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しばらく飛野さんは、タイガと話し込んでいた。


五分ほど経って話がついたのか、飛野さんは電話を切った後「アイツの口は凶器だ」とげんなりしていた。飛野さんも苦労するなと同情してしまった。



そういえば、飛野さんはどうして入院していたんだろう。見たところ、特に体調が悪そうではないし病弱というわけでもなさそう。



退院したということは治ったんだから元気でもおかしくはないけど、今まで病気してましたって感じでもない。



病気じゃなくて、怪我で入院してたのかな。



一応飛野さんもヤンキーなんだもんね、ジローさん達と仲良いってことはそうなんだよね?




喧嘩してひどくやられちゃったりしたんだろうか。





一人で飛野さんの入院の原因を推測していると、当の本人である飛野さんが私をじっと見つめていた。




「……お前……」




真っ直ぐな瞳に射抜かれて、開かれた唇から出てくるであろう言葉に私はハラハラして仕方なかった。




やだ、私……飛野さんにまで何を言われるの!?



また新たな動物記録を更新しちゃうの!?



今度は何!?魚類!?爬虫類!?植物!?妖怪!!?



いい人そうなこの人にまで人間として見てもらえなかったら、悲しすぎる……!!




「うっす、飛野さんお久しぶりっス!!退院おめでとうゴザイマス!!」




今か今かと飛野さんの発言に心の準備をしていると、校舎の中から白鷹ファミリーのおにーさん達が四人ほど出てきてこっちに小走りで来ると、飛野さんに挨拶をしていた。



そのうちの一人に見覚えがあるなと思ったら、オシャレヤンキーのかっちゃんだった。



可愛らしい顔立ちのかっちゃんは、やっぱり他の渋いおにーさん達からちょっと浮いている。




「おー、元気そうだなお前ら」




私から彼らに視線を移すと、飛野さんはおにーさん達に笑いかけた。



結局飛野さんはおにーさん達と二言三言、言葉を交わして、私に何かを言おうとしていたことはどこかにいってしまったみたいだった。



すごく気になるけど、変な動物に例えられたらショック倍増なので私も飛野さんに聞き返すのはやめた。




そして隣のジローさんはなぜかずっと小春をちらちら見ていて、なんだか落ち着きがない。






「いいな……可愛いな」




またもやジローさんはミツバチジローになりかけ、しきりにそう呟きながら小春に心奪われている。



それから私と小春を交互に見比べながら、彼は一人でうずうずしている。



いったい今ジローさんの頭の中では、どんなジローワールドが展開されているんだろう。

私は怖いもの見たさで、覗いてみたいという思いに駆られていた。



そんなに、小春のこと気に入っちゃったのかなジローさん。




それって……「人間の女の子」として?



だとしたら、白鷹ファミリーのみんなが泡吹いて倒れちゃうような大革命だと思う。



っていうか、ジローさんが普通の女の子と接しているとこを私は見たことがない。

話しかけられたりしたら、どうなっちゃうんだろう。


真っ赤になって無視したりするのかな。



ジローさんの女嫌いって……どういうレベル!?



待てよ。根本的なことだけど……女の子に興味はあるの!?異性は好きなの!?



まさか、男の人が好き……とかじゃないよね!!?



肝心なとこ聞くの忘れてた……!!



いや、でも違うと思う。違うと信じたい。違うはず。




「違いますよねジローさん!?」




ついぽろっと、疑惑をジローさんに突撃リポートしてしまった。



けっこう私も意味不明発言しちゃってるよね、ジローさんと同じくらい。



当然、ジローさんに「何言っちゃってんのお前」的な白けた目をされると思っていたのに。





「違わねえよ」





えええええ!!!



キングは即答だった。



「何言っちゃってんのお前」って目だったけど、それは「何当たり前のこと聞いちゃってんのお前」の意味だった。



ジローさんが私の頭の中を読んじゃったことよりも、あっさり肯定された事実の方がショックすぎて、なんかもう倒れそうだった。





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