表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1/4

新学期

雲ひとつ無い青い空の下の朝八時。住宅街の道を一人の女子高生が歩いていた。


「新学期を迎えるのに相応しい良い天気」


交差点に差し掛かり渡る機会を待っていると


明日未(あすみ)、おはよう!」


向かい側に目を向けると友達の伊真優梨(いまゆうり)とその彼氏の安部夕希(あべゆうき)が手を振っていた。車が来ていないうちに道路を渡り二人と合流する。


「おはよう、二人とも相変わらず仲良いね」

「え、恋人ってこれが普通じゃないの」


茶化すように言えば夕希が始めて知ったという顔を明日未に向ける。彼は少し天然なのである。明日未は優梨の肩に手を乗せると真顔で


「夕希君のことちゃんと守れよ。何か危なっかしい」

「任せとけ」


それに真顔で返答する優梨


「俺守られる方なの、どちらかと言ったら俺が守るんじゃないの。優梨の彼氏だし」


明日未は少し驚いた顔をした。この二人は仲良しカップルだがあまりカレカノらしい会話をしないししていたとしても明日未は聞いたことが無かったから。優梨は夕希の言葉にご満悦な様子で一人でキャッキャウフフしている。


話していればあっという間に彼女たちが通う学校に着いた


「本当羨ましいカップルだよ」

「何言ってるの、明日未さんだって美人だし。あ」


夕希が続きを言おうとすると明日未が後頭部を押さえて悶えている。明日未の後ろには背の高い好青年が立っておりその右手は硬く握られている。彼の名は有塚一輝(ありつかかずき)。明日未とは中学からの腐れ縁である。


「門の真ん中に立つな、お前自分が豚ってこといい加減自覚しろよ」


見た目からは考えられない暴言が口から出てきたが三人は驚きはしない。明日未は顔を上げ一輝に一歩近づくと


「お前バカなんじゃないの、豚って脂肪率そんなに高くないし。お前こそ乙女の頭をグーで殴っといて謝罪の一つも無いのかよ」

「そりゃ悪いことをした今度謝っとくよ」

「誰に」

「豚に」

「ふざけんなぁ!」


一輝は飄々とした表情で暴言を吐き続ける。さっきまで優梨たちと楽しそうに話していた雰囲気はどこへえら、明日未と一輝の言葉の合戦は止まることを知らない。


「第一どこに乙女がいるんだよ」

「お前の目の前」

「冗談きついし笑えねえよ。お前ギリギリ顔はいいとして高校生でその体はないわ」


明日未は女子の中では身長は高い方だがウエストが細いと同時に胸も無かった。


「私はその代わり筋肉が付いたからいいの」

「女の言葉じゃないな」

「俺たち忘れられてるね」

「この二人は一度喧嘩すると周りが見えないからね」


それぞれのカップルが喋っているとチャイムの音が響いた。


「おい、早く来ないと置いてくぞ、デブ」

「いい逃げすんな」


さっさと歩いていってしまう一輝を追いかけ隣に並ぶ明日未


「やっぱり信じられない」

「確かにあの二人あれで付き合ってるんだから」


桜の花びらが舞う道を並んで歩く明日未と一輝は傍から見れば美男美女のカップルである。お互い喧嘩腰でも、それは本気ではなくふざけあいみたいなもので二人の信頼関係あってのもの。おそらくこの二人の間には誰も入れない。


秋櫻(コスモス)明日未と有塚一輝はケンカップルである。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ