23 オズワルド硬貨は神の僕
前回のあらすじ
カナミさん達がログアウトして選別に魔剣もらった
森崎さんに装備品を収納してもらって、今度は机の上にメダルを出してもらった。
流石の仕事で、綺麗に等間隔に並んでいる。
装備品を確認している最中からずっと気になっていたのだ。
美味しいおかずは最後に取っておく派だけど、早くメダルを確認したい。
銀貨が2枚。2種類が1枚づつ。これは僧侶っぽい。法衣みたいのを着てる。これ法衣だよね?
銅貨が36枚。剣士?騎士っぽいやつ7種類に農家っぽいおっさんが1種類。なんでこれだけ農家?
これの【ステータス】を見るのだ。
今更だけど、他の装備についても、なぜ【ステータス】見ようとしなかったのか今となっては不思議だ。
最初に人やモンスターを見てたせいか、生物以外に向かって使うっていう考えが沸かなかった。思い込みって恐ろしい。
それでは、まずは銀貨から見てみよう。
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オズワルド銀貨
芸術神の使徒ワヌカンプスが描かれている。使徒として絵画スキルの向上に努めた
オズワルド銀貨
芸術神の使徒リューヌラーベが描かれている。使徒として彫刻スキルの向上に努めた
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貨幣には1000¥硬貨とか実用的な名前が付いていることも考えたが違ってた。
オズワルト銀貨というらしい。オズワルトは国名なのかなんなのか?
そして、説明文にも貨幣の価値の説明が出るかと思いきや意匠の人物について説明が出た。
これは嬉しい。メダルの由来とか燃えるよね。
あー。読めなかった片面の文字は名前が書かれていた。「絵画 ワヌカン…プ…ス」確かに読める。
最初にメダルを拾った時に【インタープリター】が無かったから気がつかなかった。
それはそうとして、どっかの坊さんじゃないのか。この見た目で天使?なんだろうか意味が分からない。
金欲にまみれた坊主が自分のことを貨幣にさせたのかと思ってたんだけど全然違ってた。
なんか芸術方面で貢献した人らしい。
説明を読んでいると、なんか立派な人物に見えてきたから不思議だ。
やっぱりこういう背景が分かるとコレクションにもぐっと熱が入るね。
次は銅貨を見てみよう。
銅貨は剣士?騎士みたいな鎧をて武器を持った人物が書かれている。
持っている武器で言うと剣持ってるのが3種類、あとは棍棒、斧、盾、槍であとは農家のおっさんは鍬?
まずは剣持ってる奴から行ってみようか。数も多いし。
最初は、一番枚数が多く9枚持っている剣士のメダルを見てみよう。
えっと『剣聖 ガーウェイ』と彫られている。
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オズワルド銅貨
武神の高弟ガーウェイが描かれている。またの名を剣聖と呼ばれる。主に反り身の剣を使うがあらゆる剣に通じている。
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なんか凄そうな人だった。神様の弟子とか実在するのか。
こっちは天使っぽくないから人なんだろうか?
続いて7枚持ってる剣士のメダルを見てみよう。ちなみに一番最初に拾った奴だ。
『武技 ダンダリ』と彫られている。
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オズワルド銅貨
武神の高弟ダンダリが描かれている。常に大ぶりの剣を愛用した。後に魔神の教えを得て武技を生み出した。
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魔神ってなんか悪そうだけど、こいつ悪い奴ってことかな?
あ、よく見たら耳の後ろから角が生えているそ。
武技ってヤマトさん達が言ってた【剣術】レベルが上がると使えるようになる奴だよね。
そういえば、なんか文面がおかしくないかな?
過去形だったり現在形だったり【ステータス】の表示って結構適当だなあ。
今度は儚げな女性が書いてある奴だ。2枚だけしか持ってない。
『舞姫 ニャーニル」と彫られている。
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オズワルド銅貨
武神の高弟ニャーニルが描かれている。両手に剣を持ち戦う姿で相手を魅了し命を奪ったという。
後に剣舞スキルを生み出し、芸術神の使徒としても迎え入れられた。
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すげえじゃんこの名前がネコみたいな人。なんか後から天使になったの?
銅貨でこんなにちゃんと人が表現されてるなんてどんなプレス装置を使ってるんだろうか。
あと、この人は何故銀貨ではないのか?
次に多いのは棍棒?を持った人のメダルでさっきの剣聖ガーウェイさんの次に多い8枚だ。
『不殺 ポゼッソス』と彫られている。
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オズワルド銅貨
武神の高弟ポゼッソスが描かれている。棒術の達人で変幻自在の打撃を飛ばす。修行中に兄弟子を無くし不殺の誓いを立てている。
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ほう。棍棒というか棒か。確かにスキルだとカナミさんのスキルも【棒術】だったな。
剣持ってる人達相手に棒で立ち回るのは凄いな。
この人ちょっと厳つい顔をしていて、近寄ったら殺されそうな雰囲気なのに不殺なのか。
銅貨はみんな武神の弟子らしい。どういう基準なんだろう。
次に多いのは盾持ってる騎士のメダルで5枚だ。
『不動 リーゼルト』とと彫られている。
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オズワルド銅貨
武神の高弟リーゼルトが描かれている。守備に長け竜の打撃も跳ね返した。剣聖でもその防御を割るのは難しかったという。
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竜の打撃を受け止めたじゃなくて、跳ね返したって書いてあるな。すげー。
とは言え、どんな竜なんだろう。いろいろ強さが違う竜がいるんだろうか?
次は斧を持っている騎士のメダルで、枚数は4枚だ。
『城割 ノルデン』と彫られている。
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オズワルド銅貨
武神の高弟ノルデンが描かれている。重い武器の達人で特に斧を得意とした。城攻めで壁を真っ二つにした逸話から城割の異名で呼ばれた。
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さっきから竜とか城壁とか戦う対象が大きすぎる。城壁を割るっていうのは比喩表現なのかな?
この人もかなり厳つい。よく見ると額に角が出ている。鬼……なのかな?
次は【金玉飛ばし】で潰してしまったメダルだ。細長いものをもっているが剣なのか槍なのか棒なのか分からない。
うーん。裏面の文字も読めないな。
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オズワルド銅貨
武神の高弟リッピレーズが描かれている。槍の達人で戦場では隊列をまとめて貫いた。貫通の異名で呼ばれた。
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槍だったみたい。
潰れてる状態については【ステータス】の情報には表示されていない。
【ステータス】レベルが向上すれば表示されるんだろうか?
最後に、なんか一人だけ毛色が違う農家っぽい人だ。この一人だけ浮いてる感じは百人一首の蝉丸を連想させる。
『開拓 クルサード』と彫られている。
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オズワルド銅貨
武神の高弟クルサードが描かれている。魔大陸を開墾し土地を開いた。農具を武器に魔物を寄せ付けない強さを持つ。
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なにこの人!!普通に武人だった。
持ってるのどう見ても鍬なんだけど、これで戦うのか。ちょっと見てみたい。
やっぱり銅貨には武神の高弟が刻印されていて、銀貨には芸術神の使徒が刻印されていた。
この国のメダルは神話を題材に意匠が作られているらしい。
金貨みたいなものもあるんだろうか?
メダルの一つ一つの刻印が丁寧にされていて大きさも揃っている。
この世界の貨幣製造技術はレベルが高いようで、とてもテンションが上がる!」
メダルに描かれているこの世界の神様とその僕について、ちょっと知りたくなってきた。
次話「24 この世の興りと神々」