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Rebelsー反逆者たちー  作者: MoCo
第2章
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第5話 ――機 密――

 私の素性は桜井には明かしてはいないが、今から会いにいく所長だけが知っていることは数知れずある。

 私は桜井が、部屋から去ると青年のカルテと研究成果をまとめ所長室へと向かった。所長室はE区画(くかく)にあり、この研究所で一番セキュリティーが万全だ。

 E区画はA区画の奥にあり、ほかの区画に比べ厳重な作りだ。

 扉は、二重構造になっており、1つ目の扉は、他の区画と同じでカードキー、2つ目の扉は他の区画にはない、指紋認証で開けることができる仕組みになっている。その2つの扉の間にもセキュリティー機能があり、侵入者が1つ目の扉を開けたとしても、指紋認証に失敗してセキュリティー機能が働けば、レーザービームで一瞬にして粉々になるという仕組みだ。

 その2つの扉をくぐり、所長室の廊下を通過すると、こちらに背中を向け座っている所長がいた。


 所長室には、大きな木製の書斎机と革でできた立派な椅子があり、棚には何かの資料のようなものが乱雑に入れられている。机の上も同様、書類の山ができている。

「所長、早坂(はやさか)所長私です」

「ああ、君か」椅子をぐるりと回し振り向きながら穏やかな声で言った。

「2点報告をしに参りました。これから行う実験の経過と開発中の武装品の件です。」

 所長は、うんうんと(うなず)きながら私の話を聞き「ご苦労。で早速だが聞かせてもらおうか」深くかぶった帽子でこちらからはよく見えないが、こちらをじっと見ているのを私は感じ取った。

 はい。少々焦り気味に私は答え「このあと行う予定の亜空間(あくうかん)移動実験は、最終フェーズに入っています。動物を使った実験では一度も事故なく目的の場所へ送ることに成功しております。また、人体実験におきましては、被検体Aである早坂瑠奈を様々な場所に送り込み戻すことに成功しております。今日行うのは、亜空間移動装置が完成しているかという最終確認です。今日成功すれば、早坂所長にも喜んでいただけるかと」

「やっとこのフェーズまで来たか。長い道のりだった……」所長はなにか思ったのか言葉をつまらせ「くれぐれも、ミスの無いように頼むぞ。で、武装品の方はどうなんだ?」何事もなかったかのように言った。

「武装品ですか。そちらの件なのですが順調ではあります。威力(いりょく)については使ってみないことにはなんとも言えないのですが、強力な物が出来ている。という報告は受けております」所長は報告を聞きながら、そうかそうかと終始満足気だ。

「しかし、娘さんたちはよくやってくれています。早坂瑠奈(はやさかるな)は命が掛かっているということも恐れずに言うことをよく聞く。被検体Bである早坂茜(はやさかあかね)は手先が器用なのと、物作りが好きなので恐怖心を全く持たず、武装品の開発に携わっている。2人をあそこまで完璧に洗脳し利用するとは流石です。」それを聞き自慢げに、所長は大きな声で笑い声を上げた。

「報告は以上です。実験の時間が迫っているため私は失礼いたします」一礼をしその場から去ろうとすると「成功の報告を待っているよ、奈緒子(なおこ)君」名前で呼ばれたのは久しぶりだった。そう、私は鳥島奈緒子(とりしまなおこ)。女だ。所長に仕えて早数年、私が女だということは、所長以外誰も知らない。素顔や過去を知っているのも所長だけだ。そんなことをふと思いながら、私はA区画にある亜空間移動実験室へと向かった。

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