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暴食の粘魔  作者: お猫様
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8話

ゴブリンウォリアーを倒して余韻に浸っていると、張り巡らせておいた斬糸に反応があった。

斬糸も僕の体の一部、物が触れたりすれば分かるし、触手や触腕ほど細かくは無理だけど多少は動かせる。毒分泌も出来ることが分かっている。

ゴブリン達はゴブリンウォリアーが殺られたのを見て恐怖にかられたのか、勢いよく斬糸に突っ込み、後続に押されて心太みたいに切り刻まれた。今ので三匹ぐらい死んだんじゃないか?

それでも低能なゴブリンは僕から逃げようとして前の者を押し出し、追加で二匹が細切れになった。残りは六匹か。残っていた仲間の数を半数近くまで減らしてようやく危険だと気が付いたらしい。

出口は通れない事をやっと理解したゴブリン達は、僕を戦うという選択を取るらしい。本当に馬鹿な事だ、幾ら恐怖にかられているとはいえ、最初になすすべもなく仲間がやられたのを忘れたのか?

僕と戦うよりは斬糸の破壊を試みる方がまだ成功率は高いだろう、まあ、どうせ破壊するのは無理だろうけどね。


向かってきたゴブリン達の中でも近い四匹に触手を伸ばして頭を捕食する。それでも恐怖にかられたゴブリンは止まらない、触手を引き戻すよりもこの距離なら触腕でいいか。触腕をゴブリンに伸ばしてそのまま捕食、これでゴブリン十九匹とゴブリンウォリアー一匹、撃破完了だ。


一気にレベルが二も上がるなんて、群れを襲撃した甲斐が有るという物だ。というか、このうち一レベルはゴブリンウォリアーの文なんだよな...ざっとゴブリン十匹分ぐらいの実力か?いや、単純な戦闘能力はゴブリン十匹なんかよりよっぽど強敵だったはず...いやまあ、あっちの攻撃はこっちに効かないんだから、得られる経験はこんなものか...

この戦いで分かったこととしては、僕は格下に対しては有利に戦えるけど、同格もしくは格上とはどうしても不利になるってことか。

僕の戦い方はどうしても奇襲か、物理無効にモノを言わせた戦い方しかできない。スライムとという種族ゆえか、どうしても動きが遅い。


ゴブリン達を食べながらでも、一度自分の手札を再確認してみるか。

触腕や触手は振り回せば遠心力で先端速度はそれなりの速度が出る。それでもあくまでそれなり程度、やろうと思えば何の技術も無いゴブリンが防げる程度でしかない。

これじゃあ同格、今回ならゴブリンウォリアークラスなら簡単に防げてしまうし、奇襲しても避けられる。

斬糸や毒分泌は相手に接触が必要だけど、そもそも同格以上相手に触れるためには前者の通り速度が足りない。

硬化は使ったら固めた部分は自分でも動かせない。

物理無効や高速再生は強いけど、そもそも攻撃できない防御専用スキルだ。


《熟練度が一定に達しました。捕食がLv3⊳Lv4に上昇しました。》

《一定条件を満たしたため、称号:過食 を取得しました。》

お、ゴブリンが全て溶かし終わったらしい。というか過食って...いやまあ、自分の体積を超える量の物を食べたんだから、そりゃ過食か。一応説明を見ておくか。


~称号:過食~

本来自分の体に入りきらない物を、何らかの方法で喰らった者に送られる称号。


ほうほう、残念ながら追加効果は無しか...まあそんな簡単に効果ありの称号なんて手に入らないよね。

まあ称号は置いておいて、スキルが統合されてできた不定形の体だけど、コレで何か新しい事は出来ないかな...?

そうだ!前考えた人化、というか擬態かな?を試してみるか。前に人間を食べたから、体の構造はある程度理解しているし、前世の知識もある。何とか作れるんじゃないかな?

とりあえず体を変形させて人の形を作ってみるけど、その形を維持できずに直ぐにいつもの形に戻ってしまう。そりゃまあ、この体流体だしね、維持できなくて当然だよね。よし、やり方を変えよう。


次はちゃんと骨格から作ってみるか。体の一部を硬化させて疑似骨を作る。それを体の中で組み合わせて骨格標本を作った後、関節の部分に粘液を挟んで接着剤の役割と同時に軟骨代わりにする。この時点で一度切り離しておく。

次は筋肉、斬糸の時と同じように細い糸状に変形させて束ね、さっき作った骨格にくっつけ、疑似筋肉にする。

最後に仕上げに表面に粘液で幕を張って皮膚代わりにする。ここまでしてやっと人型の何かを作ることが出来た。

見た目は身長170cm程の人型で、目も鼻も口も、髪なども無いその体は、半透明の紫色をしたマネキンに見えるだろう、ただちょっと表面がドロドロしてるけども。というか、液体状の所と硬化した部分だと屈折率が違うのか、骨格が透けて見える。

それじゃあこの中に入りますかね。体をググっと圧縮して頭蓋骨の中に入る。

そうだ、ゴブリンを大量に食べて体積も増えたし、せっかくだから武器も作っておこう。体の一部を分離させて、薄く延ばして一振りの剣を作る。紫の水晶で出来た様に見える剣は、なかなか見栄えするな。

よし、合わせて表面を鎧にでもしてみるか。はたから見たら紫水晶で出来た騎士像くらいには見えるかな?

まあ半透明で後ろが透けて見えてるし、人じゃないのは一瞬でバレるだろうけど、見栄えはするようになったかな?やっぱ騎士はロマンだよね。


《スキル『擬態Lv1』を習得しました。》

《『擬態Lv1』が『不定形の体』に統合されました。》


スライムの体って便利なんだけど、思いがけないところで不便な面が出てきたな...結構頑張っても人型の何かが限界だし、着色もできないから一瞬でスライムなのがバレる。

それでもまあ、今までよりは便利だろうし、使い勝手もいいんじゃないかな?

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