表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
27/226

27 【短剣術】の武技《アーツ》は変幻自在

前回のあらすじ

 【剣術】のアーツは強打過ぎて使いにくかった。剣に慣れた

水筒から水を飲んで小休止すると呼吸を整えた。

【解体】を習得したので、剣を仕舞い鋼の短剣を両手に出してもらった。

装備の切り換えは森崎さん(クローク)の力で一瞬で、本当に快適すぎて【ログアウト】したら支障が出そうだ。


【冒険者マニュアル】に紹介されていた【短剣術】の武技(アーツ)は2つあった。

飛び込みつつ切りつける【リープバイト】と切りつけた勢いで素早く後退する【バイトアウェイ】だ。

なんとなくカタカナの名前は異界神アンネの影響が出た奴に多い気がする。

このアーツもカタカナなので地球由来の剣技(アーツ)かもしれない。

とは言え人名は殆どカタカナだったので、このカタカナ理論はゲームの翻訳設定の問題かもしれない。

【短剣術】の2つの武技(アーツ)はヒットアンドアウェイで戦うでしょ?!という無言の圧力を感じる。


短剣の両手持ちが良い感じに手に馴染んだ。

僕はARスポーツ絡みで左右で全然違う動作をするというのは結構鍛えたので行けると思っている。

右手コントローラと左手コントローラと脳派コントローラで3つの集団を操って戦うというのを良くやっていた。

弱小サークルだったので、一人で何役もこなすことが多かったのだ。


ぶっつけ本番はさっきみたいな失敗に繋がるので、軽く武技(アーツ)を試し打ちしてみる。


適当な木立を狙って…【リープバイト】!


ととと、切れ味が良すぎた。なんかバッサリ切れそうだなとは思ったけど固そうな生木の幹が音もせずにすっと切れた。


今度は残っている枝を狙って…【バイトアウェイ】!


木立はすっと切れたが、切りつけるときにかなりの衝撃が周囲に発生し、木立が凄い音をして揺れていた。

後ろに逃げるだけでは無く、相手を少し後ろに押し返す効果もありそうだ。


なんとなく短剣って名前の響きから弱そうだと思っていたけど、自宅の包丁より肉厚でがっちりしてる。

両手の短剣を握りしめてみる。しっかりしていて、かなり安心感だった。

無理に武技(アーツ)を使うのはさっきの戦いで懲りたので、まずは武技(アーツ)無しで行ってみる。

魔法も解禁して、危なくなったら【風魔法】で適宜撃退する感じで慣らしていこう。


いろいろ考えて戦闘を始めてみたけど考えすぎだった!慎重すぎでした!

能力値が上がったおかげで、蹴る殴るの肉弾戦をしても倒せそうな気がする。

牽制で目を切りつけて、反対の手の短剣で側頭部をひと突き!と思って目を切りつけたら頭を割って倒れた。

むしろ剣よりも取り回しが良い分動きやすかった。


巣穴の周りを制圧したことを確認したが、導入の剣を持っていないので【ラージラット】は魔石に変わっていない。

近くの一匹に近寄り右手を当てて【解体】と念じると、パッと光ったかと思うと、魔石、メダル、毛皮、それに肉塊が現れた。

肉塊はもも肉っぽい感じの食べやすそうな部位だった。肉はさっきも食べたから良いけど、これ地面に落ちてて食べる気がしない。


ちょっと戦利品について考えてみる。売ってお金になりそうだから、持って帰るという手もある。

だけど、お金はとりあえず魔石の売却だけでも足りる。既に今日は150ぐらい倒しているので成果は十分だ。

生肉の処分に困るな。残しておいてもそれを求めて熊が出てきそうだしそれも怖い。


普通に【解体】を行うと魔力を3消費するようだ。

いっそのこと導入の剣を腰に装備したまま戦うか?いや、やっぱり邪魔だな。

導入の剣のように魔力消費0で魔石だけ抜き出すようなことは出来ないのかな?


別の個体の近くに行って魔石だけ抽出するイメージで【解体】を使ってみた。

これまで散々やってた狩りのシーンの再現だったせいか、すんなりイメージできた。

お!できた。消費魔力は0で実現できました。


そういえば森崎さんが5メートル離れると使用する魔力が増えるって言ってたな。

ちょっとだけ離れた場所から倒れている【ラージラット】に対して【解体】を消費0で使え……使えました。

見てる範囲の死体を【解体】で魔石とメダルに変えて、森崎さんに回収して貰うと、導入の剣で戦っていたときの再現ができた。

魔力がネックなので、しばらくこれで行こう。


───────


【解体】作業の懸念が無くなり、短剣を使った戦いに集中出来ていた。

肉体年齢が若いせいなのか、能力値が上がったおかげか、【ラージラット】に対して後出しで上回れるので凄く戦いやすい。

敵の動きを見てから避けたり、動く方向を見極めてから攻撃を入れるのも簡単だ。

距離を詰めるのに【リープバイト】は使えているが、【バイトアウェイ】は出番が無い。


どんどん狩れるのでちょっと楽しくなってきた。【気配察知】のおかげか視野が広がった気がする。

周りにいるのは【ラージラット】か【ヒュージラット】だ。【ヒュージラット】と言っても、元々大きい鼠が二回り大きくなったぐらいで

大人の豚ほど大きいわけでも無いので対処は一緒だ。


巣穴を定めて落ち着いて近づき、周囲の魔物を確認してゆっくり近づいて右手の【リープバイト】を一閃、さらに左手の【リープバイト】を一閃し2匹を仕留める。

残りは1~2匹なので落ち着いて対処すれば増援も特に問題無く、最後に戦利品を回収して終わりだ。


『ユーキはスキル【敏捷強化】のスキルが3に上がりました』


初めてのレベル3のスキルは【敏捷強化】だった。牙が生えた種族だったら【牙術】もレベル3になるところだろう。

体が軽くなりますます動きやすくなった。ゲームじゃないと説明が出来ない身動きが出来る。

ステータスは100を超えて無いけれど、スキルレベルがヤマトさんよりも高くなってしまった。

獲物はまだまだ一杯居るので考える前に体を動かしていこう。


『ユーキはスキル【体術】を習得しました』


おおっと!またなんか習得しました。どれどれ?


■■■

【体術】

体の扱いが向上する。レベル上昇で効果が強化される。

■■■


これ、戦闘術的なものじゃなくて体のキレが良くなるスキルなのか。ありがたい。


なんか調子に乗ってどんどん倒した。これ、キンブリー亭にお肉を降ろしている人に怒られるんじゃ無いだろうか?

だって【解体】で魔石取って、あとは口の中に持ってただろうメダルを回収してるだけだから。

進んだ距離から考えて、もう丘陵地帯の半分ぐらいは刈り尽くしたかもしれない。


『ユーキはスキル【回避】を習得しました』


接近して噛みつきをかわしながらカウンター気味に倒すとかいろいろ試しているのが良いんだろうか?


■■■

【回避】

自分に向かう障害の軌道が先読みできる。レベル上昇で効果が強化される。

■■■


回避スキルは勝手に回避してくれる訳では無く先読みですか!

現在は【ラージラット】の素早さを上回っているので、見てから避けることが出来ている。これでさらに早い敵も大丈夫になり、ますます安泰だ。

連戦が出来てしまうと、武器の摩耗具合が気になってくる。装備のメンテナンスが大切なのは良く分かっているつもりだ。

【解体】スキルの不思議で血糊が残らないから良いけど、小さな傷が目立つようになってきた。


ゲームを始めてから鼠ばかりを倒している。鼠食いとかそういう通り名を付けられたら嫌だな~。と余計なことを考える余裕も出てきた。

じわじわ能力値が上がるせいか、新しいスキルのおかげか、倒せば倒すほど楽になるのがゲームらしい。

気分的に少し疲れてきたような気がするけど、心地よい感覚で体を動かせている。


『先ほどの休憩から取得した魔石の合計が200を超えました』

「うぉっ!あっありがとうございます」


急に声が掛かってびっくりした。森崎さんに200個になったら教えてもらうように依頼していたんだった。


『内訳は金貨が1枚、銀貨が8枚、 銅貨が43枚です。新たな貨幣は金貨が1枚種類、銀貨が1種類、銅貨が2種類です』

「分かりました」


ここまでかなり倒したので働いたな~と感じる。成果を確認する気持ちで振り返り、視線を上げて丘陵地帯を見回してみた。


「え?!」


制圧したと思ってた場所に再び【ラージラット】が徘徊していた。

それも、ささやかな数では無く、最初と負けない程度の数に見える。

巣穴の中にはまだまだ居るらしい。どんだけいるんだ!


あまりに凄い鼠たちの生命力に、僕はなぜか負けた気分になった。

次話「28 新たなスキルの目覚め」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
アクセス研究所
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ