25 新たな装備とカムカム亭
前回のあらすじ
講習会で隠蔽スキルに加えて回復魔法も習得した。報酬にスキル魔石作った。
出かける前に近くのご飯所を紹介してもらおうとカウンターに並んでいる。
僕が知っている所だと南門から東の外周通りなのでちょっと遠いのだ。
最悪は以前買っておいた食事を森崎さんから出してもらって食べるという手もあるが町中の立ち食いはどうなんだろうか。
あ、ヒロシがいた!もう出て行くところか、格好がジャージじゃないしこっちには気付かなかったな。
一緒に居たのは知り合いのプレイヤーなんだろうか、他の人はどんな風に遊んでいるのかな?
冒険者ギルドに来るとなんだか他の人の動向が気になるな。
ああそうだ、並んでいるうちにさっきの講座で獲得したスキルを確認しておこう。
レベル3【ステータス】でレベルによる変化も見ておこう
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【名前隠蔽】
自身を特定する情報を指定して隠蔽する。レベル上昇で解析系スキルへの抵抗力が上昇する
レベル1あたり2レベル分の【解析】系スキルを無効にする
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特定する情報だから通り名も隠せるのか。
これがレベル4だからレベル8までは抵抗できる!やったね。
通り名問題はとりあえずの解決だ。
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【回復魔法】
対象の身体と精神を回復させる。レベル上昇で効果と規模が拡大される
レベル1は毒、レベル2は精神、レベル3は病、レベル4は欠損、レベル5は死を回復する
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レベル5まで覚えたから一通り何でもできるな。
風邪菌が毒だとか一緒に教えてもらった知識も役に立ちそうだな。
並べてみるとレベル1の毒回復のスキルが凄く有用そうだ。
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【魔力操作】
魔力の効果を高め消費を低減させる。レベル上昇で効果が強化される
レベル1あたり消費魔力の10%を低減する
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これですよ。魔力消費が常に10%割引なのはすごく嬉しい。
【ステータス】などを使う際にも結構消費するのでありがたい。
この3つはどれも凄く嬉しい。早速隠蔽系スキルを使ってちょいちょい隠していく。
まず通り名、それからレベル10の【飛剣術】【見取り稽古】、隠蔽スキル【名前隠蔽】【能力値隠蔽】【スキル隠蔽】、さらに【ログイン】と固有スキルを隠蔽した。
何となく【能力値隠蔽】を取得したけど、こっちは使い所が難しいな。
結果こんな感じになった。
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ユーキ(地球人・男)
通り名:便所の魔神 <隠蔽 4>
能力値
体力 95 /95 (86+9) [ 355 /860 ]
魔力 68 /97 (88+9) [ 2 /880 ]
筋力 84 (76+8) [ 742 /760 ]
器用 114 (81+33) [ 125 /810 ]
敏捷 114 (87+27) [ 5 /870 ]
スキル
・身体
【体力強化】1 [ 1125 /3000 ]
【魔力強化】1 [ 532 /3000 ]
【筋力強化】1 [ 1602 /3000 ]
【器用強化】4 [ 139526 /300000 ]
【敏捷強化】3 [ 8170 /60000 ]
【視力強化】1 [ 663 /6000 ]
【聴覚強化】1 [ 301 /6000 ]
【嗅覚強化】1 [ 301 /6000 ]
【受け流し】4 [ 15402 /300000 ]
【回避】4 [ 17028 /300000 ]
【体術】4 [ 17149 /300000 ]
【瞬発】4 [ 53601 /600000 ]
【静止】4 [ 83600 /600000 ]
【蹴術】1 [ 2800 /3000 ]
【再生】3 (2+1) [ 12232 /15000 ]
【切断耐性】1 [ 2601 /6000 ]
【刺突耐性】1 [ 2601 /6000 ]
【圧迫耐性】2 [ 25000 /30000 ]
【魅了耐性】2 [ 1105 /30000 ]
【気配察知】2 [ 9555 /30000 ]
【魔力吸収】1 [ 1097 /12000 ]
【魔力操作】1 [ 137 /6000 ]
【並列思考】3 [ 90112 /240000 ]
・武器
【剣術】5 [ 537433 /3000000 ]
【騎士剣術】4 [ 845400 /900000 ]
【曲剣術】1 [ 8500 /9000]
【槍術】2 [ 11601 /12000 ]
【短剣術】1 [ 561 /6000 ]
【爪術】1 [ 100 /6000 ]
【投擲術】1 [ 126 /6000 ]
【飛剣術】10 [ 605 /12000000000 ] <隠蔽 3>
・魔法
【風魔法】1 [ 3926 /9000 ]
【念動魔法】1 [ 181 /9000 ]
【回復魔法】5 [ 3807332 /6000000 ]
【生活魔法】4 [ 120002 /1200000 ]
【風圧耐性】1 [ 3603 /9000 ]
【冷寒耐性】1 [ 303 /9000 ]
【名前隠蔽】4 [ 101630 /180000 ] <隠蔽 3>
【能力値隠蔽】3 [ 22931 /45000 ] <隠蔽 3>
【スキル隠蔽】3 [ 30750 /45000 ] <隠蔽 3>
・芸術
【歌唱】1 [ 1825 /3000 ]
【弦楽器術】1 [ 1133 /6000 ]
・加工
【調理】4 [ 584400 / 120000]
【解体】1 [ 728 /6000 ]
【解錠】1 [ 3 /6000 ]
・成長
【見取り稽古】10 [ 6308258 /9000000000 ] <隠蔽 3>
・異世界
【コンソール】1 [ 1020 /9000 ]
【ステータス】2 [ 258 /60000 ]
【イクイップ】1 [ 5 /12000 ]
【エネミーサイン】1 [ 191 /9000 ]
【ターゲット】1 [ 214 /9000 ]
【ターゲットライン】1 [ 112 /9000 ]
【インベントリ】1 [ 507 /12000 ]
【インタープリター】1 [ 32 /9000 ]
【AFK】7 [ 1998742 /90000000 ]
【ウィスパー】1 [ 101 /6000 ]
【ファンファーレ】1 [ 525 /6000 ]
【ブライトネス】1 [ 210 /6000 ]
【ミュート】1 [ 201 /6000 ]
【冒険者カード】4 [ 217501 /1200000 ]
【冒険者マニュアル】2 [ 1162 /60000 ]
【ログイン】1 [ 10 /15000 ] <隠蔽 3>
・固有
【スキル習得】2 [ 15278 /60000 ] <隠蔽 3>
【成長加速】1 [ 3305 /15000 ] <隠蔽 3>
【金玉飛ばし】1 [ 482 /12000 ] <隠蔽 3>
【森崎さん】1 [ 867 /15000 ] <隠蔽 3>
装備
右手 なし
左手 なし
頭部 なし
胸部 上級剣術着
腕部 なし
脚部 上級剣術袴
足部 迷い人の靴
持ち物
所持金
50,432,865¥
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スキルだけ見るとレベル4冒険者に負けないステータスに見える。
ただ能力値を見るとレベル3冒険者だったカナミさん達に劣っているような気がする。
やっぱり魔物を倒さなければバランスが悪そうだ。と、そこまで考えたら前の冒険者が居なくなった。
「いらっしゃいませ?どのような用件ですか?」
「あの、職人街の辺りで昼食が食べられる場所はありますか?」
「はいブローゲット通りですね?こちらの通りの東の方に食事を食べられるところが2,3店舗あります」
受付嬢さんはカウンターの下から素早く街の地図を出して案内をしてくれた。
やけに良く出来た地図だ。あの職人街はブローゲット通りと言うらしい。
職人は自宅で食べる人が多いので通りの端まで行かないと無いようだ。
お勧めを聞いたら、個人的な好みですがと前置きして、カムカム亭という店を紹介された。
この情報が無料で貰えるのはありがたい。
受付嬢さんにお礼を言ってカウンターを離れ、冒険者ギルドを出た。
―――――――
「こんにちは~!」
「おう!こないだのお兄ちゃんか!出来てんぜ!ちょっと待ってな!」
装具店に入るとコペルスさんが店番をしていた。ちゃんと出来ているようだ。
「おうこれこれ!コイツは風を操る魔物の皮で拵えたんで例の剣と相性が良いはずだ。ちょっと短剣貸してくれ」
コペルスさんは机の上に幅のある腰ベルトが付いた鞘を取り出した。
「わかりました」
『森崎さん机の上に出して貰えますか?』
『承りました』
僕は森崎さんに机の上に2本の飛剣を出してもらった。
「かー。相変わらずこいつはスゲェ魔剣だな。ちょっと納めてみるぞ。おお大丈夫だな。
それじゃ、ちょっと両手を上に上げてくれ」
両手を上げると鞘を腰にはめてくれた。ベルトの前を2カ所止める形になっている。
手を動かしてみるが意外とコンパクトに収まっていて良い感じだ。
後ろに手を回してみると飛剣の握りが手に取りやすい。なんか強くなった気がしてくる。
【イクイップ】に登録したほうがいいかな?
いや、実際には【飛剣術】で鞘から直接飛ばす形になるはずだからいいか。
「おお!なかなか似合ってるぜ!その道着、あれ?その道着は上級剣士の道着じゃねーか?」
「ええ、道場の女将さんから頂きました」
「たまげたな!お兄ちゃんも上級なのかよ!でもそれ短剣だよな。いいのかい?」
「ああ、剣は別にあって、そっちは鞘もあるんですよ」
試しにそっちも合わせてみようか。
『森崎さん血食いの剣の鞘を付けて貰えますか?』
『承りました』
ベルトとセットになった鞘が左腰に下げられた。
こっちも良い感じだ。2つのベルトは干渉せずに腰に収まっていた。
「おおっと」
「これです」
「ちっとは慣れてきたが、こうパッパと出されるとやっぱり驚くわ。そいつがアンタの剣かい」
「はい。頂き物なのですが、とても良い剣です」
そう言うと剣帯からすらりと抜く。
【剣術】スキルはだいぶ馴染んできたようで取り出す動作に淀みが無い。
手に持った感じも最初に手にした時の重たくてなんとか振り回せそうだなという感じとは大きく違う。
「おお、そいつもかなりの魔剣だな。さすが上級剣士様って訳だ。短剣術もそこそこの腕なのかい?」
「【短剣術】はまだまだ練習中なんですけどね、こういうのが使えまして」
血食いの剣を納めてそう言うと、右側に納めたスカッドを宙に飛ばしてピタリと止める。
「うぉー!なんだいそりゃ!飛んでるじゃねえか」
「ええ、そういう剣術なんですよ。こっちの方が得意でして、そのために鞘を拵えさせてもらいました」
「ほ~すげえすげえ!面白い物を見たな」
コペルスさんがいちいち褒めてくれるので嬉しかった。
「良い物見せてもらったからちょっと良い物を売ってやるよ。ちょっと待ってな。ええとこの辺に大事にしまってあったはず。おおコイツだ」
出てきたのは皮のブーツだった。確かにこの服装に運動靴はどうかと思ってはいたけど。
なんか道着に革のブーツって大ヒットした映画に出ていた宇宙を股に掛ける侍集団の格好みたいだ。
あれ?格好良いかもしれない。あれあれ?良いじゃ無いですか。
「コイツは魔道具でな、猫足の靴って言うんだが【気配隠蔽】の効果が掛かってるのよ。剣士にはピッタリだろ!」
「ええ、とても良さそうですね」
でも、なんかちょっと大きいような気がするんだよな。
「ちょっと履いてみてくれや」
「じゃ、履かせてもらいます。っとうぉお」
足を入れたらヒュっと縮まって足にピッタリなサイズに調整された。
「何びっくりしてんだよ。魔道具なんだから体に合わせて調整するのは当たり前だろ?」
「そ、そうなんですか。いつもこの靴だったので知りませんでした」
「か~。上級剣士にもなってそんなこと知らないなんて、不思議な奴だな、あんたは」
そんなこと前にも誰かに言われたな。あ、そうだコータさんとツネさんだ。彼らは元気にやってるかな?
これ高そうだよな~。鞘とブーツでいくらになるんだろうか?
「でもこのブーツは結構高そうですよね。魔道具ですし」
「アンタが体に巻いてる鞘も魔道具なんだぜ【風魔法】の効果が掛かって落ちにくくなってんのよ。むしろそっちの方が珍しいかもな。」
確認すると確かに魔道具のようだった。
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風牛の鞘
ウィンドオックスの皮で作られた腰履き型の短剣の鞘。左右に2本づつ4本の短剣を収納できる
【風魔法】の力を備え体にピッタリと装備することができる
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ウィンドオックスって空飛んじゃうのか?それとも【風魔法】使うけど地面を歩くだけだろうか。
なんかそろそろ魔物とも戦ってみたい気になってきた。
ついでに靴の方も【ステータス】を見てみよう。
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猫足の靴
【気配隠蔽】の力を備ええたブーツ。装備した者は気配を悟られにくくなる
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うん。これは良さそうだな。
「まぁアンタがそこに浮いてる剣を見せてくれたことだし、合わせて予定の50万とは言えないが60万でいいぜ」
「ありがとうございます!」
こうして僕は立派な装備を手に入れ店を出た。
なんか装備が一新されると楽しくなって来るな。食事処に向かって軽快に歩く。
この格好ならルニートさんとのデートにも耐えられそうだ。
ってどうやって誘えばいいんだろうか。
は~~。それを考えたら憂鬱になってきた。
―――――――
受付嬢さんお勧めのカムカム亭はパスタがメインのお店だった。
そして店員の女性が可愛い子揃いで元気に給仕してくれたので、ちょっと元気になってきた。
これからルニートさんをデートを誘おうと思っている人間がこれで良いんだろうか。
まぁ深く考えてもしょうが無い。
きっと例のシナリオライターさんがそういうイベントを組んでいるに違いない。
厳しくない展開でお願いします。
このお店のランチお勧めのパスタはとても美味しかった。
「お味は丁度良かったでしょうか?」
「あ、ハイ。とても美味しいです」
ふわっとしたショートカットが可愛い店員さんが話しかけてきた。これはアンケート的なものかな?
現実でもこういうヒアリングを最後にする店あるよね。大抵何も言えないんだけど。
「あ、その道着!剣術道場の上手な人の服じゃないですか!うわーすごい!」
「はい、まぁ一応そうですね。はは」
そんなまっすぐに褒められると慣れないから困るな。
そういえばこのゲームでは他に居ないタイプだな。この子。ふわふわしてるし。
「【剣術】お上手なんですか?羨ましいです。私もちょっとだけ通ってたことがあるんですけど、なかなか合わなくって。だから尊敬しちゃいます!」
「いやー。そんなに褒められるほどでは……ギリギリ上級ぐらいですよ」
「すごいです!上級なんですね!」
なんか若い子にちやほやされるっていうのはこういうことか。な~んかふわふわするな。
「あ、他のお客さんが呼んでるのでちょっと行ってきますね。またお話させて下さいね!」
「あ、ハイ!」
あー、可愛い子だったな~。あまり関係が近すぎないのが良いんだろうな。
彼女の後ろ姿を眺めていると、後ろから声がかかった。
「あ、あれ?シャールちゃんとデレデレ話してるのは誰だよと思ったら。ひょっとしてユーキさんじゃないスか?」
後ろを見るとそこにはヒロシが居た。
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