惨劇の館にて悲哀の幕開け
・・・・彼はあのときとは違い、
爽やかな笑みを浮かべている。
でも、間違いなく彼だった。
「初めまして。嶋嶺 玲です。」
ああ。声も素敵だ・・。
その分、衝撃も大きい。
『夫』・・『夫』・・・。
「捌籤 雨です・・。」
自然と声は暗くなる。
「あ!私と同じ名前ですね!」
「・・・そうデスネ・・。すごい偶然デスネー・・」
平素なら彼の嬉しそうな声に夢中になるだろうが・・。
私の眼はさらに虚ろになり、声も平坦になる。
偶然というか・・皮肉だ・・。
失恋のショックで、それからの記憶はおぼろげだが・・。
皆、順番に自己紹介を始めた。
簡潔におぼろげな記憶をまとめると・・。
嶋嶺 華。
今回私を招いた白鳥館の女主だ。
私のファンらしいが・・。
友人によると、元華族のご令嬢らしい。
華やかな美人。
・・・・玲さんの『妻』だ・・。
有栖川 遥
占い師で、テレビでよく見る顔だ。
華さんの友人らしい。
芸能人をよく占っている人だから、
その関係者である華さんと親しくなったらしい。
華さんは芸能界でも顔が利くらしい。
河東 優
医師らしい。
華さんの友人。
神経質そうな顔だった。
狗藤 翔
動物学者。
華さんの友人。
特に狼の生態を研究しているとか。
スポーツマンタイプ。
碌房 律
警察官僚。
華さんの友人の友人。
この人とは知り合いだ。
何度か顔を合わせただけで、
言葉をそう交わした訳じゃない。
警察の協力要請の際に打ち合わせしたくらいだ。
個人的には脂ぎってギラギラしているので、
あまり好きではない。
社交辞令で生挨拶をしておいた。
・・・というか彼以外には眼があまりいかない。
しかし、よくこれだけ様々な職業の人間を集めたものだ。
どうやらクリスマスシーズンを優雅に過ごそう、
という華さんの要望に皆応えたようだ。
華さんの隣に立つ彼は輝いていて・・・。
うっ・・・!!眩しい・・・っ!!
なんでクリスマスに私は
失恋の悲しみに浸らなければならないのだろう・・!!
この世の理不尽を嘆きながら、
私はヤケのように豪華な夕食を詰め込んだ。
事件は起こっていないのに、
私の悲しみとショックゲージはMAXだった・・。




