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3



お騒がせ五人衆は昼休みになっても学校中で話題になっていて、あちこちで彼らの名前が飛び交っていた。


とはいえ、飛野さんは迷子になるだけで特に被害を出してるわけじゃないから、お騒がせは四人かな。



「タマ……ももちゃん、みんな待ってるよ」



私の教室にやってきたオシャレヤンキーかっちゃんが、キューティースマイルでそう告げてきた。

いつものクセで「タマ」と呼びそうになったのがわかって、ちょっとだけドキッとする。


小春や他の子達の前ではやめてほしいとお願いしているから、彼は本名で呼ぼうと頑張ってくれている。


それでもまだ慣れないのか、「タマ」って言いそうになるかっちゃんにヒヤッとする。


「みんな」っていうのは、たぶんあの五人のことだろう。飛野さんはいるかわからないけど。



そもそも、あの大教室でヤンキーレンジャー五人が全員揃っているのを、私はまだ見たことがない。


赤がいなかったり、緑がいなかったり、金がいなかったりで、ジローさん以外は誰かしら欠けていることが多いのだ。



「ももちゃんに、とっても重大なお知らせがあるらしくてさ。ハイジくん、すげーワクワクしてたよ。早く行ったほうがいいかも」



キュートな笑顔のまま、かっちゃんはとんでもないことをさらっと言ってのけた。



重要なお知らせ?ハイジが私に?

それもワクワクしながら!?


それって私にとっちゃ、とーっても良くないことよ!!絶対そうよ、そうに決まってる!!


だってハイジだもん、マリモ星人だもん、緑の悪魔なんだもん!!



今までヤツがワクワクしながら、私に何か良いことしてくれたことある!?



アイツが絡んでくると、ロクなことがない。


あの屋上での出会いからして、不幸の始まりだった。



私の平和な日々をぶっ壊してくれたあの男が、次は何を企んでるっていうんだ。



また波乱に巻き込まれる。

悪魔の世界に、引きずり込まれる。



「い、行きたくない」


「え?ダメだよ。行かないと、みんなここに来ちゃうよ?」



落ち込む私に、かっちゃんはきょとんとした顔で、脅しとも取れる一言を添えてきた。


その言葉は見事に私のハートを直撃してしまう。


大打撃を受け、私はフラフラとあそこに向かうしかなくなった。



「あ、克也くんだ」


「小春ちゃん何してんの?」


「今ね、新作のお菓子をももちゃんと食べてたとこだよ。克也くんにもあげる!はい、あ~ん」


「え!あ、あ~ん……」



教室の入り口に立つかっちゃんを見つけると、小春もすぐに駆け寄ってきて、さっきまで一緒に食べていた「ドスコイちょんまげ」という和風チョコ菓子を差し出した。


小春は少し天然なところがあるから無邪気に「あ~ん」をしているけれど、かっちゃんはかなり照れて、きょろきょろと視線を泳がせている。


可愛すぎる。


この二人があまりにも尊くて、至近距離で見ている私はキュン死しそうだった。


最近も仲良く一緒に登下校しているらしく、どうやらけっこう親密な関係みたいだ。



ここまで小春が懐く男の子は、かっちゃんくらいじゃないんだろうか。

小春が男子と親しげに話すイメージがなかったから、余計に新鮮に映る。


波長が合うのかもしれない。

お互いキューティーだし。


かっちゃんは性格も荒っぽくないし、口調も他のヤンキーさん達に比べると柔らかい。

だから小春も怖がらないのかも。


……今度、こっそり聞いてみよう。

小春がかっちゃんのことを、どう思っているのか。


そんなことを密かに考えながら、私は観念して、ジローさん達が待つキングダムへと足を向けた。





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