6話
《熟練度が一定に達したため、毒分泌がLv1⊳Lv2に上昇しました。》
《熟練度が一定に達したため、触手がLv3⊳Lv4に上昇しました。》
《熟練度が一定に達したため、斬糸がLv1⊳Lv2に上昇しました。》
移動する時に試しに毒を垂れ流しながら移動したり、触手を振り回してみたり、斬糸をもっと細く出来る様に試してみたりとしてみたら、スキルがレベルアップして、毒分泌は実験台がいないから良く分からないけど、触手は少し早く動かせるようになって、斬糸は今までより少し細く出来る様になった。これで出来ることも少しは増えるだろう。
この調子でスキルを使いつつ移動していくか。
あと、捕食のレベルが上がったから他にも溶かせそうなものを試してみたら、石や骨といった今まで溶かせなかったものも溶かせるようになっていた。
冒険者の持っていた武具の中でもたぶん鉄、もしくは合金であろう剣やブレストプレートも、ゆっくーりだけど溶かせるようになった。これは溶かせる物の幅もだいぶ増えたんじゃないか?
ただまあ、物と一緒に床も溶けそうになった時はビビった。
そんなこんなで結構移動していると、四匹のゴブリンを発見した。奥に行くにつれてゴブリンも増えているのか?まあいいや、こいつ等には実験台になってもらおう。
先ずは触手を伸ばしてゴブリンの首を縛り、そのまま硬化させて動きを封じる。ココで新スキル、毒分泌の出番だ。
ゴブリンに接触している部分で毒を分泌すると、触手からにじみ出た液体がゴブリンの皮膚に浸透していき、浸透した場所の皮膚が変色していく。それと同時に、ゴブリン達が苦しみ始める。
ゴブリン達は必死になって触手を振りほどこうとするが、その程度では硬化は破れないし、触手がほどける事も無い。
しばらくすると毒がまわったのか、体液を垂れ流し、徐々に動きが鈍くなる。さらにしばらくすると、ビクンビクンと体を痙攣させるだけになり、やがて痙攣すらしなくなる。
《熟練度が一定に達したため、毒分泌がLv2⊳Lv3に上昇しました。》
確実性は有るけど、時間がかかるな...というか、この毒って経皮毒だったんだね。
少なくとも、もっと強敵相手ならともかく、ゴブリン程度に使う戦法じゃなかったかな?いや、強敵だとそもそも毒が効くかわかんないしなぁ...毒分泌のレベルがもっと上がればいいのかもしれないけど、今の段階だとどうしても実用性に欠けるな。
今レベルアップしたけど、流石に一レベル程度じゃ変わらないよね。
それはともかく捕食捕食。捕食のレベルが上がって、ゴブリンなら直ぐに溶かせるようになった。
冒険者との戦いで分かったけど、スライムにとって大きいってことはそれだけ死ににくいってことだ。この調子でどんどん捕食していきたいわけだけど...結局有効な攻撃は斬糸での奇襲くらいだし、進化前とやってることは変わらないんだよなぁ...というかそろそろ目新しい何かが有ってもいいと思うんだけどなぁ...
そんなことを思いながら進んでいると、面白い物を見つけた。
僕が見つけたのは、青みがかった半透明で流体の体...そう!スライムだ。
僕ってはたから見るとこんなだったんだ...思いの外気持ち悪い。今の僕はコレより更に気持ち悪いんだよな...
僕も一応元人間だから人間とはそれなりに仲良くしたいんだけど、今の状態だと無理だろうなぁ...もっと人間と仲良くできそうな見た目...例えば人型とかに慣れればいいんだけど...今度暇な時に擬態でも練習してみようかな?
そんなことを考えていると、スライム君の方に動きがあった。近くに通りかかったゴブリン三匹組の一匹がスライム君に殴りかかり...スライム君は一撃で動かなくなった。
え...スライムってこんなに弱かったの!?これなら魔法で簡単に体が蒸発するわけだ。いやー、物理無効のありがたさが身に染みて分かるよ。これから魔法には気を付けなきゃな...僕は物理無効こそ持っているけど、魔法に対しては耐性はただのスライムとそこまで変わらないだろうし。
あ、ゴブリン達がこっちに気づいた。せっかくだし、こいつ達で少し試してみるか。
先ずは一番近くのゴブリンまで触手を伸ばして、先端を硬化させる。そしてそのままゴブリンに全力で振り下ろす。殴られたゴブリンは多少出血しながら昏倒するが、死には至らない。まあ、コイツはしばらく動けそうにないし放置で。
触手は鈍器として使うには軽すぎるのか、それとも力が足りないのか...?残念ながら、これも今のところ実用性は無さそうかな?
次は残りの二匹の頭に触手を伸ばして取り付く。そのまま捕食すると、直ぐにゴブリンの頭は溶けて吸収され、抵抗することも出来ずに崩れ落ちた。
おお!コレはなかなか使えそうだ。
さてさて、生き残っているゴブリンはどうしようかな?別に今更ゴブリンの一匹くらい殺す旨みは少ないしな...せっかく生きてるわけだし何かに利用したいところだよな。
そうだ!いいことを思い付いた。