プロローグ ――きっかけ――
戦乱の世の中では、幸福も不幸もあったものではない。
だが、希望だけは失ってはいけないものだ。
TVをつければメディアが一日中騒いでいる。
街を歩けば、突然暴動に出くわす。
そんなことが当たり前の世の中になってしまった。
元の平和な世界へと戻すべく、僕たちは立ち向かわなくてはならないんだ。
とにかく、あの施設がどうなっているのかを知る必要がありそうだな――――
僕は今の現状を思い考えながら言った。「なぁ、ディー僕はあの施設へと行こうと思う」
「あなた、正気?セキュリティーが――」
僕は、にやっと笑みを浮かべ呟いた。「考えなしに言ったとでも?」
「そうは思っていないわガイ。だって昔からあなたは、策略家だもの。あの施設にだって簡単に潜入しちゃうわよね。あははっ」ワクワクした表情で、彼の姿を語る。
「ああ、そうさ。だが今回ばかりは上手くいくかどうかはわからないんだ。殺られるかもしれない。」顔を曇らせながら僕は言った。
「そうなの?今回は誰からの依頼かしら?そんな危険なこと持ちかけてくるなんて無茶だわ。断ったほうが身のためよ。」彼女は、少し頬を膨らませ僕に背中を向けた。
「依頼人はいない。」あっさりと僕は、背中を向けている彼女を振り向かせた。
「依頼人はいない!?どういうこと?じゃぁそこまでの危険を冒す意味あるの?」話を最後まで聞かずに僕は彼女に言った。
「僕が決めたことだ。危険を冒す意味は大いにあると思う。この戦乱の世の中を変えるきっかけ作りをするためにはね。あそこにはなにか大きな秘密が隠されている気がしてならないんだ。」「そう。止めはしないわガイ。あなたの勘はよく当たるものね。くれぐれも気をつけてね。」心配そうに僕を見つめ彼女は言った。
「ああ」僕は頷き扉を出た。