃないでしょ。
……
諸々終わって、ようやく我が家へ。
お風呂で、のびのび、出来ました。
いえ、プリナさん、
お背中は流さなくても結構ですって。
こののんびりお風呂タイムだけは、何があろうと絶対に死守しますとも。
美味しい夕食、家族そろっての団欒、
あの拉致の時に考えていた、何よりも取り戻したかった安らぎ。
家族の笑顔が一番のご馳走、心からそう思いますとも。
……
えーと、何ですか、これ。
僕の寝室、ベッドが連結されていて通常の3倍、ですよ。
そもそもどうやって扉を通したのですか、これ。
「細かいことはいいから、今日はゆっくり休め」
ゆっくり休める状況じゃないですよ、イリーシャさん。
ってか、扉の前で何やってるんですかっ。
寝巻き姿で仁王立ちしないでくださいよぅ。
「すっごく怖いお姉さんにいじめられたんでしょ」
「スーミャがいっぱいなぐさめてあげるね」
ありがとうございます、スーミャ。
でも、その寝巻きはアレですね、少々凝りすぎなのでは。
そのフリフリまみれの寝巻き、もしかしてタリシュネイア王国の流行の最先端なのですか。
「ネルコお姉さんからのプレゼントだよ」
さすがはネルコさん、センスがド直球の豪速球でストライクでアウトですね。
でも、そんな凝りっ凝りの逸品、お洗濯するプリナさんが大変なのでは。
「おしゃれに全力の女の子は、全力で応援しますよ」
プリナさん、めっちゃ可愛いです、寝巻き姿……
「もう、サイリさん……」
まさに天使降臨ですよ、僕が昇天しちゃったら責任取ってくださいね。
「あー、見つめ合ってイチャつくのはほどほどにして、とっとと寝るが良い」
うひゃっ、イリーシャさんからぶん投げられて、ベッドに放り込まれたっ。
「きゃっ」
プリナさんまで放り込んじゃダメですって。
「おやすみっ」
げふっ、スーミャ、飛び込み禁止!
「まったく、世話が焼ける」
イリーシャさんも可愛いですよ、寝巻き姿。
ぐぇっ、寝技禁止っ。
「「「おやすみなさい」」」
はい、お休みなさい。
……眠れるかっての。




