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暴食の粘魔  作者: お猫様
17/41

17話

扉を開けるとその先は、体育館ぐらいの広さの空洞になっていた。

壁や天井は今まで通り凸凹していてお世辞にも綺麗とは言えないけども、床だけ割と綺麗に整地されていて凹凸は少ないし有っても小さい。


そしてその大部屋の中心に、やたらと立派なゴブリンがいる。いや、多分ゴブリンだと思う。

まず普通のゴブリンが濃い緑色の肌で、猿と人間を足して二で割った様な醜悪な顔の人間の子供ぐらいのモンスターだ。

それに対してここに居るのは、肌の色と顔立ちこそ似ているものの、体つきが圧倒的に違う。僕の身長が170cmいかないくらいなのに対して僕より少し低いくらいだと思うから165cmくらいだと思う。

それに猫背になっているのを考慮しても、腕が異様に長い。垂れ下がった腕が地面についている。

体のバランス的に、人というより醜悪な猿といった方がしっくりくる。


そして身に着けているものも、ゴブリンとは圧倒的に違う。ゴブリンが腰ミノと棍棒程度しかもっていないのに対して、こいつはボロボロだが立派な赤いマントに王冠を身に着け、よくわからない紋様が入ったロングソードを持っている。

見た目からして、ゴブリンキングとかゴブリンロードとかそんな感じかな?


そんなゴブリンが僕を見つけた瞬間、黄色く濁った眼でにらみつけ、奇怪な叫び声をあげ、剣を構えながら突進してくる。

早い。多分僕より運動能力は、僕より高いだろうと思う。


一瞬で距離を詰め、上段から体重を乗せ、切り付けてくる。しっかりと剣の技術を持った者の動き、しかもゴブリンウォーリアよりも動きがいい。

右腕を腕に戻して、硬化させて剣を受け止める。剣は弾いたが、硬化させた腕に浅くだが傷を残す。

ゴブリンは剣が弾かれたのを予期していたのか、即座に僕の無防備な横腹に向けて横薙ぎに剣を振るう。

横腹に中ほどまで剣が刺さったのを見て、剣の周りを硬化させて動きを封じ、硬化させた右腕に不浄な霧を纏わせて全力で殴る。

それに対してゴブリンは後ろに飛んで回避しようとするが、不浄な霧に触れた瞬間動きが少し鈍り、避けきれずに腹にあたり、一メートルほど吹き飛ぶ。


痛ッたぁ...何だこの剣?一瞬で再生したけど、物理攻撃が効かない僕に対して傷を与えた!?物理無効を過信しすぎるのはよくないな...

とりあえず剣を抜こうとしてみると、謎の反発力で手が弾かれる。何だこれ?まあ別に抜けなくてもいいや、このまま捕食したろ。


剣を捕食すると、剣が煙を上げながらゆっくり溶け始める。それを見たゴブリンが異様に長い腕を引き絞りながら、特攻してくる。

一瞬で距離を詰め、拳を僕の顔に叩き込み、それと同時に剣を僕から引き抜く。

ただ、パンチは僕の物理無効を突破できなかったらしく、腕は僕の頭に刺さっただけで痛くもなんともなかった。

ゴブリンの腕の周りを硬化させて、抜けなくした後、右手に剣を作ってゴブリンの心臓、人間なら心臓がある場所、に突き刺す。そのまま剣から不浄の霧を発生させて、剣をひねりながら引き抜く。

胸に空いた穴から大量の血が流れ出し、動かなくなる。どうやらちゃんと心臓を潰せたらしい。


《経験値が一定に達しました。Lv1⊳Lv2に上昇しました。》


ゴブリンを倒すと、部屋の奥に心臓のように鼓動する水晶球が現れる。

何だこれ?このよくわかんない水晶球からは僕の中にある魔力の何倍もの魔力が感じ取れるんだけども...これはもしかして、ダンジョンコアってやつか?

まあ魔力はすごいけど、それだけだ。むしろ手も足もないあんな体で攻撃してくる方が驚きなんだけど。

というかこのダンジョンコア(仮)が凄くおいしそうに見える。モンスターとしての本能なのか、何か魔力を持っているものに対して食欲がわいてくるんだよね。

まあいいや、食べちゃえ。もし毒があっても毒吸収がある僕には効かないだろうし。


とりあえずダンジョンコア(仮)にまとわりついて、捕食。

捕食を開始してしばらくすると、ダンジョンコア(仮)の表面が溶けたあたりで、全身に激痛が走る。

痛い痛い痛い痛い!何だこれ!?体の内側から焼けるような激痛がする。

さらに体を突き抜けて光の筋が何本も出てくる。そこから瞬時に再生するけども、再生が追い付かない。


《熟練度が一定に達したため、高速再生がLv1⊳Lv2に上昇しました。》


高速再生のレベルアップに伴い再生速度が上がるけど、それでもやっぱり再生が追い付かない。それどころか体の損傷率はむしろ増えている。やばいなこれ。


《熟練度が一定に達したため、高速再生がLv2⊳Lv3に上昇しました。》

《熟練度が一定に達したため、高速再生がLv3⊳Lv4に上昇しました。》


高速再生がまたレベルアップしたおかげで損傷速度と再生速度が拮抗しだした。しっかしこんな速度で高速再生がレベルアップしてるって、どんな速度で損傷と再生を繰り返してるんだよ...


《熟練度が一定に達したため、高速再生がLv4⊳Lv5に上昇しました。》


あ、また上がった。それと同時に再生速度が上回り始めた。それにそろそろ消化し終わりそうだな。

あ、消化し終わった。何気に今までで一番ピンチだったかもしれない。

ダンジョンコア(仮)を捕食し終わると、体積が一気に増えて、僕の魔力も一気に爆上がりした。

ダンジョンコア(仮)の持っていた魔力がそのまま僕の魔力になったんじゃなかろうか?


《一定条件を満たしたため、称号:貪食 を取得しました。》

《称号:悪食 過食 貪食 が統合し、称号:暴食 に変化しました。》

《称号:暴食 の効果で 『捕食』が ユニークスキル『暴食』 へと変化しました。》

《保有魔力量が一定以上になったため 魔物種⊳魔人種 へと変化しました。》

《一定条件を満たしたため、称号:魔人 を取得しました。》

《スキル『闇魔法』を習得しました。》

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