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暴食の粘魔  作者: お猫様
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7話

昏倒したゴブリンから少し距離を置いて見守っていると、しばらくしてゴブリンが目覚める。

ゴブリンは目を覚ますと、キョロキョロとあたりを見回した後、逃げる様に走っていく。


なにもただ単に見逃したわけじゃない。今までほとんどのゴブリンは集団で行動していた。もしかしたら偶々近くにいたゴブリン同士が集まっているだけかもしれないが、そうでないならゴブリンに群れを作る習性があり、社会性があるということだ。

そして恐怖にかられた動物は、そいつが一番安全だと思う場所に逃げる筈だ。つまりこのゴブリンの場合、群れに逃げ帰るはずだ。

そして僕は逃げるゴブリンを追跡して、群れを見つけてその群れごと美味しくいただいてやろうって魂胆だ。今のところゴブリンは物理攻撃以外をしてきたためしはないし、もし魔法が使える個体が居ても少ないだろうし、魔法も直撃さえしなければ問題ないはずだ。


このスライムの体にはご存知の通り、肉も骨も無いし内臓も、目や口といった感覚器官も無い。勿論、人間なら弱点になる脳や心臓も無い。例えるなら、全身が目であり口であり脳細胞でもある。といったところかな?

根拠としては、冒険者の魔法を喰らったときだろう。

あの火の矢を喰らったときに体の一部を欠損したけど、視界の一部が見えなくなるといったことは無かったし、体の動きが悪くなるといったことも無かった。


それなら、あくまで予想だけど、欠片でも残っていれば高速再生ですぐに再生できるはずだ。

これなら恐らくゴブリンなんかには負けないだろうし、もし勝てなくても逃げるくらいは出来るはずだ。

ゴブリンがあたりを埋め尽くすような攻撃魔法を使ってきたらお手上げだけど、流石にゴブリン程度がそこまで使ってくることは無いだろう。...あれ?これってもしかしてフラグか!?

まあ、そうならないように祈っておこう。


お、ゴブリンが群れにたどり着いたらしい。数はざっと二十って所か。一匹だけガタイがいいのが居るな、あいつがボスか。とりあえずここ袋小路だし、逃げられないように出口辺りに、レベルが上がって今までより長く硬く出せる様になった斬糸を張り巡らせて、出口をふさいでおくか。これで簡単には逃げられないだろう。

僕が同時に使える触手は四本、出すだけならいくらでも出すことは出来るけど、まともに使うのは四本が限界だ。

触手を伸ばして近くのゴブリンの頭に取り付いて、そのまま捕食。これで四対撃破。仲間がやられたのを見て、ゴブリン達が武器を構える。

次の四対に触手を伸ばすと、今度は手に持った棍棒を振り回して振り払おうとするが、多少は防ぐことは出来ても、流体の触手はその程度では破壊できない。やがて先の四匹と同じ結果をたどる。


《経験値が一定に達しました。Lv1⊳Lv2に上昇しました。》


次のゴブリンに触手を伸ばそうとしたときに、触手が全て弾かれた。弾かれた場所に意識を向けると、そこにいたのはガタイの良いゴブリンが、棍棒を持って立っていた。


マジかよ...このゴブリンただガタイが良いだけじゃないらしい。他のゴブリンと違って棍棒をただ振り回すだけじゃなく、しっかり技術を持って棍棒を扱っているし、筋力もゴブリンとはけた違いだ。さしずめゴブリンウォリアーといったところか。

こっちが死ぬことは無さそうだけど、本気を出さないと殺すことは不可能だろう。


触手を四本すべてこのゴブリンウォリアーに対して使用するか。どうせ周りに貼ってある斬糸はただのゴブリン程度には破れない。

触手の三本を正面左右の三咆哮から振るうが、弾かれ、触手が飛び散る。しかし問題ない、コレはブラフだ。本命は後ろに回り込んだ触手、しかしそれをゴブリンウォリアーは前に飛ぶことで回避する。

その勢いのまま僕に棍棒を振り下ろすが、残念、物理攻撃は僕には通用しない。棍棒が刺さった部分を硬化させると、棍棒を捨てて後ろに飛びのく。飛びのいた先に触手を伸ばすが、ゴブリンはそれを素手で殴り飛ばす。

しかし拳を振りぬいてゴブリンウォリアーに一瞬隙ができた。そこに周りに飛び散っている粘液から触手を伸ばして四足を縛り、そのまま硬化する。これでゴブリンウォリアーは動けなくなった、僕の勝ちだ。


触腕を出来る限り薄く、鋭く変形させて、硬化させる。即席で作った剣モドキだけど、それなりに鋭い。それなりには切れるだろう。

それをゴブリンウォリアーの胸に突き刺す。筋肉に多少阻まれるが、それでも力を籠めれば突き刺すことが出来る。

突き刺し、そのまま回転させる。これで完全に絶命しただろう。いやー、今までで一番の強敵だった。流石にコイツクラスのゴブリンはそうはいないだろうし、コイツはこの辺のボスだったんじゃないか?美味しくいただこうじゃないか。


《経験値が一定に達しました。Lv2⊳Lv3に上昇しました。》

《スキル『変形Lv1』を習得しました。》

《『硬化Lv1』『分裂Lv1』『斬糸Lv2』『触手Lv4』『変形Lv1』『物理無効』が統合し、ユニークスキル『不定形の体』を習得しました。》

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