表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
43/226

8 最新魔法はご都合主義に溢れている

前回のあらすじ

 冒険者ギルドに講習会を受けに来た。

講習ルームAに入ると、そこは真ん中が低くなっている講堂だった。

さっき登ってきた階段との位置関係を考えても高さがおかしい。次元神様が空間を拡張したっていうのはこういうことか。

【インベントリ】などでご都合主義を見ているが、こうやって目の前に広げられるとちょっと慣れないな。


参加者は広い講堂に前から詰めるように座っていた。これだけでもプレイヤーが居ないのがよく分かる。

僕も前の方に行って詰めるように席に座った。


講堂の机はずいぶんガッシリとした木で出来ているようだった。全力で殴ってもへこみそうにない存在感だった。

鎧で来る人を考慮に入れているのか、席と席の間隔は結構広めだ。

周りで座っている人を見回すと、冒険者というよりは普通の町の住人が多いかもしれない。

15~6歳ぐらいの子供も結構参加しているし、おじいさん、おばあさんも参加している。


暫くすると前の扉が開いてギルド職員のお姉さんに連れられて金髪のお兄さんが入ってきた。

あの人で大丈夫なんだろうか。結構チャラい感じで職員と談笑している。

なんだか、周りがざわざわしている。確かにちょっとあの人だと心配だよね。

廊下に張り出されてた表に書いてあった講師の名前はなんか女性っぽい名前の人だなぁと思ってたけど違うようだ。


「ちゃーっす!【生活魔法】講習会の講師のエディーでーす!今日はみんなでスキルを覚えて帰っちゃおーぜ!」

「「「はい!」」」


なにこれ?なにこれ!異様に軽いノリで始まった。


「これまで【生活魔法】スキルの講座に出て覚えられなかった人!手を上げちゃってよ」


一斉に半分ぐらいの参加者が手を上げている。うわー覚えにくいのかこの魔法。


「オッケー!下げちゃってオッケー!そんでもま~今日は多分大丈夫!!この空間は特別だしよ!」


なんか道場のようなパワースポットなんだろうか。毎日講習してるならそれも納得出来る。

でも今、大丈夫の前に多分って言ったよね?自信があるんだか無いんだか分からない。


「まずは【生活魔法】を知っちゃおうぜ!まー魔法の生み出す効果が分かりゃー、多分覚えられるっしょ。

今日は冒険者ギルド職員のマルガレート女史が協力してくれまーす!はい拍手~!」


一斉に拍手が打ち鳴らされた!なんだか凄い一体感だ。

確かにちょっと普通じゃ無い空間かもしれない。【生活魔法】をおぼえられるような気がしてきた。


『テッテレテー!!』

『ユーキはスキル【生活魔法】を習得しました』


早すぎィー!流石はパワースポットだった。


「おおー!もう覚えた!これは!講習すごいな!」


僕は思わず口にしてしまった。

エディーさんは一瞬固まってこちらを見て目を丸くしている。


「お、おう!……もう覚えたってよ!こりゃ幸先良いね。はい拍手~!」


また一斉に拍手が打ち鳴らされた。なんだか楽しくなってきた。


「【生活魔法】スキルは異界からの来訪者がいろいろ妄想したことが影響して生まれちゃったんだぜ。地球人(アースリング)は凄いよな~。

今日の講座で教えちゃうのは生まれたばかりの最新の魔法よ。ちょーっと変わってるけど、かなり便利なんだぜ。

えっと、それじゃレベル1から順番に魔言(スペル)を使っていくからよ!よーく見といてな!」


講師だけあって高レベルの【生活魔法】スキルの使い手のようだ。

今日は魔言(スペル)を実際に使って披露してくれるらしい。


「それじゃレベル1で【収納】いっちゃうぜ~!」


彼の目の前に巨大な黒い穴が現れた。3メートル四方はある。講堂はエディーさんが立っているスペースが広く取られていたがそこにドーンと現れた。

みんな一斉に拍手をしている!僕も拍手に参加している。なんか楽しい。


「あー悪い。ちょっと張り切りすぎちゃったわ。あはは、まぁこんな感じの入口がぱっか~っと開いちゃうんで、いろんな物を入れちゃってよ。

ちなみにこのサイズは…レベル8ぐらいかな?!えーと多分な。あはは」


すごい使い手なのにずいぶん適当な人だな!というかレベル8以上ありそうな口ぶりだった。

コータさんも言ってた気がするけど、同じ魔言(スペル)でもレベルで効果が変わってくるようだ。


「続いて、同じくレベル1で【洗浄】いっちゃうぜ~!」


ギルド職員の人が持っていた泥が付いたタオルがキラキラと光ると一瞬で真っ白になった。

泥汚れって洗剤でもまだまだ対処しきれていない領域だ。魔法って凄い!!

おーすごい!これは拍手しちゃうでしょ!だんだん拍手の規模が増えてきた気がする。


「それじゃ、レベル2行っちゃうぜ!【着火】!」


ギルド職員の人が床から拾い上げた松明に一瞬で火が灯った。

おおー!便利そうだな~。みんなと一緒に拍手するのが楽しくなってきた。


「同じくレベル2で【鎮火】いっちゃうぜ~!」


ギルド職員が持っていた松明の火がさっと消えた。

おおー!確かに火を付けたら消したいよね。拍手拍手!


「同じくレベル2で……準備オッケー??はい【浄水】でーす!」


ギルド職員の人が松明を目の前の筒の中に立てて、机の上に置いてあったコップを持つと、上空から水が注がれた。

そのままごくごくと飲み干している。口にして良いレベルの水が得られるようだ。

おおー!出先で飲み水が得られるのはいいね。水筒いらずじゃないですか。パチパチ!!


地球人(アースリング)はおもしれぇよな!なんでこっちがレベル2なんだっつー話よ。あはは!

続けてレベル3で【発光】いっちゃうぜ~。こいつがあれば松明いらずだな」


講師の人の前にランタンぐらいの明かりが現れた。室内なので明るさがよく分かる。

パチパチパチ!洞窟なんかで便利そうだな~。

この拍手が入るのがリズムが良くてすごい楽しい。段々一体感が増してきた。ライブ会場のようだ。


『テッテレテー!!』

『ユーキはスキル【生活魔法】のレベルが2に上がりました』


「お!レベル2になったぞ!」


拍手に加えて【ファンファーレ】のジングルまであってノリが良いので思ったことをすぐ口にしてしまった。

講師の人がこっちを一瞬見てぎょっとした顔をしていた気がする。


「同じくレベル3で【暗闇】いっちゃうぜ~。ただ暗いだけなんだけどよ。寝るときに丁度良いんだよな~」


今度はエディーさんの前に真っ暗なドームが広がっている。


「どんどん行こう!レベル4いっちゃうぜ~!あーっと。マルガレートちゃんよろしく~」


ギルド職員の人が突然ナイフを手のひらに押し当てた。手のひらをこちらに向けるとちょっと血が出ている。痛そうじゃん。


「痛そ~。ごめんね~今直すよ~!レベル4で【治療(ちりょう)】」


エディーさんが自分の手のひらを職員の人の血の出ている部分の前にかざしながらそう唱えるとキラキラ光った。

職員の人がタオルで自分の手のひらを拭うとそこに傷は無くなっていた。

拍手!拍手!拍手!拍手!これは便利そうだ。


「【回復魔法】の【治癒(ちゆ)】に比べると効果はちっちぇーけどよ、小さい切り傷ぐらいならちゃっちゃと直っちゃうよ!

これで、他のレベル4の魔言(スペル)は多分回復魔法っぽい奴だろな~と思ってずっと探してたんだけど全然違ってたんだよ!

衣食住をサポートする魔法なんで回復魔法っぽいのはおかしくないかな?と思ってはいたんだけど、これダジャレなのかね?医療の医だったのよ。」


何言ってるんだろう、生活魔法で医療の医?医療行為っぽいものがあるのかな。


「はい、正解はこれ!マルガレートちゃんの持っているボロボロの服が~。レベル4で【修繕(しゅうぜん)】】

服がきらきらと光るとほつれが直ってどんどん新品のようになっていく。

すごい!服を治療する魔法なのか!


「多分レベル4は、衣食住(いしょくじゅう)の衣にかこつけてこんな魔言(スペル)なんだと思うけど、地球人(アースリング)は面白いよね!

ちなみにちょっとぐらいのほつれや切り傷は魔力次第で治るけど、なくなっちゃったパーツまで戻そうとすると魔力が足りなくて大変なことになるので注意してね~」


これはあるとありがたいな。整備系のスキルと比べてどれくらいやれるんだろうか。

【治癒】の件を考えれば【生活魔法】は応急処置の位置づけなのか?


「じゃ、どんどん使っていこう!レベル5で【供物】どーん!」


ギルド職員の人が目の前の白いお皿を持って待っていたら、その上にパンが出現した。

拍手!拍手!食べ物いいねぇ!


「もいっちょ。【供物】どーん!」


ギルド職員の人がもう一つ白いお皿を机から持ち上げると、その上にチーズが出現した。

拍手!拍手!拍手!同じ魔言(スペル)で別の物が出るのか!


「さらにもいっちょ。【供物】どーん!」


ギルド職員の人は透明のコップを持ち上げた。その中に紫色の水が上空から注がれた。

拍手!拍手!拍手!これはひょっとして食べ物なら何でも行けちゃうのかな?


「これはね~お酒だね!パンとチーズとワインが出ちゃうよ~。同じ魔言(スペル)で出ちゃうからイメージ重要!

お皿にワインとか出しちゃうと悲しいじゃん。そんでレベル5はこの【供物】しか見つかってないけど、他はなさそうだね。

地球人(アースリング)に聞いたらこの3つはあっちの神様にとって大事なものらしいよ?」


あーこれは血と肉ってことだな。他の食べ物は出てこなそうです。

そんな風に言われてもレベル5だから暫く関係無さそうだ。

でもこの空間に居ると出来そうだから不思議!!


『テッテレテー!!』

『ユーキはスキル【生活魔法】のレベルが3に上がりました』


「うわ!今度はレベル3になったよ。凄すぎる」


さすがに慣れてきたので小声で抑えてそう口にした。

抑えたはずだったけど壇上のお兄さんが明らかにこっちを見て変な顔をしていた。


「ちょっと準備ターイム。マルガレートちゃんはそこの椅子に座っちゃって。そうそうリラックス、リラーックス。それじゃレベル6で【誘眠】どーん!」


職員の女性が頭を左右にフラフラさせるとかくんと首を横に倒した。あ!寝たね。

パチパチパチ!!!拍手でも起きない!演技だとすると迫真の演技だ。


「【闇魔法】の【睡眠(スリープ)】と違ってよ。眠りたく無い奴には効かないのが良い感じ?!それじゃもいっちょ。同じくレベル6で反対の効果……【覚醒】どーん!」


職員の人が頭をカクっとさせるとぴょんと飛び起きた。慌ててタオルでよだれをぬぐっていて恥ずかしそうだった。

パチパチパチ!!寝起きの悪い人や朝が早い時には良さそうだ。


「どんどん行くぜ!レベル7【暖気】だー!っとこれは地味なので魔力使って範囲広げちゃおっかな」


んん?なんも起きない?周囲が一瞬静かになった。と、急に周囲の空気が暖かくなった!

拍手!拍手!拍手!暖房ですか。


「同じくレベル7で【冷気】!これも広げちゃいま~す!」


一気に周囲が寒くなった。寒い寒い!!拍手!拍手!拍手!楽しいな~。

周りの人を見てみると、子供みたいな顔をして、目を輝かせて必死に拍手していた。ですよねぇ。


「次は地味だけど俺は好きだねぇ。レベル8で【寝床】どーん!」


ギルド職員の人が木の床に倒れ込んだ。ええ?!痛いーっと思ったら、木の床からボフっという柔らかそうな音がした。

おおお!これは面白い!堅い地面や床が寝床代わりになるのか。拍手!拍手!拍手!


「この辺りからちょっと贅沢な感じかも?同じくレベル8で【寝具】どーん!」


ギルド職員の人の上に枕と布団が現れてぽとっと落ちた。

すごい!!拍手!拍手!拍手!


「これよ!いきなりモノが出ちゃう訳よ!魔法で道具出しちゃうとか笑えるよな!なんと!使ってる間も魔力は必要なし!

これ見て大稼ぎ出来ると思ったそこの可愛いお姉さん!残念でした~。

【生活魔法】で出てきたものは、本人から離れて30分ぐらい経つと消えちゃうんだよ~。」


そんな都合の良いことは無いよね。やっぱり。


「続けてレベル9はご飯食べるのが便利になっちゃうよ!いくぜ~~【鉄板】どーん!」


目の前に足付きのバーベキューコンロのようなものが出現した。素材は何だろう?遠巻きに見る限り金属っぽく見える。


おおお!すごい!焼き肉とか良い感じに出来そうだ。 拍手!拍手!


「同じくレベル9で【(かまど)】どーん!」


目の前に土が盛り上がって鍋を置くのに良さそうな(かまど)が出現した。

というか上に鍋が置かれている。なんというご都合主義!さすがゲームだ!

すごいすごい!これは野営が捗るな。拍手!拍手!


「こいつらは見りゃ分かるけどご飯作るとこな。地球人(アースリング)は外出先でも本格的な料理をする時が結構あるんだってよ。

モノを出す魔言(スペル)は最初に使う魔力が多いから残ってる魔力には気をつけてよ。

この2つも使うのをやめて30分ぐらい経つと消えちゃうから注意な!ってまだ使えないか。あはは」


おおお~。拍手!拍手!この講師の人は事も無げにレベル9まで一気に使ったぞ。


「それから……これ本当に生活に必要なのかね。いくぜ~レベル9で【椅子】どーん!」


突然床の上に椅子が出現した。材質は……何だろう。木みたいなそうじゃないみたいな?

パチパチパチ!!!あれはちょっと休憩したいときに便利そうだな。


「これちょっと便利だよね。よっと!同じくレベル9で【食卓】どーん!」


講師の人が出した椅子に座ってさらに魔言(スペル)を唱えるとその前に机が出てきた。

しかもなんか机の上に食器類が載っている。

パチパチパチ!!!キャンピングセットな感じを狙ってんのかね。レベル9は。

どんどん出現させていくのが面白いな~と思ってたけど、改めてこの人がすごいな。


「それじゃー最後な!レベル10以降は研究中なんだよね~。今日までに分かってる魔言(スペル)のはあと一つだけ!

それじゃレベル10!これが最後ね【仮宿】でーす!」


目の前にドアが出現した。

パチパチパチパチ!!!……なんか凄いけどドアか。

どこでもドアだと凄い強力だけど……そんな訳は無いか。


「こいつぁー凄いよ。ドアを開けると~~…じゃん!仮眠室で~す!」


やっぱりワープ系では無かったけど異空間から繋がってるからある意味ワープか。

でもすごい。拍手!拍手!拍手!拍手!最初に言ってたように、これで衣食住足りたな。

このスキルが使いこなせるだけで死なずに生きていける気がする。


「【仮宿】は中に入らないとやっぱり30分で無くなっちゃうんだよね。でもあれよ?中は割と快適よ。本当に地球人(アースリング)の冒険者は面白過ぎ!」


パチパチパチパチ!!!面白いのはこの人だと思う。この雰囲気はコンサート会場みたいだし。


「みんなそろそろ【生活魔法】スキルが習得出来ちゃったんじゃ無いの?!!できちゃった人は手をあげて~~~」


パラパラと手が上がる。僕も手を上げる。パワースポットはやっぱり凄い!

さっきから「あっ!」とか「お!」とか聞こえてきていたから覚えた人がいるかなと思っていたので納得だ。


「じゃーみんなで僕に続いて復唱しちゃってみようか!これで覚える人が居たりしてね?!」

「【生活魔法】を習得しちゃうぞ~!」

「「「「「【生活魔法】を習得しちゃうぞー!」」」」」

「あっ!」「うぉ!」「やった!」


「【生活魔法】を習得できそうだ~~!」

「「「「「【生活魔法】を習得できそうだーー!」」」」」

「おお!」「うわー!」「きたー!」


「【生活魔法】を習得する寸前だぞ~~!」

「「「「「【生活魔法】を習得する寸前だぞーー!」」」」」

「やった!」「おおおお!」「よっし!」


あっちこっちから、驚く人の声が聞こえてきた。なんかこの一体感凄いな。某飲食系企業の新人研修みたいだけど。

この雰囲気なら【生活魔法】スキルが発生して当然だね!!!

みんなぐんぐん習得してるみたいだ。凄い楽しいな!!!


『テッテレテー!!』

『ユーキはスキル【生活魔法】のレベルが4に上がりました』


「おおお~~!」


思わず声が出たけどみんな声を出しているから大丈夫。

治療(ちりょう)】と【修繕(しゅうぜん)】まで使えるようになっちゃったよ!パワースポットすごい!

さらに今日の講師の人はあっさりレベル10まで使ってたから、あの人が凄いんだと思う。

あの人の近くにいたら一気にレベル上がってもおかしくないよね!


ふと気がつくと周りはもうスタンディングオベーションだった。

すごいな講習会!今日はもう一日全部講習会でいいかもしれない!


「おめでと~!みんな【生活魔法】スキルが習得出来ちゃったっしょ?!!もう一度!できちゃった人はパッと手をあげて~」


するとみんなざっと手をあげた。僕もさっと手を上げた!

周りを見ると上げていない人は居なかった。


「ありがとうございます!覚えられました!!!」

「ありがとう!!やったー!」


みんな口々に感謝を叫んでいる。


「ありがと~。レベル4になったよ~!!!」


僕も同じように叫んでおいた。……あれ、なんか静かになった。

なんかみんなこっち見てる。なんか変なこと言ったかな?パワースポットだから、みんな上がったよね?


「え~と。【生活魔法】も他の魔法と同じでさ。魔力を使えば上のレベルの魔言(スペル)を使えるよ。

ぐわーっと魔力を使っちゃえばレベル1だって【仮宿】使えちゃう!って話よ。

ぐわーっとがどれ位だったかな、えーと、ターサちゃんが言うには……あ!思い出した!

足りないレベル分の10倍の魔力をかければ使えちゃうらしいよ!

【仮宿】が10だったかな?まぁ10として自分のスキルがレベル1だったら900あれば使えちゃうね!意外と楽勝じゃない?」


いや、無理ですよ。900って……冒険者平均で80だって【冒険者マニュアル】に書いてありましたから。

僕が【仮宿】を使うには600か。うん。無理だな。6回失神できる。

この人冗談で言ってるのか?いや、本当に900以上ありそうだ。そういえば先生の雰囲気に騙されていたけど、体から放たれる圧力が凄い。

周りを見ると、すっかり落ち着きを取り戻してみんなぽか~んと惚けている。


「えーと。みんなお疲れ~~!今日の講習はおっしまーい!!」


みんなが惚けているうちに、講師の人は相変わらずの軽さでそう言うと、ギルド職員の人を連れて前の扉からさっさと出て行った。

【仮宿】から魔力消費まの話は毎回使ってる演出なのかも知れないな。落ちてないけど、終わらせる仕掛けとしては機能している。


いや~良い時間を過ごしたな。あっという間だった!と部屋の時計を見たら1時間以上経過していた。。

いつの間にこんな時間を使ったんだろう。集中していて分からなかった。講座の枠は2時間あったけどそれより早く終わったようだ。

最後の話も有意義だった。効果を上げるにはレベル差の10倍か。魔力の使い方についても勉強になっちゃったな。


こうして僕は気持ちよくレベルも上がり、【生活魔法】の使い手の一人になった。


次話「9 冒険者ギルドからの伝言」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
アクセス研究所
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ