第52話:純白の陥落、略奪の等価交換
本作は、作者が構築した詳細なプロットおよび世界観設定に基づき、AI(Gemini)を用いて文章の初稿を作成しています。また、物語の骨子には作者が持つ地政学、国際政治学、マクロ経済学の基礎理論を反映させており、単なる空想に留まらない国家間の動態や経済的背景を構築しています。
AIによって生成された文章は、これらの理論的整合性を含め、作者自身が精査・改稿し、表現の微調整を全面的に行っております。
挿絵の挿入&修正を、不定期でやり直しております。
【閲覧にあたっての免責事項】 本作はフィクションであり、実在の人物、団体、国家、および歴史上の出来事とは一切関係ありません。 作中で描かれる政治・経済的描写や思想、国際情勢は、あくまで物語の演出上の設定であり、特定の思想を推奨、あるいは批判する意図はございません。
サフラン平原、北東に布陣するクロー王国軍。その宿営地には、略奪品である肉を焼く臭いと、それ以上に重く立ち込める、腐敗した死の臭気が混じり合っていた。
本国から補充された新兵、カイルたちが前線に配属されてから、ちょうど一週間が経とうとしていた。彼らの胸に宿っていた「王への感謝」と「家族への愛」は、いまや異臭を放つ泥沼のような絶望へと変貌を遂げている。
第一の夜:絶望の萌芽
配属された初日の夜、カイルが目にしたのは、騎士道とは対極にある地獄絵図だった。 古参兵たちは、占領地から拉致してきた村人たちを家畜のように扱い、略奪の合間に娯楽として拷問に耽っていた。悲鳴は夜通し響き、雌猫たちの尊厳は踏みにじられ、抵抗する者はその場で四肢を断たれる。
「……これが、俺たちの守るべき正義なのか?」 カイルは震え、純白の鎧を纏ったまま動けずにいた。
第四の夜:浸食される境界
四日が過ぎる頃には、恐怖は日常へと成り下がっていた。食事の席では、誰がより凄惨な殺し方をしたかが手柄話として語られる。拒絶すれば「腰抜け」として集団私刑に遭い、同調すればその一味として数えられる。
上官である十人長が、カイルの前に一袋の銅貨と、そして引きずられてきた衰弱した雌猫を放り投げた。 「新兵、これを『配分』してやる。王の慈悲だ、使え」
カイルは拒絶しようとしたが、その時、雌猫と目が合った。何度も使い回され、慰みものにされ続けた末に心が完全に壊れたその顔には、ただ底なしの虚無だけが満ちていた。 自分を助けてくれと請うことも、恨むこともせず、ただ物としてそこに置かれているだけの肉体。
カイルの拒絶を、上官は鼻で笑った。 「すぐに順応するさ。人間なんてのはな、一度その味を覚えれば、自分に嘘をつく方が難しくなる」
その獣のようなギラついた目と、雌猫の虚無に満ちた顔。その二つが、カイルの脳裏に消えない焼き印を押し、眠るたびに闇の底から彼を監視するようになった。
第七の夜:黒衣の騎士への変貌
そして一週間が経った。 空腹と不眠、そして「自分だけが潔白でいること」への限界が、カイルの精神を内側から食い破った。故郷の母の顔を思い出そうとしても、あの獣の瞳と、雌猫の虚無の表情が重なり、思考を遮断する。
「……もう、どうでもいい。俺が死ぬか、こいつらが死ぬかだ」
カイルは、足元に転がされていた雌猫を乱暴に引き寄せた。かつて慈しんでいた倫理観が、音を立てて崩壊していく。
翌朝。最前線に整列したカイルの姿に、かつての清廉な新兵の面影はなかった。 彼が纏う純白の鎧は、もはや白を保ってはいない。幾重にも塗り重ねられ、時間が経ってどす黒く変色した血が、鎧の隅々までを覆い尽くしている。 その姿はさながら、地獄から這い出してきた黒衣の騎士団。
「王のために。……俺たちが飢えないために。パウリアをすべて奪い尽くせ」
カイルは虚ろな瞳で空を見上げた。そこには、王ソストラダーニエが掲げる「平等な略奪」という名の理想が、黒と白の旗印となって冷酷にたなびいていた。
救済された貧民たちが、最も残虐な略奪者へと変貌を遂げる。組織化された暴力というマクロな力学が、一人の若者を、完全な「殺戮兵器」へと作り替えた。
もしよろしければ、ブックマークよろしくお願いいたします。




