登場人物紹介+用語集
【タイロ・ユーサ】
本名:遊佐泰路。E管区獄卒管理課の新米獄吏。ぴったり成人年齢。ヘタレで穏やかだが、妙なところで肝が据わっている。神経太め。実は、メカニックが専門。
いろいろあって、ユーレッドとスワロから信頼を得、彼らの過去の一部を共有させてもらったうえ、ユーレッドから普段は秘密にしている本名を教えてもらった。
アルルを探すユーレッドに協力する一方、彼との交流を深める。
【ユーレッド】
獄卒登録名:獄卒UNDER-18-5-4。本名:ユウレッド・ネザアス。年齢不詳。見かけは三十代。E管区所属の獄卒。
基本冷淡な性格であるが、気に入った人間に対しては非常に面倒見が良い。マリナーブベイでの一連の出来事により、タイロを気に入り、信頼することになる。どういうわけか、タイロに名前を呼ばれると身体能力が向上するらしい。
かつてアルルの誘拐事件の実行犯として名をつらねていたが、実際は彼女を守るために行動していた。獄卒としても特異体質らしく、汚泥の汚染に度を越して強いのだが、いろいろ事情があるらしい。アルルのことは今も気にかけており、行方不明の彼女をマリナーブベイで探すことになる。
【スワロ】
登録名:SW-MAYRAIN08。ユーレッドの索敵用アシスタント。
手のひらサイズの赤い達磨みたいな外見だが、いくつかの形に変形が可能。なお武器由来型と言われるものでこちらは子機であり、本体はユーレッドの腰の佩刀。
普段はユーレッドの生活態度を厳しく注意しているが、その実、彼を心配しているとても健気な子。ユーレッドの攻撃的な性格を不安に思っている為、タイロに対して優しく穏やかな一面を見せる彼をみて、タイロと仲良くしていてほしいと思っている。
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【ジャスミン・ナイト】
本名:内藤夜寿美。タイロの幼馴染。ヤスミちゃん。
タイロの幼馴染であり、獄卒管理課の獄吏で調査員エイブ・タイファの助手の美少女。クールで勝気だが、一方でタイロのことを常に心配しており、不良獄卒のユーレッドとの付き合いを快く思っていない。
情報処理に長けており、それによりパスコードを破ってアルル誘拐事件の真実を知る。そのことから”エリック”と名乗る男の依頼を受け、獄卒専門医オオヤギ・リュウイチという男の調査を行うことになるのだが……。
【レディ・ウィステリア】
魔女名:ウヅキ・ウィステリア。年齢不詳。妖艶な美貌と声を持つジャズシンガー。現在はマリナーブベイのジャズクラブで歌っている。通称ウィス。
その実、有力な管理者である管理者E直属の非常に有能な調査員であり、また魔女と呼ばれるかつての対汚泥用特殊能力を持ったものの生き残り。その声は汚泥や囚人、獄卒などの黒物質を保有するものに対して沈静の効果がある。また黒物質製のワーム型のアシスタントを三体所有しており、普段はアクセサリーに擬態させている。
ユーレッドは実は初恋の男で今も想いを向けているが、鈍いユーレッドには本気にされておらず、無自覚にほかの少女たちの恋心を刺激する彼に呆れている。現在はアルルを捜索する任務についており、ユーレッドに協力を依頼。
【アルル・ニュー】
魔女名:キサラギ・アルル。見かけは十六ぐらいの黒髪の美少女。お姫様。
管理者Eの特別保護を受けている令嬢であり、ウィステリアと同じく魔女の生き残り。黒物質に対する造形の能力を持ち、彼らに触れることで再プログラムを行うことができる。そうした能力やほかの要因から、管理者たちに守られる特別な魔女。
五年前に拉致監禁されているが、その際、実行犯であったユーレッドによって救出されている。ユーレッドとは過去に何らかの因縁があるらしく、彼を助けたことがある模様。実はほんのりとユーレッドに恋心を抱いていた模様。
マリナーブベイに到着した後、行方不明になっており、ウィステリアが捜索の任務を受けていた。
【レコ】
記録者と呼ばれる種類の記録や索敵に特化した獄卒用アシスタント。アルル誘拐の際の実行犯の一人の獄卒が所有していたが、主人の死後、ユーレッドが回収したことでアルルの手に渡り、彼女がかわいがっていた。スワロほど感情表現は豊かではないが、神経質なスワロよりちょっぴりのんきな性格をしているらしい。
その後もアルルが所有していたようだが、マリナーブベイ渡航の際に管理局に置いていっている。エリックという男がジャスミンに調査依頼を出す際に、ジャスミンに使用許可が下りる。
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【インシュリー】
J管区に出向しているE管区所属の獄吏。今回の任務についてJ管区側獄吏とタイロ達の橋渡しをする役目を仰せつかっている。現在の上司は管理者Xであり、調査員の身分を持つ美青年。E管区では失踪扱いとなっている。
過去アルル誘拐事件の際にユーレッドと戦っているが、その時の様子は尋常ではない様子だった。今でもユーレッドに対しては敵意むき出しであるが、タイロには紳士的で友好的。管理者Xの部下がそうするように、現在、仕事中は仮面をつけている。
【ユアン・D・セイブ】
年齢不詳の金髪のイケメン。しゃべり方はちょっとキザ。タイロに何かと構う調子よくも面倒見の良い男。一方で、ユーレッドには自分の存在を秘匿するように依頼するなど、何かとあやしい。
セレブなたたずまいである一方で、妙なチャラさを兼ね備えており、口の軽さとは裏腹に腕もたつ。実は、ハンバーガーなどのジャンクフードが大好き。
【エイブ=タイ・ファ】
E管区所属の管理者E直属の調査員。有能である反面、結構テキトウで仕事の雑さをウィステリアやジャスミンに突っ込まれている。本部監視対象であるユーレッドを監視しているのは本来彼だが、結構野放しにしており、ユーレッドからも適当加減を心配されている。
【ビンズ・ザントー】
アルル誘拐事件において、ユーレッドと敵対した反体制分子側の調査員であった獄卒。囚人や汚泥に関与する能力があったらしく、本人も投げナイフや体術に優れた戦闘員だった。ユーレッドがトドメを刺したとのことだが、生死は不明。
【エリック】
ジャスミンの端末をハッキングし、語りかけてきた男。彼女にレコの使用許可を出し、ドクター・オオヤギについて調べるように依頼する。
【オオヤギ・リュウイチ】
獄卒専門医。通称ドクター・オオヤギ。シャロゥグの郊外にクリニックを構えているが、獄卒専門医ではあるものの、一般人の患者も受け入れいている。エリックをなぜか避けているらしく、ジャスミンに彼を調べるように依頼がいった。
どうやら、ユーレッドやドレイクの主治医であるらしい。
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【メガネ】
獄卒管理課の職員でタイロの直属の先輩。度入りの眼鏡を愛好している。タイロには相変わらずドライ。それゆえに獄卒のユーレッドとつるんでいても無関心なので、そこは割りに楽ちん。
【ハブ】
登録名:獄卒UNDER-8-21-2。マリナーブベイにも同行している底辺獄卒。
いい加減で軽い性格だが、フレンドリーでムードメーカー。その人懐こさゆえに、ユーレッドからも可愛げがある認定をされているらしいが、スワロはご主人を悪い遊びに誘う彼が嫌いらしい。
【ソーン・ライト】
対囚人戦闘のための民間人私兵の男。要するに傭兵のようなもの。
シャロゥグ在住の美男子で、相棒の妻と一緒に行動しており、今は囚人討伐の仕事の依頼をうけてマリナーブベイにきている。ユーレッドとは旧知の仲であり、さらに話者の少ないA共通語で話の出来る限られた相手である。
ユーレッドとはお互い気が合うらしく、顔を合わせると情報交換を行っている。
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【T-DRAKE】
管区を超えてさまよっているとされる伝説の獄卒。単にドレイクとも呼ばれる。年齢不詳。見かけは暗くどこか虚無的な美青年。見かけると殺されるという都市伝説を持つ男。
ユーレッドとは旧知の仲であり、ユーレッドが忘れている過去も覚えている様子。タイロには古い約束を想起させるとして好意的な反応を示していた。アルル誘拐事件の際、負傷したユーレッドを助けた際、彼と自分は兄弟のようなものだと告げる。
視力が安定していないらしく、まったく見えなくなる日と少し見える日があるらしい。そのため、死んだ自分の妻の名を付けた蝶型アシスタントのビーティーに音などで先導してもらっている。その剣はカウンター攻撃に特化しており、相手の力を使って確実に仕留めてくる為、ユーレッドでもむやみに攻撃を仕掛けられないものであるらしい。
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【用語集】
【マリナーブベイ】
E管区から一日ほど船で海に出たところにある孤島に作られた享楽的な娯楽都市。本来はテーマパークとして作られている。カジノなどの遊興場や酒場などが豊富にある巨大な都市。その管理には複数の管理者がかかわっており、その配下も含めて権力闘争の場となることもある。
一方、囚人や汚泥の汚染もひどく、その処理に手を焼いている。現在は、コントロールチップを食わせて囚人を一部コントロールしている。郊外には放置された地区も存在する。
【管理者】
通称、管理者。
世界の管理をする二十五人の統治者をいう。アルファベットでAからZまでいるらしく、呼び方は管理者Aなど。AからEまでの五人は特に元老扱いされている。なお空席もあるとされる。
E管区の筆頭管理者は【E】、J管区の筆頭管理者は【C】と噂されており、マリナーブベイの大半は【C】が統治している。ただし、マリナーブベイは複数の管理者が運営にかかわっており、今回の作戦については【X】と彼の配下の獄吏たちが当たっている。【E】【C】【D】の三人は、キサラギ・アルルの保護者としての立場があった模様。アルルは【X】の出迎えを受けた後に行方不明になっており、【X】の関与が疑われている。
【汚泥】
この世界における汚染脅威。見かけはタールのような粘り気のある黒い物質で、これに識別票が汚染されると、情報が書き換えられて人の姿を保てなくなる。
その正体は、ナノマシンである黒物質に古い敵意が入り込み感染性を帯びたものであるらしい。魔女はそれらの汚染されていない部分に干渉し、書き換える能力を持つ。
【囚人】
汚泥により汚染された人間のなれの果て。不定形から獣や蟲、人の姿をとるものもいる。人家の近くにいる囚人は、汚泥の濃度が高くないが、荒野等人里離れた場所にいる囚人は強く汚泥濃度も高いのが一般的。汚泥からなる存在であり、彼らも黒物質を多量に含んでいる。
【獄卒】
囚人に対抗するために組織された使い捨て戦士。銃火器の携帯が禁じられている。
実質不死身であり、汚染にもかなり強いのだが、それは彼らの組織をナノマシンの黒物質と置き換えているせいである。
一定の痛みを感じると意識が消失する他、ダメージがひどいと再生の際に高熱を出す。その高熱により記憶領域が阻害され、記憶喪失や人格の変化などを起こす獄卒も多く、彼らの精神不安定さはここにも原因があるらしい。
【魔女】
かつて汚泥汚染に対抗するために作られた強化戦士の総称。灰色物質というナノマシンにより改造された人間のことを指していたらしいが、灰色物質との相性の問題からほとんどが女性であったらしい。かつては十二人の高位魔女が選ばれ、月の名前を付けられていたが今では生き残りはほとんどいない。
灰色物質は黒物質との相性が良いことから、汚泥に含まれる黒物質に対して再プログラムを行ったり、沈静化させたりと影響を与えることができる。ただし、強力な囚人などの相手を支配下に置くことは難しい。
現在では灰色物質自体の生産が困難であり、ロストテクノロジーとされる。
【黒物質】
かつて神の万能物質とほめそやされたナノマシンの一種。柔軟性の強さゆえに、古い敵対的命令や悪意と結びついて感染性のある汚泥に変異し、囚人の発生原因になったとされる。汚染に強い兵士を作るため、獄卒に投与されているらしい。
当時黒以外にもたくさんの製品が開発されていた。黒物質という名前は、黒く着色されていたことによるらしい。
【獄吏】
管理局の職員のこと。平たく言うと公務員。特に機密の高い任務に携わり、管理者直属のものと【調査員】と呼ぶ。
【識別票】
この世界の住民ならだれもが持つといわれているIDカードとパスワードが一緒になったようなものであるらしい。しかし、実物を見ることはほぼないし、自覚もない。




