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22 別れと魔剣

前回あらすじ

 僕のスキルの使い方がちょっと違ってたらしい。

朝目覚めて、食堂に向かうとカナミさん達3人がコーヒーを飲みながらくつろいでいた。

僕のことを待っていたらしい。


「私たち、今日で【ログアウト】しようと思ってね」


僕が同席して、女将さんに朝ご飯を頼むと、カナミさんはそう切り出した。


「結構急ですね」

「そうでも無いわよ。3人ではそろそろかねと言う話は何度もしてたのよ。結構な勢いでお腹が空いちゃうしね。」

「すぐ腹へるから集中力がやばいんスよ」

「昨日の昼ご飯がやけに美味しかったのがとどめかもしれません」


ずっとログインしているとおなかが減りやすくなるって言ってましたね。


「光魔法取りたいって言ってたんで、その辺を頑張るのかと思っていました」

「私もそう思ったんだけど、それを取ったら次をって切りが無くなりそうと思ったのよ」

「【ログアウト】しても向こうじゃ7月30日だし、一日間を開けて8月1日には正式サービスも始まるから、それほど待たされるわけじゃ無いですからね」

「そうそう。今なら7月30日も休みとして使えそうだし、体調整えときたいんス」


そういえばすぐに正式サービス開始でしたね。


「昨日は結構楽しかったしね~。あれがβテスト最後の冒険てのは悪く無いと思ってね」

「僕たちもこのゲームのこと改めて見直すことが一杯ありましたから、検証し出したらそれこそ時間がいくら合っても足りないなと思いまして。

【ログアウト】済みの知り合いも居ますし、ちょっと情報交換しておくのもいいかなと考えたんですよ」

「そうっす!固有スキルとか経験値とか」

「サークルの部長とかね~。ちょっと時間差でβテストに参加してるのよ」


オリエンテーリングサークルとか言ってましたね。他にもβテスターがいるみたいだ。


「そんな訳だから、急に居なくなるのもなんだし、挨拶しとこうと思ったのよ」

「現実戻ればまたすぐなんですけど、ユーキさんはまだ暫くこっちに居そうですしね」

「【ログアウト】取るまで結構かかるからな!」


ログアウトは取得に結構かかるスキルらしい。確か必要経験値が一番多いやつだったような。


■■■

 ユーキ(地球人(アースリング)・男)

 習得中スキル

  ・異世界

   【ログアウト】 6 /1000 (-250)

■■■


やっぱりそうだ。このスキルは簡単には取得できそうに無い。


「【冒険者マニュアル】を読んでいるとだんだんこの世界のことが分かってくるんですけど、その結果として【ログアウト】を覚えるんです。

具体的に言うと【冒険者マニュアル】は読んでいると段々レベルがあがって、そのレベルが3になると覚えるんですよ」

「ゲームまで来て本を読まされる羽目になると思わなかったっス。神様の話とか意外と面白かったけどな」

「【冒険者マニュアル】読んでる?まだこっちで5日目なんだっけ?読んどいた方がいいわよ」

「そうなんですか、確かにあまり読んでないです。」


【冒険者マニュアル】か、あれもまた不思議なスキルだよな。


「で、私達はこれで【ログアウト】するけど、せっかくだからなんか選別を渡そうってことになったのよ」

「そんな、悪いですよ」

「正式サービスに移行する時に、継続する情報について【冒険者マニュアル】に書いてあるんですよ。

能力類は継続するけどアイテム類については劣化しちゃうとかで全部は保証されないみたいなんですよ」

「俺らも他のプレイヤーから同じようにいろいろもらったんスよ。そういう訳だったのかってね」


βテストだからそういうこともあるんだろう。そういえばまだ使ってないけど冒険者ギルドで受付嬢(マリー)さんにβテスター遺品の薬ポーチをもらったな。


「とは言ってもね。合わないものをあれこれもらっても困るだろうって話になったのよ」

「ユーキっちなら、愛するモリサキさんに仕舞ってもらっときゃいいのかもしれんけどな」


ヒロシこのやろう気安いな。そして、森崎さんのことはあまり言いふらさないで欲しい。


「昨日の打ち上げでユーキさんが剣をもうちょっと使ってみたいって言ってたのを覚えてて、こいつを渡そうって話になりました」


そういえば三人とも最後はへべれけで、別人格が出てくる勢いだったが記憶は確かなようだ。

ヤマトさんは【インベントリ】から刃渡りが80cmぐらいの赤黒い剣を取り出した。


「ユーキさんは玉を飛ばすのに邪魔そうだし、盾を持たなそうだなって話をしていたんです。

これは片手でも両手でも持てる剣で長めなのでヒロシには合わなかったんですけど、ユーキさんに丁度いいとみんなの意見が一致したんです。

ちなみに、ボスドロップ品の魔剣なんですよ。

あ、こんな見た目ですけど、一応呪われては無いので安心してください」

「実は私達ももらった物なんだけどね!あははは」

「マッツは魔法使いだかんな。あ、例の【冒険者マニュアル】レベル4の奴ね。アホっスよ奴は」


元々はマッツさんという人から巡ってきた品らしい。


「ありがとうございます!」


こうして剣を受け取った。かなりずっしりくる。だけど能力値が上がってきたせいかなんとか振り回せそうだ。

そういえば【剣術】スキルを習得したんだった。

これはうれしい!


その後彼らはこっちが拍子抜けするほど、あっさりとログアウトして行った。


「じゃ!楽しんで下さい」「またな!」


ヤマトさんとヒロシが魔法っぽい渦巻きにかき消された。


「それじゃ!ちなみに私達は仙台の大学のサークルなんで、機会があればまたね!」


カナミさんは最後にリアルバレの可能性を残して消えた。

仙台か、クライアントの大学がいくつかあったな。


―――――――


朝食を食べた後、部屋に戻ると、さっきもらった剣を取り出す。

収まっている鞘も黒い革に白い鋲が打たれており、とても落ち着いた雰囲気で格好良い。

刀身の赤黒い血のような色が魔剣ってことなんだろうか?ちょっと派手だな。

これって【ステータス】見られるかな?


■■■

血食いの剣

 吸血鬼が愛用した剣。長い間帯剣されたことで魔の力を得て魔剣となった。

 切りつけた対象から体力と魔力を吸収し使用者に還元する。

■■■


うわー。ちょっと銘が怖い剣だった。呪われて無いと言われてなかったら思わず手放したくなるような説明文だった。

でも魔力を吸収するってのは良いな。経緯みたいなものもテキストにあらわれるのか。


これはいいな。他の装備も【ステータス】見てみよう!

森崎さん(クローク)に依頼して装備類をベット脇に出してもらった。


■■■

導入の剣

 標準的なサイズの魔剣。【解体】の力を備える。

 帯剣時に自動的に【解体】を実行するため【解体】スキルの習得に最適。

■■■


あ、、れ?これも魔剣なのか。解体スキルに多めに経験値が入っているのはコイツが原因か。

せっかくだから、他の装備品も見てみよう。じゃ杖で。


■■■

小鬼(ゴブリン)の杖

 魔木の枝から切り出した杖。【魔力操作】の力を僅かに備える。

 魔力消費低減の効果を得る。杖の素材として人気がある。

■■■


おお!魔力消費が減るってちゃんと書いてある。


これももらったけど使いこなせてないな。どこで加工してもらえるんだろうか。


よーし、βプレイヤー縁の装備品についても見てみよう。


■■■

迷い人の服

 見た目がジャージ上の防具。【切断耐性】【打撃耐性】【刺突耐性】の力を備える。

 装備した者の装備品まで効果が及ぶため使いやすい。 洗濯してもすぐ乾く

迷い人のズボン

 見た目がジャージ下の防具。【炎熱耐性】【寒冷耐性】の力を備える。

 装備した者に快適さを提供する。洗濯してもすぐ乾く

迷い人の靴

 運動靴。【再生】の力を備える。

 装備した者は疲れにくくなる。

迷い人の背負い袋

 見た目ナップサックの魔道具。【重力魔法】の力を低レベルで備える。

 格納した重量の10%を低減するため持ち運びに便利。

迷い人の水筒

 水筒の魔道具。【水魔法】の力を低レベルで備える。

 利用者の魔力を利用して開栓する際に水を発生させる。

迷い人の火種

 着火の魔道具。【火魔法】の力を低レベルで備える。

 利用者の魔力を利用して火の玉を発生させる。

迷い人の薬ポーチ

 瓶類 を入れるための魔道具。【打撃耐性】の力を備える。

 収納したアイテム類に効果が及ぶため瓶類が割れにくい。

体力ポーション(低)

 体力を回復するポーション。飲むと体力が20程度回復する。

■■■


早速だけど小鬼の杖を持ちながら【ステータス】を見たら魔力消費が3から2になった。

そして、初期装備が水筒とライターだけじゃなくて全身魔道具だった!!!


導入の剣はちょっと切れ味がいいなーと思ったことはあったけど、他もいろいろ凄かった。

受付嬢(マリー)さんから譲り受けたポーチもプレイヤー由来の魔道具だった。

中身のポーションはリポビタンDぐらいの大きさで3つ入っていたが、全て同じもので固定で体力が回復するもののようだ。


思い返してみればカナミさん達とボス討伐に行ったときに、ジャージ姿に突っ込む人が誰も居ない時点で何かがおかしい。

この能力を知ってる3人だから何も言わなかったのか。

3人はジャージじゃなかったってことはもっと良い装備だったのか。

【ステータス】を見られるって知ってたら見てたんだけどな。


それじゃ、こっちの世界に来て買った物はどうだろうか


■■■

腰ポーチ

 獣の毛皮をなめした腰に巻くポーチ。小さい道具の収納に適している。

油瓶

 魔物油を入れた瓶。鉄素材の整備に適した油が納められている

油布

 魔物の糸を編んだ布。 油を程よく吸うため整備に適している。

小径の弾丸(鋼)

 丸く形が整えられた鋼素材の弾丸。

中径の弾丸(鋼)

 丸く形が整えられた鋼素材の弾丸。

砲丸(鋼)

 丸く形が整えられた鋼素材の砲丸。

■■■


こっちはとても普通だった。逆にほっとした。


身近なアイテムのことを見直すきっかけになった3人からのプレゼントに改めて感謝だ。

初期装備のこと、もうちょっと丁寧に使おう。

次話「23 オズワルド硬貨は神の僕」

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