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暴食の粘魔  作者: お猫様
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29話

と、いう事で帰ってきました武装都市ファブレ。

ちなみに、Cランク以上の冒険者は、プレートが身分証明書代わりになるので、通行料はかからなかった。


これは、強力なモンスターに対抗できる実力のある冒険者を街に呼び込むためのものだ。


この世界では、生き物を殺すことで、相手の持っていた魔力の一部を取り込み、魔力持ちなら魔力量が、そうでないなら肉体能力が、といった具合に強くなっていく。

これがレベルアップだ。


なのでモンスターとの戦闘が多い冒険者は、戦闘する事が少ない兵士などより、レベルが高い。

よって必然的に、強力なモンスターに対抗できるのは冒険者だけになるってわけだ。


そして、ネストは僕の体の中に収納して街に入れた。


僕の体は便利な事に、物だけじゃなく、暴れたりさえしなければ、生き物を収納することもできる。

もっとも、長時間収納しておくと窒息してしまうのだが。


ネストは奴隷だから身分を証明できるような物は持っていない。

奴隷契約を結んでいれば持ち主の持ち物としてカウントされるから通行料はかからないのだが、ネストは売りに出される前だったらしく、僕も契約は結んでいない。


まあ、既に誰かに買われていて契約を結んでいたら、僕は普通に窃盗罪で捕まるので、僕としては、売りに出される前で非常に助かったのだが。


まあそれは置いておいて、僕の体の中に収納したりすれば、僕が人間じゃないのがネストにバレるのだが、それは問題ない。


と、いうのも、ネストには僕が人間じゃない事は、街に向かう道中で説明したからだ。


そんな事をわざわざ説明したのは、街に入るのにこういう方法を使うから事前に説明したのもあるが、単純に信頼しているからだ。


とは言っても、人間性を、というわけではない。


それに街への道中では、ネストは訊いた事を答えるだけで、自分から喋る事はなかった。

僕は、そんな少しの会話で相手の本質を見抜くなんて芸当はできない。


じゃあ何を信頼しているか?それは彼女の身分だ。

僕はその様に扱うつもりはないが、彼女は奴隷である。


奴隷は持ち主に届くまでに、あらゆる方法で心を折られている。ファンタジーお決まりの、奴隷の首輪などは無いみたいだが、命令に逆らう事は、余程の事がなければないだろう。


まあそんな事は置いておいて、冒険者ギルドに行って報酬を受け取ったので、買い物をしてきたわけだ。


買ったものは、ネスト用の服と靴、それと下着だ。

服はワンピースに近く、色は黒で、銀の糸で文様が刺繍されている。

靴は黒いシンプルな黒い靴。

女性用下着は流石に僕にはわからないので、ネストに自分で選んでもらった。


服や靴が黒いからネストの白い肌や髪が引き立っていて、とても似合っている。


全部で銀貨4枚と銅貨6枚で、今回の稼ぎはほとんど使ってしまったけど、後悔はしていない。

ネストは買う遠慮していたが、これだけ似合うなら買って正解だっただろう。

それに、ネストにずっとボロ布を着せておくわけにもいかないして。


そして買い物をしている間に暗くなってきているので、宿をとろうと思う。


と、いう事でやってきました宿屋。

今回の宿は前回の本当に泊まるだけの様な安宿と違い、それなりにしっかりとしている。

部屋にはベッドなども置いてあるし、シャワールームなどこそ無いが、宿には入浴出来る場所もある。


僕だけならともかく、今はネストもいる。

前の宿だと、知らない相手と強制されるから、ネストの為にもそれは避けたい。

だからわざわざ、僕からすると少し高いこの宿をとったわけだ。


まあ、先ずは受付に部屋が空いているか確認してみるか。

「泊まりたいのですが」

「何泊でしょうか?」

「1泊でお願いします」

「1人部屋なら1人銀貨1枚と銅貨5枚、2人部屋なら銀貨2枚と銅貨3枚になります。お食事の方は朝食は付きますが、それ以外は有料になっています」


うげ、結構高いな。

というか、僕の所持金だと1人部屋を2つは無理か...仕方ない、2人部屋にするか。

まあ、それでも僕の所持金だとキツイのだが。


それと、夕食も諦めるしかないだろう。

ネストは多少の空腹感こそ感じるだろうけど、魔力さえあればモンスターにとって食事は必須じゃない。


明日まで我慢してもらうしかないだろう。


「2人部屋でお願いします。夕食はいりません」

宿泊料を渡しながら答えると、鍵を渡される。

「鍵の番号と同じ番号の部屋にご宿泊ください。それでは、ごゆっくり」


部屋に入ると、ネストが話しかけてくる。

「私もここに泊まってよろしいのですか?」


一瞬質問の意図が分からなかったが、ネストが奴隷だったことを思い出して、納得する。

今までまともな扱いを受けておらず、まともな部屋も与えられていなかったのだろう。


「そうだよ。ネストはそっちのベッドを使ってね」

僕は部屋にあるベッドを指さしながら答える。

それを聞くとネストは、遠慮しながらベッドに横になると、すぐに寝てしまう。

まあ、あんな状態だったのだ。余程疲れていたのだろう。


ただ、ベッドに横になった時に服がはだけたのか、白い肌が一部露わになっている。

ネストはそこまで肉感的な体ではないが、それでも女に耐性のない僕には充分刺激的だ。


...いやいや、僕は何を考えているんだ。

そんな事のためにネストを拾ったわけじゃない。


それに、僕にはしなければならない事もある。


僕がすることは、ネストの服の魔化だ。

僕に付いてくる以上、ある程度は武装する必要があるだろうしね。

ちなみに魔化は、着たままでも全然行える。


まあ魔化を行うのは2度目だし、ちゃちゃっと済ませますかね。

魔方陣を描いて、素材、まあ僕の体の一部をちぎってのせて、魔力を流す。魔力の量は...まあ多いに越した事はないし、ありったけ入れてみよう。


そして完成した服は、別にそこまで変化しなかった。

布が上質になったぐらいかな?


肝心の効果は...フムフム、物理耐性と自動修復か。

物理耐性は、僕の物理無効の下位互換的な能力かな?

まあ、なかなか強いんじゃないかな?


それじゃあ、僕も別途に横になろうかな。

まあ僕は別に寝たりしないのだけど。

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