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「飛野さんオハヨーゴザイマス!!」
元気のいいおにーさん達に、「おう」と飛野さんも返す。
ヤンキー丸出しな彼らのせいで、一気に注目を浴びてしまった。
っていうか、なんでハイジやジローさんだけじゃなく、この人達まで真面目に朝から登校しちゃってるの!?
真面目週間とか作っちゃってんの!?
今までこんな早朝から、ヤンキーなんて見かけたことなかったのに!
どう考えてもこの派手な集団のなかで、浮きまくりな私。
じろじろ付きまとう周囲の視線に耐えられなくなり、さっきと同じように、この輪から逃げ出した。
「あ、おい!!なんで逃げるんだ!!」と飛野さんの声が追っかけてきたけど、心の中で謝って、私は彼らの前から姿を消した。
昇降口まで走りきると、額に汗が滲んでいた。
普段運動しないから、すぐ息があがる。
靴を履き替えようと、何気なく二年生の下駄箱の方を見ると──
眩しい金髪が、とーってもダルそうに現れた。
エロキングまでもが、もう学校に来ていたのだ。
今日はなんてついてない日なんだろうと、先行き不安になった。
私とタイガの距離は、数メートル。
とろんとした目のタイガは、ハイジ同様すごく眠そうだった。
マジで意味わかんない。
こんな時間に金髪まで見かけるなんて。
タイガはすぐに数人の女子に囲まれた。
するとしまりのなかった顔に活気が戻って、女の子にヘラヘラ対応していた。
ヤツも顔だけ星人なんじゃないかと思うと同時に、みんなあのエロキングのどこがいいんだろうと、本気で不思議だった。
そんなことをぼんやり考えて、金髪を眺めていたら──視線をこちらに向けたタイガと目が合ってしまった。
反射的に『げっ』という顔をした私に、タイガはビッと中指を立ててベロを出してきた。
完璧に挑発されている。
私も負けじと親指を立て、くいっと下に向けてやった。
それからさっさと靴を履き替え、タイガとは関わらないように教室へと足を速める。
それなのに。
「お前今日のパンツ、イチゴ柄だろ」
「っ!」
背後からの声に、立ち止まらざるを得なかった。
「な、ななな、何で知ってんの!!?」
ニヤニヤしたタイガが、廊下を歩く私の隣に立った。
「オメーの顔に『イチゴちゃんパンツはいてますぅ』って書いてあんだよ。もっと色気あるやつはけよ、タマちゃんよ~。そんなんじゃジローを落とせねーぞ」
「うるさいな!!あんたにパンツの忠告なんてされたくないわ、ヘンタイガ!!」
っていうか私そんな顔してる!?
『イチゴちゃんパンツはいてますぅ』なんて顔してるの!?
もしそうだったら、みんなに私がイチゴちゃんパンツはいてんのバレバレじゃん!!
『アイツのパンツ、イチゴ柄らしいぜ~』とか噂されてたら死ねる。




