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銀河のヒリア帝国 戦争編  作者: 遥海 策人(はるみ さくと)
第七章 イノベーティブな戦術を!
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大本営発表Ⅲ

恒例の総帥発表

 他のコミュニエー艦隊も散々だった。

 ある艦隊は、ヒリアから二光年も離れた外宇宙で立ち往生し何もせず投降して救難信号を発令した。

 ある艦隊は、宇宙空間でヒリア星の方向がわからず、空域を迷走したのちに偶然コミュニー艦隊どうしで出会い交戦しエネルギーが尽きた。

 ある艦隊は、オーバードライブから帰ってこなかった。おそらく、気が大きくなって触ってはいけない装置にでも触れたのだろう。常世を永久に彷徨うことになってしまったとしたら哀れである。

 そして、右利きのレフティー提督は、ブラックパール星系のヘリオポーズ外周に浮かぶ、巨大ガス状惑星の重力圏にドライブアウトし、強大な重力を前に操艦に手間取り右往左往している間に惑星重力の餌食となってしまった。

 結局、ヒリア帝国軍と正面から戦った艦隊は最初の三個艦隊だけだった。コミュニエロー艦隊は短い期間に二百隻の艦艇を失う大敗北を喫する。この間にヒリア帝国はほとんど損害を受けなかった。


 この報告を、コミュニエロー軍部はやや面倒な言い回しで説明した。

「ヒリア帝国軍の遊撃部隊に対し我々は三倍以上の戦力を有しておりました。戦いの中で損害もありましたが無事に戦いが終了し、三倍以上の打撃力により何とかヒリア帝国に報いることができたのです。我々の受けた損害もありましたが、三倍の打撃力です。この打撃による敵の艦隊の情勢の詳細はつかめておりませんが、もっとも良い予測としては彼らが全滅したとすることも可能であります。ともかく、彼らがこちらまで空間跳躍してこない限り我々は勝利したと言えるでしょう」

 この長々とした報告によりスター総帥は、

「我々は勝利した。敵に三倍の打撃を与え、ヒリア帝国軍を全滅させた」

 と解釈した。

「今度から、私のことは名将リヒト・タッキー・スター総帥と呼べ! これは国民の義務とする」

 今回の報道はこれまでで最も気合の入ったものを準備している。大量のプロパガンダを行った結果、総帥の周りにはコミュニエロー艦隊が勝利したという情報だけが溢れていた。各国の報道機関がコミュニエロー政府の主張を報道するたび、それを総帥に対して「勝利の報道がなされている」と伝えた。正確な情報が流れていても、あやふやにしてまるでコミュニエローが勝ったという内容に差し替えた。結果として、総帥の頭の中では既にヒリア帝国艦隊は数百隻も沈めていることになっている。

「結局、三倍だから全部で六百隻滅ぼしたことになるのか。ヒリア帝国全軍(惑星守備隊含む)の実に百四十三パーセントに当たる数値ですね」

「そうだな、我々の勝利はゆるぎないが、証拠も必要だ。その数字も示して宇宙を驚かせてやろう」

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