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375.それは、ブリリアントな未来が映えると願い

「ひゃあああぁぁぁ~~~! サイコーーーッ!!」

「ちょっ、ヒカリ! いきなりそんな飛ばすとあぶないわよ」

「ふふっ、でも無理らしからぬ事じゃないかしら」


 大空をペガサスにまたがってこの上なく上機嫌なヒカリを、ゆきとエレリナが自分のペガサスに騎乗して並走している。


「だってしょうがないでしょ!? ペガサスだよペガサス!」


 そう言ってヒカリは自分が跨っているペガサスの首を優しくなでる。それが気持ちよいのか、すすっと首を曲げてヒカリの手に擦り寄るペガサス。

 このペガサス、実はヒカリの召喚獣なのだ。というのも、俺の個人的な思考趣味で


『ペガサスといえば三姉妹!』


 という概念があったのだ。元々ゆきとエレリナという姉妹にペガサスを与えた時点で、それが脳裏を横切ったのだが、いかんせん姉妹というのは増やせるものじゃない。

 ……だったのだが、ヒカリという存在により“姉妹”と呼ぶに差し支えない立場の人物が登場した。そして、以前こちらの世界にこれる事を知ってから、ひそかに新たなペガサスを準備しておいたのだ。

 その事をヒカリに教えると、すぐさま呼び出して思いっきりペガサスに抱き着いた。その純粋な好意にペガサスも嬉しかったようで、あっという間に意気投合して今に至るというわけだ。


 ちなみに名前は『セレーネ』との事。ゆきとエレリナのペガサスが、ルーナとダイアナという事でそう命名したらしい。後は……そうだなぁ、ギリムさんにお願いして二人と同じ槍をもう一本作ってもらうか。やっぱりペガサスで三姉妹なら、槍でトライアングルが王道だからな。




 ひとまず満足するまで飛び回ったヒカリが降りてきたので、出かける前に色々と話をすることにした。といっても、こっちの世界に関しての基礎知識はもう十分なので、今後は滞在期間が長い&頻繁になるという事に関しての話だ。


「まずヒカリの立ち位置だけど、ゆきの妹ということでエレリナ──ゆらと合わせて三人姉妹という事でいいかな?」

「うん、もちろんオッケーだよ」


 そのエレリナが出してくれた茶菓子を頬張り、上機嫌で返事を返してくる。わかっていたことだが、すっかり馴染んでしまっているのは有難い。


「それでなんだが……ヒカリのこっちでの住居はどうしたい? 何か希望があれば可能な限り検討するけど」

「ええっとねぇ……」


 少し考えながらぐるっと見渡し、最後に視線がゆきに止まる。


「やっぱりお姉ちゃん達と一緒がいいな。ここってまだ部屋とか余ってたりする?」

「ああ、大丈夫だぞ。もし決まらなかったら、ひとまずここに住んでもらおうかって思っていたんだが……それでいいか?」

「うん、もちろん!」

「わぁっ、また賑やかになりますね」


 元気よく返答を返すヒカリに、ミレーヌが嬉しそうに手をあげてよろこぶ。見れば彼女だけじゃなく、ミズキやフローリアも嬉しいというのが表情からわかる。


「それじゃあ部屋はどこがいい? 向かって左側が俺たちの個室、右側が来客用になっているんだけど」

「なるほど……。部屋って誰がどこ?」

「左側の使用してる部屋の一番奥からエレリナ、ミレーヌ、フローリア、俺、ミズキ、ゆきの順だよ。でもそれより奥にも手前にも部屋は空いてるよ」


 大きな温泉旅館になっている建物の最上階をまるまる使っているので、家としてはずいぶんと広い構造だ。いわば、マンションの1フロアをぶち抜いてるようなものだな。


「んー……それなら手前の部屋っていい? お姉ちゃんの隣だよね」

「ああ、かまわないぞ。部屋を見てくる?

「いいの? 行ってくるー!」


 わーっと元気に走っていくヒカリ。それを見てあわててついていくゆき。なんだかんだいって良いお姉ちゃんしてるんじゃないかな。

 走っていった先を見てると、開け放たれた入り口から「畳がある!」とか聞こえてくる。それぞれの部屋にも畳の小上がりがあり、座るもよし寝転がるもよしとなっている。

 そして暫く騒いでいたかと思ったら、入り口のある廊下ではなくベランダの方からこちらに帰ってきた。


「皆の部屋ってベランダ側でもつながってるのね」

「まあね。でも危ないから走らないでね。まぁ……たぶんこっちの世界じゃ、落ちても普通に着地できそうだけど」

「了解~」


 返事を返しながらヒカリがテーブル席に戻ってきた。ひとまず部屋の確認は完了したみたいだ。少し興奮しながらこっちに話しかけてくる。


「あの部屋、本当に使っていいの?」

「勿論。ここは俺たちの家で、あの部屋は空き部屋だったからね。当然家賃とかそういうのも不要だよ」

「ありがと~!」

「ねえお兄ちゃん。ヒカリちゃんの部屋ってまだ何もないんでしょ? だったらこれから家具とか買いにいくのはどうかな?」

「あー……そういえばそうだな」


 確かにあの部屋には何もない。むしろ向かいの来客部屋のほうが、最低限のものはそろっているかもしれん。左側の未使用部屋はまったく予定がなくて空っぽだったな。


「それじゃあ皆で出かけようか」

「「「はーい」」」


 俺の声に皆が上機嫌で返事を返す。

 実際のところ、女の子の部屋にあわせる家具なんてもんは、やっぱり女性じゃないといいものが選べないだろうから感謝だ。

 とりあえず……まずはタンスとか、そういう物からかな?



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