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暴食の粘魔  作者: お猫様
19/41

19話

変化したところを確認し終えて、とりあえずすることもないし、さっき見つけた街にでも行ってみようと思ったら、見た目が人間になるのにともなった問題が発生していることに今更気が付いた。

そう、服がないのだ。いや、服っていうか身につけるもの全般がない。

洞窟ではローブを着てたけども、持って脱出することはできなかったし、持っててもボロボロで使い物にならなかったと思う。

いくらファンタジーといえど、全裸の男が街に入れるほど検問がユルユルなわけも無いだろうし、もし入れたとしても不審者か変態がいいとこだろう。下手したら、いや、下手しなくても衛兵とかにつかまるのがオチだろう。


ただまあ、体を隠すだけならいくつか方法はある。

一つ目は体の一部を液体状に変化させて体を纏う方法。ただこれには圧倒的な問題点があって、細かく形成できないから、スライムに捕食されかけてるようにしか見えない。

二つ目は闇魔法を体の周りに闇魔法で作り出した闇を纏う方法。こっちは比較的細かく形成できるし、服みたいな形に形成することもできるだろう。こっちの問題は、気を抜くと形が維持できないのだ。


とまあ、こんな感じで、今の全裸状態を回避する方法は僕は持っていないわけだ。ただまあ、考えがないわけじゃない。こういうファンタジー世界だと、こういう人気のないところにはお決まりとして、盗賊とかが現れるものなんだよ。

ということで、ここらへんで盗賊とかそんな感じの奴らを捕まえて、逆に身包み剥いでやろうって魂胆だ。

まあ別に盗賊じゃなくたって冒険者でも旅人でも現地人でも何でもいいけどさ。


しばらく進むと、少し開けた場所に出る。ここに来るまでにうっすらと緑がかった毛皮の小さめの狼とか、見たこともない形した虫とか見たけど、狼は近寄ってこなかったし、虫は別に攻撃してこなかった。


まあそれはいいとして、小さめの湖を中心に、ここだけ木が生えていないし草が低い。

一部、湖の周りの一部の草が周りに比べて不自然に低くなっている。たぶん知的生命体がとったんだろうと思う。


とと、何か足音が聞こえてきた。足音の間隔からして二足歩行、数は一つ。

とりあえずこいつが何者か分からないし、近くの木の上に登って隠れておく。

少しして見えてきたのは、白衣の様な外套を身にまとい、首からネックレスを下げ、腰に一本のナイフを差している男だった。ほとんど肌を出していないけど、僕ほどではないけど、不健康に白い肌に、筋肉も脂肪もついていない細い体。

ただ、この森には狼もいたわけだし、ここまで来たってことは最低限の自衛くらいは出来るはずだ。たぶん魔法使い系だろう。


というか人間じゃん。ありがたいことに男と僕はそこまで体格に差は無さそうに見えるし、これで全裸生活は回避できそうだ。

それと、白衣とナイフ、ネックレスからはそこそこの魔力を感じる。たぶん何かしらの力があるんだろうし、警戒しておこうか。


そんなことを考えているうちに、男はさっきの不自然に低い草のところに行って、ナイフで草を刈り始めた。僕には他の草との違いはよくわからないけど、男は選んで刈っているあたり、そのとっている草に何かしら効果があるんだろう。薬草とかそんな感じかな?

というかあのナイフ、特に警戒する必要は無さそうだけど、草がほとんど抵抗なく切られている。

物凄い業物か、それとも魔法的効果か...たぶん魔法的効果だろうな、ナイフから魔力を感じたし。


とりあえず奇襲でもかけてささっと殺して、身包み剥いでやろうじゃないか。

そう思って触手剣を一本伸ばして切り付けると、硬質な音が響くと同時に、見えない壁でもあるかのように弾かれた。

なにこれ?まさか防がれるとは思ってもいなかったけど、まあファンタジーの世界だし、結界とかバリアとかそんな感じだろ。問題は、どうやって破るかだ。


警戒して触手剣はすぐに引っ込めたけど、どうやら向こうはこっちに気が付いたらしく、懐からワンドを取り出して僕の居る方に突きつけると、何かブツブツと呟く。すると赤い魔方陣が展開され、そこから僕に向かって炎の矢が射出される。

とりあえず一瞬だけ闇魔法で周りに闇を展開して、相手から僕が見えなくなっているタイミングで別の木に飛び移る。

すると驚いたことに、炎の矢は展開した闇を貫通せず、当たった個所を打ち消すだけにとどまった。


おお!闇魔法で出した闇って魔法に対しては干渉するんだ。これなら魔法に対する盾としても使えるな。

それはともかくとして、男の頭の位置に闇魔法を発動して、視界を潰す。そして男が混乱している隙に、即席剣を作って頭に振り下ろす。

触手剣の時と同じように透明の何かに防がれるが、そのまま力を込めて押し込むと、ガラスが割れるような音がして男を守っていた見えない壁が無くなり、そのまま男の頭に即席剣が突き刺さる。


頭に即席剣が突き刺さった男は、一度体を大きく痙攣させた後、動かなくなる。

それじゃあ、装備品物色タイムといこうじゃないか。

2019年2月3日 2話、16話を一部改変しました。

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