6
「ジローちゃん以外な」
「!」
ジローさんの方を見ていたからだろう。
ハイジは、私が「ジローさん」と言う前に釘を刺してきた。
「な、なんで?なんでジローさんダメなの?」
「ジローちゃんじゃ、デートになんねえだろ」
確かに。
もしジローさんとデートするとしても、行くところはわかってる。
普通なら服やアクセサリーを一緒に見たりするところを、彼とならペットショップで首輪とかおもちゃを選んじゃったりするんだろう。
ジローさんは喜ぶだろうけど。
公共の場で首輪つけられたりしちゃったらマズい。
犬用の服とかお菓子とか買われても困る。
そのまま、大きい公園とか広場に行っておさんぽするのがオチだろうな。
一般的なデートとは、かけ離れている。
だったら……誰がいいんだろう。
ハイジはないな。
こんな調子でヤツとデートなんて、とてもじゃないけどそんな雰囲気にならない。
タイガもない。
こんなエロの塊と一日中一緒にいたら、私までエロテロリストになってしまいそうだ。
飛野さん……が一番まともに扱ってくれそうな気はする。でもほとんど話したことないし、どうしてもデートするという対象にならない。
お子さまな私とじゃ、飛野さんを疲れさせるに決まってる。
ケイジくんはどうなんだろう。
正直、よくわからないしなぁ……。
っていうかそれ以前に、疑問が一つ。
これ、すごく重要だと思うんだけど。
少し遠慮しつつ、口にした。
「みんな……彼女いないの?」
ふいに浮かんだ疑問。
この人達に、“彼女”がいるのかどうか。
今まで気にしたことはなかった。
話題に上がることもなかったし、向こうから話すこともなかったから、自然と触れずにきた。
ジローさんはいないのがわかってるから、余計に。
もしジローさんが女嫌いじゃなく、イケイケなにーちゃんだったら。
“彼女”がいるのか、どうしようもなく気にしてただろう。
まあ、ジローさんがフツーにイケイケにーちゃんだったら、私は彼らとこうやってこの場所にはいなかっただろうけど。
ハイジが「デート」だなんてとんでもないこと言いださなければ、知ることも聞くこともなかったであろう、彼らの“恋愛事情”。
彼女がいるからって、何かが変わるわけじゃない。
「ふーん、そうなんだ」と思うだけ。
でもね。
デートするのなら、相手に彼女がいたらダメじゃん。
私だったら仮に彼氏がいたとして、他の子とデートするなんて、絶対イヤだ。
「いるに決まってんだろ」
タイガがさも当然とばかりに、答えた。
いるんだ、なんて思ってたら「日替わりの彼女がい~っぱいな」と付け加えられる。
何となく予測できた回答だった。
エロキングなくせに顔だけは一流なんだから、女の子にはモテるらしい。
遊びまくってるらしい。
「……ハイジは?」
「いねえ」
即答。
それが、意外だった。
コイツも何だかんだで女の子に人気あるから、いるのかなって思ったのに。
「ウソつけ。お前あのコどうなったんだよ、リナちゃんだっけ?昨日泊まったんだろ、あのコんとこ」
「……余計なこと言うなよ、クロちゃん」
……なんだ、いるんじゃん彼女。
バツが悪そうに視線を逸らすハイジ。
なんでウソついたんだろう。
隠す必要なんて、ないのに。




