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ギフトを授かった日

短めの短編です!

ゲシェンク国第二王子、ディステル・ゲシェンクの生まれついての婚約者。公爵令嬢ヴィンデンブリューテ・アウフブリューエン。彼女は今、中央教会でギフトを授かろうとしている。


このゲシェンク国では、貴族の子供は五歳の誕生日に中央教会で神からギフトと呼ばれる贈り物を授かる。才能、技術、魔法などその種類は様々である。


ヴィンデンブリューテは両親と弟、領民達にとってよいギフトを授かることが出来れば嬉しいなと思っている。


「ヴィンデンブリューテ様、前へ」


「はい」


「では始めます」


ヴィンデンブリューテの頭上から光が降り注ぐ。与えられたギフトは…。


「…植物を自在に操る能力のギフトが贈られました」


「…はい、ありがとうございます」


正直を言えば、ヴィンデンブリューテはとても落ち込んだ。植物を自在に操る能力が、一体何の役に立つのかわからなかったから。しかし、それを見ていたヴィンデンブリューテの父親はヴィンデンブリューテを抱きしめて喜んだ。


「ヴィンデンブリューテ!よくやってくれた!」


「お、お父様?」


「ヴィンデンブリューテ、早速ですまないが、今から領地に戻ろう。お前のギフトで領地を豊かにしてくれ」


「は、はい…」


ヴィンデンブリューテは何を期待されているのかはわからなかった。だが、期待されて嬉しかった。


ヴィンデンブリューテは、幼い頃からなんでもそつなくこなす子供である。そのため、両親からの期待は大きい。それを誇らしく思うような子供であった。だから、ギフトもそれ相応のものを貰えると思い込んでいたし、そうでなければ自分の存在意義がないと思い込んでいた。


ー…


「さあ、ヴィンデンブリューテ。お前のギフトでこの荒れ果てた農地を豊かにしてくれ」


父親に背を押されて前に出る。そこは酷い状況だった。雑草ばかりが生えて、農作物が枯れ果てていたのだ。


「え、お父様、これは…」


「ああ。どうやら私は西の魔女から恨みを買ってしまったらしくてな。その報復のようだ」


「なるほど…」


ヴィンデンブリューテはどうやればいいかまだわからないままに、なんとなく畑の前で手を組み祈る。すると、たちまち雑草は消え、農作物が息を吹き返した。そしてそのままぐんぐんと育ち、実りをもたらす。


「おお…!」


「これはすごい…!」


「さすがはお嬢様だ!」


「お嬢様万歳!」


「お嬢様は救世主だー!」


周りからの万歳にヴィンデンブリューテは素直に喜んだ。そうか、このギフトはこういう風に使えるんだ、と学んだ。ふいにヴィンデンブリューテの父親がヴィンデンブリューテの頭を撫でる。


「よくやってくれた、ヴィンデンブリューテ!助かった!」


その言葉だけでヴィンデンブリューテには充分だった。


「はい、お父様」

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