表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
51/120

8



ジローさんが動いちゃいけない理由が、あるんだろうか。


彼らにだけしかわからないような、何かが。


けど今考えたって仕方ない。わかりもしないことを考えたところで、謎は解けない。



それより早く、早く小春を……




「相手が悪い。魁帝ってのがな」




まるで私の心を読んだみたいに、トラさんがタバコを灰皿で揉み消しながら静かに話し出した。




「下っ端だからだとか、そんなんどーだっていいんだよ。問題は相手が魁帝のヤロウだってことだ。ルールを破りやがった」


「……どういうこと?」


「タマちゃん、お前にゃ言ったところでどーしようもねえよ。諦めてセンセーに泣きついてこい」


「ダメだよ!そんなことしたら、小春がヒドイことされる!!ジローさんじゃないと、ダメなの!!」


「そうか。そりゃ残念だったな」


「っ、!!」




何よ……普段はえっちなことしか言わないくせに、肝心な時は冷たくて……何なのよ、なんで不良やってんのよ!!


不良は喧嘩が十八番じゃないの!?




「バカ!!トラさんなんか大っ嫌い!!変態バカ!!トラさんなんか、始めっからアテにしてないんだから!!」


「おい待てコラ。てめえ言ってくれんじゃねえか。バージンのくせに口は達者だな」


「か、関係ないじゃん!!」


「それとトラっていうな。ステキで無敵なタイガ様と呼べ」


「やだ!!エロキング!!変態タイガ!!」


「上等だお前、犯すぞコラ」


「いひゃひゃひゃ!!」




思いっきりほっぺたを両側からむにーっと変態キングに引っ張られたから、仕返しにわき腹をこちょこちょしてやった。



すると、思いっきり後ろに飛びのいた変態キング。



ふん、いいじゃない!“タイガ”って呼んでやるわよ!ステキでも無敵でもないけどね!



「バカヤロウ、やめろ!!」と焦った様子のタイガを見て、私は閃いた。


このエロ大王の弱点を、発見したかもしれない。




ああ、こんなことしてる場合じゃない!!変態と遊んでる場合なんかじゃない!!




「ジローさん、小春は……私の大切な友達なんです」




タイガはほっといて、ジローさんにもう一度声をかけた。




「本当に優しい子で……私を何回も助けてくれたんです。すごくいい子なんです!!お願い、どうしても助けてほしいんです!!ジローさん!!」




頭を下げて、全力で彼に頼んだ。他にいい方法が思いつかない。


 

頼み込むしか、ない。




「だから?」




やっと口を開いてくれたと思ったら、残酷な一言。



顔を上げて、ようやく彼と目が合った。



次の言葉がノドまで出掛かっていたのに、それを引っ込めてしまうほどに、ジローさんの目は冷め切っていた。



ダメだ。この人は、何がなんでも動いてくれない。



私の祈りは……通じない。




これがジローさんの本当の姿、なんだ。




「……あんなぁ、言ったろ?ジローを動かしてえなら、それなりの“理由”がいる。何の“得”もねえのに、コイツがほいほい言うこと聞くわけねえだろうよ」




絶望に打ちひしがれる私に、ニィっと笑ってみせるタイガ。



“ヒントはやったぞ。後は自分で考えろ”と、私に伝えるように。




得……ジローさんにとっての、得。


………………


…………


……わかった!!そういうことなんだ。



ジローさんに助けてもらうには、ソレしかないんだよね。



なんてことない、小春のためなら。

それくらい、どうってことない……はず。



私は覚悟を決めて、ジローさんに決意の眼差しを送りつけた。




評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ