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「ふんだ!タイガのせいで私、とんでもないことジローさんに言っちゃったじゃない!!バカバカ!!」


「何言ってんだよ、お前が腹くくったからジローがソノ気になったんだろ。感謝しろよこの俺に」


「え、そうなの?あれでよかったの?」




きょとんとする私の頭に手を乗せると、




「上出来」




タイガはくしゃくしゃっと撫でてきた。



今度はやらしい笑みじゃなく、屈託ない笑顔で。




タイガらしくないそんな笑顔に、怒る気力が失せてしまう。


まぁいっかなんて思ってしまう、自分がいた。




「あ、私も行かなきゃ!」




タイガとその他大勢のみなさんとやり取りしているうちに、とっくにいなくなってしまったジローさん。

後を追うために立ち上がって、私も教室を出ようと駆けだした。




「タマ、お前が行ってどーすんだよ。犬っころは大人しくご主人様の帰りを待っとけよ」




背中にかけられたタイガの言葉に、一旦立ち止まって振り返る。




「私、小春のとこに戻らなきゃ。約束したんだもん!それに無事かどうか心配だから。早く安心させてあげたいの!」




きっとタイガは邪魔になるって言いたかったんだろうけど、私はじっとなんかしてられなかった。



小春は一人なんだ。

あんなガラの悪い男達に捕まって、ひとりぼっちで……どんなに心細いか。



タイガは「トモダチ思いだね~」とだけ言って、別に止めようとはしなかった。




「ねぇ……魁帝のヤツら、三人もいるんだけど……ジローさん、大丈夫かな?」




急に不安になって、タイガに聞いてみた。



だってジローさん、見た目はそこまで喧嘩が強そうに見えないから。



あんなに美形で、スタイル良くて。

全然ごつくないから、心配になった。




「なぁにいっちょ前に、んなこと気にしてんだオメーは。なんでアイツがここにいると思ってる。なんで俺達が、ここにいると思ってんだ」




はぁっとため息を一つついて、タイガがかったるそうに答える。





「強えよアイツ。ムカつくくらいな」





偉そうにソファーに座りながらも、タイガは面白くなさそうな顔をした。




それだけで、十分だった。

タイガがそう言うなら、ジローさんは大丈夫なんだって思えた。



私は「ありがとう」の代わりにタイガに笑顔を見せて、教室を後にした。




ダッシュで階段を駆け下りて、昇降口を出る。


少し日が暮れて、太陽のオレンジ色の光が辺りを染めていた。



グランドを歩くジローさんの後ろ姿が目に入って、私は彼に何とか追いつくことができた。



下校する生徒が少数だけれどいたにも関わらず……というよりも、今は周りの目なんか気にしてられなくてジローさんに話しかけた。




「ジローさん、あの、気をつけてくださいね。危険な人達だし……」


「お前のトモダチ、可愛い?」


「は?え、あ、可愛いですけど……」


「楽しみだな」




何が!?




私の心配なんかよそに、小春が可愛いかどうかを尋ねてきたジローさん。



それを聞いてどうするんだろう。



可愛い女の子のほうが、やる気上がるから!?



まさかそんな……!!

ハイジやタイガならまだしも、大の女嫌いのジローさんが一般男子のような期待をするはずないのに!!



いったいどうなってんの!?



しかも「楽しみ」って何!?



小春を救出した後、彼女に何かしようと企んでるの!?口説いちゃう気!?ナンパ!?小春もペットにしちゃうの!?



いやジローさんに限って、そんな命取りな行動に出るハズがない。



何があったのかな……知らないうちに女嫌い治ってたとか?



そうなの?ジローさん、どうなってんのおおお!!




隣を歩くジローさんの横顔を見上げ、ギンギンと怪しい視線ビームを送る。



当然ジローさんがそれに気がつくわけもなく、彼はいつものポーカーフェイスだった。



なのに私には、ジローさんがどこかソワソワしているように見えた。





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