坂道のポロロン
読んで頂きありがとうございます!
インスタントフィクションです!
坂道を上るという繰り返しの日常を今日も行っていた。
最寄りのスーパーからの帰り道はいつも上り坂だ。
少し息が上がり始めた頃、ポロロンと音が聞こえた。それは、アコースティックギターの音。
まだ歩き始めたばかりの子供のような音。悲しみも喜びも無い音。耳障りなたどたどしさが心地よかった。
2日おきにそこのスーパーに行く。時間はいつも大体同じだから帰りも同じような時間になる。
聞こえてくるギターの音は、坂を上る日常に変化をくれた。
毎日が同じように感じていて、カレンダーが無ければ今日と2日前の区別がつかないくらいの日々に。
その音は聞く度に変わっていき、進んだり下がったりしながら上達していった。
たどたどしさが消えて、メロディになり、音に思いが乗り始めた。恋の音。
きっと恋をしている。簡単なメロディに複雑な感情が乗っている。
ギターの音に合わせて歌声も聞こえてきた。たどたどしくて耳障りな歌声。
伝えなかった初恋の歌。
読んで頂きありがとうございました!
違う作品にも目を通して頂けたら嬉しいです