表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
60/120

17




「お前がこんなくだらねえことに顔見せるだけで、どれだけのヤツらに影響を与えると思ってる。周りに、どれだけの被害が出ると思ってる」




厳しい声色だった。表情も同じくらいに。



それでも、ジローさんは飛野さんを見ようとはしなかった。無言で、彼の話を受け止めていた。




また、不良界の話なのかな。




タイガの言っていた“ルール”も、飛野さんの話に繋がるんだろうか。



ジローさんがケンカしちゃうことって……そんなに重大だったの?



沢山の人が、どうにかなっちゃうの?

被害って……何?



私、ジローさんにお願いしちゃダメだったのかな。もしかして、とんでもないことしてしまったのかな。



自分がしたことの大きさが見当もつかなくて、急に不安になってきた。




「飛野さん、退院早々説教かよ。ジジくさくなったな」


「ジロー、お前なぁ……」




顔だけを動かし、ジローさんは飛野さんを横目で捉える。



うんざりとしたその声に、飛野さんは拍子抜けしたようだった。





「くだらなくねえから、ここにいるんだろ。動かなきゃならねえ時だってあるだろ」





そこにいたのは──おさんぽのジローさんじゃ、なかった。




白鷹次郎だった。




真剣な眼差しで、飛野さんに強い意志を示す。




キングの威厳が垣間見えたような気が、した。





ジローさん、本気で考えてくれたんですか?



くだらないことじゃないって、ジローさんは思ってくれたんですか?



本当は行っちゃいけないってわかってて、助けてくれたの……?



私がジローさんじゃないといけないって、お願いしたから……?



思い上がりかもしれない。


そうじゃないのかも、しれない。




だとしても……




私と小春を救ってくれたのは、事実だから。






ジローさん、ありがとう。






今のジローさんは、紛れもなく──






ヒーローです。








この時私の目には、ジローさんは最高にカッコよく映っていた。



夕日を浴びて黄金色と溶け合う銀髪も、綺麗な横顔も一枚の絵のようで──


心を奪われている自分が、いた。





「へぇ……お前が決めたのか。お前自身が」





感嘆の声を漏らす飛野さん。



単純に、嬉しそうに顔を綻ばしていた。




ジローさんが自分の意思で行動したこと。



それが飛野さんの中では、重要な意味を持つのかもしれない。



飛野さんはニヤリと不敵な笑みを浮かべ、私たちに視線をよこす。

その後、ジローさんの肩に腕を回し、一方的に肩を組んだ。




「俺がいねえ間に色々あったみたいだな。後でゆっくり聞かせてくれよ」


「イヤだ。俺は寝るんだ」




ウザそうにするジローさんに、飛野さんは「生意気なとこも変わってねえな」とか「無愛想だ」「敬語を使え」「俺を敬え」「クソ生意気なクソガキめ」「生きてんのか」「実は人間の皮被ったナマケモノだろ」「このものぐさタロウ……じゃねえ、ものぐさジローが」だとか散々罵っていた。





そ、そんな!!



どうしよう……この美麗なお顔が実は作り物で、ジローさんの背中にはファスナーがあったりしたらどうしよう!!



「ふ~今日も一日頑張った」とか言って汗を拭うナマケモノが、『ジローさん』の皮を脱いで中から出てきたりしたらどうしよう……!!



ジローさんの着ぐるみって何着あるの!?毎日換えてるの!?洗濯とかしちゃってるの!?





「だいたい、あんた来んのが遅えんだよ。もっと早く来いよ。今来ても意味ねえだろ」




飛野さんの数々の暴言を華麗にスルーしたジローさんは、もう本当にどうでもよさそうに飛野さんを受け流していた。



よかった、ジローさんは普通だった。



「はっはっは、バレたか」とか言って皮を脱ぎ捨てなくてよかった……!!




“白鷹次郎、ナマケモノ疑惑”が晴れて、私は胸を撫で下ろした。





評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ