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「ねえ、見て!白鷹くんと、ほら、1年の双子の子……えーっと、緑のほうって誰だっけ?」


「ハイジくんだよ!」


「そうそう、ハイジくん!!朝からこの二人見られるなんてラッキーだね~!」


「眼福だわ……」




後ろの方から聞こえたその会話に耳を澄ますと、話題はまさに目の前の銀と緑の二人だった。


誰が話してるのかと思って、そちらに顔を向けると同じ学校の制服姿の女子が二人、私たちより少し後ろに立っている。



彼女たちはジローさんとハイジを見てはしゃいでいて、そのうちの一人はハイジの名前を覚えていないようだった。



「ねぇ……横のコ誰~?」


「さぁ」


「まさかどっちかの彼女じゃないよね?」


「えー……ありえない。全然可愛くないじゃん。あんなコじゃ二人には釣り合わないって」



次の標的は私らしかった。

彼女たちは声を落とし、眉を寄せて、ジローさんたちに向けていたのとは明らかに違う視線をこちらへ向けてきた。


ばっちり会話が聞こえちゃうところ、私もけっこう地獄耳なのかもしれない。



噂の当人であるジローさんとハイジは、まだなにやら言い合いを続けていて、自分たちが話題になっているとは露ほども気づいていないらしい。




私は思った。


逃げるなら今のうち、と。



やはりこの二人は目立ちすぎる。

髪の色だけじゃなく、存在そのものが人目を引く。


このまま一緒に学校に行けば、私は学校中の女子を敵にまわしてしまう。


火あぶりや釜ゆでや串刺しや、その他にも身の毛のよだつような拷問が待ち受けているかもしれない。



……よし。


逃げよう。



私は決意すると、ハイジとジローさんを置き去りにしてダッシュでその場を駆けだした。



「はぁ、はぁ……つ、疲れた……」



学校まであと少しというところまで、スピードを落とさずに道を駆け抜ける。


体力の限界がきて、ようやく立ち止まって後ろを振り返った。




「よかった、来てない」




夢遊病ジローさんとマリモ星人は、追ってきてはいなかった。


ホッと息を整えて、再び歩き出す。


余裕で間に合う時間なのに、なんでこんなにも全力疾走せにゃならんのだ。


それもこれも、ハイジが突然迎えに来たりするからだ。


結局ハイジが何しに私の家まで来たのかは、最後までわからなかった。




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