表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
暴食の粘魔  作者: お猫様
37/41

36話

ファブレに戻ってきて最初に行くのは、冒険者ギルドだ。

討伐証明部位は生ものだし、腐る前に処分してしまいたい。腐敗臭なんかが匂ってきても嫌だしね。


そう思って冒険者ギルドの扉を開けると、嫌なものが目に入ってきた。

ネストが2人の若い男の冒険者に声をかけられている。


何故?アレは僕の物のハズだ。

だってアレは僕が助けたし、傷だって僕が治した。身につけている物だって僕が買った。

僕に所有権があるハズだ。


アイツらは僕から物を取ろうとしているのか?

また物を取られるのか?前と同じ様に?

嫌だ。あの頃には戻りたくない。


ソレは僕のだ。返してもらおうか。そう思うと、考えるよりも先に、体が動く。

ネストと冒険者2人の間に強引に割り込んで、大鎌を構えながら睨みつける。


見れば冒険者の男2人が首から下げているプレートは銅、つまりCランクだ。


1人は鎧の下に着る用の厚手の服、サーコートを着て、腰に長剣を差している。

見た目からして剣士系だろう。


もう1人は身軽な格好で、特に防具になる類の物は身に着けていないが、腰に幅広のナイフを2本差している。

こっちは軽戦士ってところか?


剣士の剣からは魔力を感じるけど、警戒するレベルじゃないし、他の武具からは魔力を感じない。本人たちも魔力持ちじゃない。


これなら戦闘になったとしても勝てるだろう。

前と違って、僕には力がある。

最悪、人間のフリを辞めればBランク冒険者までなら殺せるハズだ。


冒険者2人も実力差を感じ取ったのか、離れていった。

それを見て、僕にも冷静さが戻ってくる。


さっきまでは頭に血が上ってて気が付かなかったけど、ネストが腕にしがみついて、心配そうに僕の方を見ていた。


というか、ネストは無意識なのかも知れないけど、耐性がない僕には刺激が強い。

前世であんな目にあってなければ、好意があるんじゃないかと思ってしまいそうだ。


とりあえず、このままだと心臓に悪いし、ネストを剥がして、受付に向かう。


受付では討伐証明部位を提示したら、すぐに報酬がもらえた。

まあ、金額が大したことないってのが大きいだろうけど。


まあ報酬はもらったし、次は商業ギルドに行くとしますかね。


商業ギルドは文字通り、街での商売などに関する事を管理しているギルドだ。

このギルドが在るおかげで、市場の不当な高騰が起こらないと言ってもいい。


そして、この商業ギルドに売りたいものを持ち込めば、物によってはギルドが定価で買い取ってくれるし、ギルドの買取に無い物でも、買取を行っている商人と仲介してくれたりもする。


と、いう事で商業ギルドにやってきたわけだ。

外装は、頑丈さを重視した無骨な冒険者ギルドとは対照的に、品がよく煌びやかな屋敷で、冒険者ギルドと同じように看板が下げられていて、看板の模様は金貨の様な模様になっている。


中には受付が2つと、奥に続くだろう扉が6つある。

ただ、簡素というわけではなく、様々な調度品が置かれて、外装同様に煌びやかだ。


冒険者ギルドを見た後だと、ここまで差がある物なのかと思わなくもないけど、よく考えたらそもそも役割が全く違う。

それを考えれば、別におかしくもないか。


まあ、そんな事を考えていても仕方がない。

とりあえず、ネストは待合のソファーに座らせておいて、並んでいる人の少ない方の受付に並ぶとしよう。


並んでから少しして、僕の番が回ってくる。

「本日はどのようなご用件でしょうか?」

「魔鉱石の買取をお願いします」

「了解いたしました。では、おまちくださ鑑定を行いますので、魔鉱石を提示していただけますか?」


そう言って、受付の人がトレーを出してきたので、トレーに持ってきた魔鉱石を乗せる。


「ありがとうございます。鑑定が終わりましたらこちらの番号でお呼びしますので、少々おまちください」


そう言って渡されたのは、数字の刻まれたプレートだ。

とりあえず、この番号が呼ばれるまで、待合のソファーで待つとしよう。


ソファーに座りながら、魔鉱石がどれくらいの値段になるか考える。


50が1つ、30が2つ、20が1つだから、買うと銀貨1枚と銅貨3枚になるはずだ。

これは買値だから、売値だと...銀貨1枚くらいか?


だとすると、僕の所持金は、銀貨2と銅貨4枚か...明日は何か良い依頼があるといいけど...

なくても、旨くない依頼でも大量に受ければなんとかできるだろう。


討伐系なら、ネストと手分けをすれば、こなせる数は増えるか?


まあ、ネストの実戦での戦闘能力がどんなものかは分からないし、一度何かと戦わせてみてもいいかも知れないな。


何にしても、モンスターが居ない事には話にならないな。


護衛依頼なんかで別の街に行くのもいいかも知れないけど、そういう依頼は、ある程度信頼がある冒険者じゃないと受けられないしなぁ...


魔鉱石を売れば銀貨1枚くらいを安定して毎日稼げるだろうけど、それじゃあ足りないし、量はこれ以上増やしても怪しまれるだろうしな...


何か稼ぐ方法があればいいんだけど...どうするかな...

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ