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「そうムキになんなって。オメーよォ、アイツを舐めんだろ?バージンじゃわかんねーだろうから、どうやったらご主人様を喜ばせられるか、俺が手ほどきしといてやるよ」



怪しい笑みを浮かべるタイガに、身の危険を感じる。


身構える私の耳元へ、ヤツはわざとらしく顔を近づけてきた。




「────」




低音の声で、そっと囁かれた言葉。



次の瞬間、ボンッと燃え上がるほどに首まで赤く染まった私を見て爆笑すると、タイガはひらひらと手を振り二年生の教室へと去っていった。



し、信じらんない……なんて過激なこと言うのよアイツ……!!!



危うくエロエロ攻撃で爆死するとこだった。


放送禁止用語連発のエロキング。



ヤツのセリフには、ほとんど“ピー”という効果音が入ってもおかしくない。それくらいエロい。


もう歩く公害なんだから、いっそのこと全身にモザイクかけたほうがいいんじゃないかと思った。



それから気を取り直して教室を目指していると、前からきた男子と肩がぶつかり、私は少しよろけてしまった。




「ごめんなさ──」


「いってーなブス!どこ見て歩いてんだよ!!」




謝ろうとした言葉を、怒鳴り声がかき消した。


男の顔には苛立ちが浮かび、吐き捨てるように私を睨む。



なに……?

ちょっと肩が当たっただけなのに、なんでここまで言われないといけないの?


謝ろうと思ったのに。




「……そんな言い方って、ないんじゃないの?」


「はぁ?本当のこと言って何が悪いの~?」




いやらしく口角を上げるその男子は、私を見下して、バカにした態度だった。




「ちょっとぉ、やめなよ~。イジめられたとかって、先生にチクられちゃうよ?」




クスクスと不快な笑い声を含ませながら、隣の教室から出てきたのは──


本城咲妃だった。



その後ろには、あの日と同じ笑みを浮かべた田川。


二人並んだ顔を見た瞬間、屋上での光景が脳裏をかすめる。



そうだ、この男子は田川とよく一緒にいるヤツだ。



だから、私にわざとぶつかってきたんだ。




「マジ?やっべ~、俺ワルモノになっちゃうじゃん」




ゲラゲラと下品な笑い声が、廊下に響き渡る。



もう、大丈夫だと思ってた。傷は塞がったんだって。


田川のことが好きなわけじゃない。

どうしてこんな男を好きだったんだろうとさえ、思う。



それでも……あの頃の想いを平気で踏みにじられたことが、ショックだった。



悪意を持って「ブス」って言われて、傷つかない女の子がいると思う?


私だって、傷つく心はあるんだよ。



塞がりかけた傷を再び抉られるようで、言い返せない自分が惨めだった。



何でもないフリして通り過ぎよう。


そう……何でもないコトなんだ。




本城さんたちに背を向け、足を踏み出そうとしたその時だった。




「ってぇ!何すんだ、よ……」




ドサッと鈍い音が響いた。


反射的に振り返ると、さっき私に悪態をついてきた男子が、床に尻餅をついている。



そして、

その前に立っているのは、真っ赤な髪のヤンキー。



ハイジと同じ顔の、彼。




「あー、すまんすまん。チビすぎて見えんかったわ」




ゾクリとするような笑みを浮かべながら、

尻もちをついている男子を見下ろしていたのは、ケイジくんだった。




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