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絶望の探偵誕生

あらすじ通り

※一応「探偵」「ミステリー」ものですが、

 推理で犯人当てが出来るものではありません。

 作者はトリックとか書けません。

 あくまで「雰囲気」です。

 心情やストーリーを楽しむ用。


※残酷描写は軽め、の筈です。

 当然ながら殺人が起きますので、そのため。


クリスマス用に書きますが、

クリスマスまでに完結できるかあやしいです。

頑張ります。

よろしくお願いします。

 自分で言うのもなんだが私は名探偵だ。

そう呼ばれている。


そして・・絶賛、失恋中である。




 ―――私、捌籤(はちくじ) (れい)

このライトノベルばりの珍しい・・

というかキラキラネームのおかげで、

悪目立ち目立ち・・。

ますます名探偵に祭り上げられた。

両親を恨む。

そもそもこの探偵という職業も馬鹿な両親のおかげだった。




 ―――私は探偵になりたかったわけじゃなかった。

ただミステリー好きな小学生だった。

そこで、探偵が夢!とか言い出す思考はなかった。

というか探偵は現実にはいないと思っていた。

だから、私の夢は小説家だった。

きっと小説家になってもミステリー作家にはならなかっただろう。

だって・・。


だのに、強制的に私の探偵という存在は世間に知れ渡る。

うっかり殺人事件を小学五年生にして解いてしまったからだ。

夏休みに訪れた避暑地で起こった殺人事件。

よせばいいのに、私は好奇心で現場を覗いてしまった。

そして、幼心にその一言を発してしまったのだ。


「この人が犯人なのに、なんで警察の人は捕まえないの?」と。


その一言を私はずっとずっと後悔することになる。



尋ねられるままに私は殺害方法などを論理的に説明した。

そんなこと、大人達が分かって当然だと思っていたからだ。

だが、皆分かっていなかったのだ。

私が、異質だったのだ。


そして、両親は馬鹿だった。

親馬鹿だった、とも言える。

後先考えず、

「ウチの子は天才なんです!!」

とあちこちに触れ回った。

その結果、メディアで大報道。

次々と依頼が舞い込む。

その解決。

警察からの表彰。感謝状。

すっかり私は名探偵になってしまっていた。


始めは順調だった。

だが、私という『人間』は蝕まれてゆく。



私も幼いとはいえ愚かだった。

殺人事件は紙とインクじゃなかった。

加害者がいて、被害者がいて。

凶器と血糊と怨嗟があった。

事件は『ほら解決。めでたしめでたし。』じゃなかった。


始めは純粋にただ嬉しかった。

いろんな人が褒めてくれるのが素直に嬉しかったし、

人助けできるのも純粋に嬉しかった。

けれど、それは徐々に変容した。


感謝の声もたしかにあったけれど。

世間の名声とともに嫉妬の眼。

殺人を止められなかったという怨嗟の飛び火。

家族仲は最悪になり、

プライバシーは無くなり、公私の境目も曖昧になる。

―――私はいつしかすっかり絶望していた。

私の忌まわしい職業も。

それを辞められない自分自身も。


幾度も辞めようと思った。

けれど、叶わなかった。

世間の奇異と期待の眼。

遺族の懇願。

それに私の才能。

それをどうしても切り離すことが出来なかった。


それに拍車を掛けるように、私には神話が生まれていた。

『私が追い詰めた事件の犯人は、自首する』。

どんなに凶悪で凶暴で自暴自棄の犯人でも。

私には、どうすれば自首に導けるのかが、はっきり見える。

まるで糸のように。

人々は『それ』を『天使(エンジェル・(エコー)』と呼んだ。

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