2.
「んー。」
私は、スマートフォンの画面を人差し指で、トントンと触ってみて、そして右へ左へとスライドさせてみた。
「んんーっ。」
トントン。シュッ、シュッ。
…やっぱり、まだだ。
「……はぁ。」
「どうしたの?」
「わ!」
図書室で携帯を無心でいじっていたところに、急に声をかけられて、ドッキリした。
「梨佳さん、さっきからボーッとしてるわよ?それ。」
奈々美は、梨佳が手に持っている物を指して、忠告した。
「先生に見つかると、マズいんじゃない?」
「あ!そうだね……。」
私は、慌てて携帯の電源を切って、制服のポケットにしまった。
「山口くんから連絡来ないの?」
私は、彼氏のりっくんの名前を出されて、キョトンとした。
「ん?来てるよ。メールしてる。」
りっくんからは、昨日の夜、メールが来ていた。
『お疲れ!今日も、すっげー暑ィな!ハンド部の合宿は、キツいけど楽しいよ。梨佳も委員長の仕事頑張れよな。おやすみ。』
短文だけど、いつものりっくんの元気さと優しさが伝わってくる内容だった。奈々美ちゃんは何を以って私を心配しているのだろう?聞いてみようとしたが、「そ?」と、短く返され、また無口な彼女に戻ってしまったので、タイミングを逃してしまった。