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暴食の粘魔  作者: お猫様
33/41

32話

ううむ...依頼を見に来たはいいけど、いい依頼がない。

いやまあ、旨い依頼はそうポンポンあるものでもないしな。


かと言って、低ランクの依頼を大量に受けたりするのは不可能だ。

1人の冒険者が同時に受けられる依頼には上限がある。


これは、依頼を受けるだけ受けて、やっぱりできませんでした、という事をする冒険者が居たために作られた所為だそうだ。


まあ無い物はしょうがないし、常時依頼でも受けるか。


常時依頼の羊皮紙を剥がしてカウンターまで持って行き、依頼を受注する。


依頼内容は、街周辺のモンスターの討伐、報酬はEランクモンスター5匹で銅貨1枚、Dランクモンスター1匹で銅貨1枚だ。


ちなみに、Cランク以上のモンスターに報酬は設定されていない。


Cランクモンスターは雑兵程度は相手にならないし、Bランクモンスターは、相手にできるのは冒険者の中でも上位の者だけだ。

Aランクにもなれば冒険者の中でもトップクラスの者が複数人で討伐に向かうレベルで、Sランクモンスターはもはや神話や物語に出てくる怪物だ。


そもそも常時依頼はこんな化け物が発生したりしないようにする為に出されているのだ。

このレベルのモンスターに出されるとしたら、常時依頼ではなく強制依頼だ。


それじゃあ、街の外に向かいますかね。


ネストに此処で待っているように言って、歩き始める。

ネストは付いていくといって食い下がってきたが、まだ冒険者登録が完了してないし、それは納得してもらった。


歩きながら、僕はふと思った。


冒険者ギルドのシステムは、文明レベルの割に、本当によく考えられたシステムだ、と。


そもそも、いくらモンスターが居るファンタジー世界だからと言って、モンスター専門の傭兵である冒険者を必要とすることは、そんなに多くないのだ。


街などの安全な場所に居れば冒険者に依頼するようなことは無いし、村などは街に比べて防備は薄いが、村があるのは、余程の例外を除けば、モンスターがほとんど発生しない安全な場所だ。


そうなると、自然と依頼は限られてくる。

村などから依頼される“普段発生しないモンスターが現れた、倒してほしい”や、貴族などの富裕層から依頼される“珍しいモンスターが発生したので、素材を取ってこい”といった、“討伐依頼”と呼ばれるもの。


行商人から依頼される“モンスターの生息域を通りたいので、護衛をしてほしい”という、“護衛依頼”と呼ばれるもの。


後は珍しいが、都市や国家を脅かしかねない強力なモンスターの発生や、モンスターの異常発生が起こるなどの異常事態が発生した場合にギルドがだす、“強制依頼”と呼ばれるものもある。


まあ、基本的にはこんな物だろう。

前世で読んだラノベでは、薬草採取だったり荷物運搬だったりと、冒険者は便利屋の様に扱われている物が多かったけど、この世界ではそんなものはない。


冒険者は仕事柄、モンスターに関しての知識は多いけど、薬草なんかの知識は持ってる方が珍しいし、荷物運搬なら、それを生業とする者がいる。


そして依頼の種類が減れば、依頼の数も当然減るだろう。

依頼が減れば、冒険者は食っていけなくなってしまう。


それでも冒険者が常に一定数居るのには、理由がある。


その理由こそが、常時依頼だ。

街が常時出している依頼の事で、基本的には出している街周辺のモンスターの間引きと、特定モンスターの素材の納品だ。


モンスター1匹あたり、素材1つ辺りのの報酬は相場より安いが、討伐数や取得数に応じて報酬がもらえるため、Cランク以上の冒険者なら、その日の宿代と食事代くらいは稼げるだろう。


そもそも何で街がこんな依頼を常に出しているかと言えば、有能な冒険者が居なくなってしまわないようにするためだ。


そこまでするなら冒険者を国家に取り込んでしまえばいいと思うかもしれないけど、それは出来ない。


冒険者は対モンスターの切り札だ。有能な冒険者はどの国でも自国に置いておきたい。

なので取り込もうとすれば、「そうですか。なら私たちは向こうの国に移動しますね」と言われてしまう。


かと言って武力で強引に従えようとしても、EやDランクを除けば、冒険者は並みの兵士よりもよっぽど強い。


なので、結局どの国も、冒険者を取り込もうとはしない。

まあ、軍事力の高い一部の国では、冒険者は必要とされていなかったりもするのだけど。


その点、ファブレは特殊な部類だろう。武装都市だけあって軍事力の面では、冒険者が居なくとも問題ないだろう。

それなのに冒険者に仕事があるのは、駐屯兵を動かせない、動かしたくない理由があるんだろうね。


そんな事を考えているうちに、街の出口である門に着いた。


門の警備兵にプレートを見せ、門を通してもらう。

いやいや、本当に便利だよ、冒険者ギルドのシステムは。

実力があり、最低限のルールを守れれば、誰でも簡単に身分を取得できるのだから。


それじゃあ、狩りを始めますかね。

さてさて、僕とネスト、二人分の宿代ぐらいは稼げるといいのだけどね。

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