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どうして、私達なの?
ううん、意味なんてない。ただの偶然。
運悪く、あいつらの目に留まっただけのことだ。
ジローさん……帰ってないことを祈ろう。
だけど相手は三人もいるのに、ジローさん一人で大丈夫なのかな……あんなに凶悪そうな奴らなのに。
でもヤンキーのボスなんだもん、強いんだよね?
これだけ有名になるんだから、そうなんだよね……?
息を切らして、階段を駆け上がって四階まで行く。
足がもつれそうになりながらも、あの大教室を目指した。
心臓が痛い。胸が苦しい。
「ジローさん!!」
勢いよく戸を開け放すと、真っ先に目に飛び込んできた銀色に安堵した。
よかった……帰ってなかった。
ソファーに座るジローさんは、犬の雑誌を読んでいた。
彼の向かいには、金色もいた。
「……タマ!」
「お~、犬っころじゃねーの。どーした、主人が恋しくなったか?」
雑誌から顔を上げて私を目にすると、ちょっぴり意外そうな表情をするジローさん。
能天気に笑う、トラさん。
放課後に彼らと会うのは初めてだったけど、いつもと変わらない光景だった。それにどこか安心している自分がいた。
ジローさんは「夜の散歩に行きてえのか」とか「腹減ったのか。エサか。買いに行かねーと、ここにはねえぞ」だとか言いながら、何だかうずうずしている。
けど今はそれどころじゃない、犬ごっこをしている場合じゃない。
ジローさんに助けてもらわないと……!
「ジローさん、あの、私ジローさんを呼んでこいって言われて……!」
呼吸を乱しながらも、必死にジローさんに伝える。
余裕なんかなくて、何とかして欲しい一心で彼に訴えかけた。
「……誰に」
私の言葉に、僅かにジローさんの声のトーンが落ちた。
その顔つきも心なしか、鋭くなったような気がする。
「校門のところに魁帝の人たちが待ち伏せしてて、それで捕まって……」
「魁帝が?……アイツら、何考えてんのかね。桐生もナメられたもんだな」
答えたのは、トラさんだった。
能天気な笑いが、少し控えめな笑みに変わる。
キリュウ……?
「ほっとけよ、どーせザコだろソイツら。ハミダシもんは勝手に自滅するからよ」
トラさんの言っている意味が、よくわからなかった。
大したことでもないというように、彼はタバコを手に取って、吸いだした。
切羽詰まっていた私には、トラさんに構ってる時間もなくジローさんに目を向ける。
「ジローさん、私の友達が捕まってて、ジローさんを連れて行かないと腕を折るって脅されてて……!!お願いします、助けてください!!」
ザコだって言うんなら、ジローさんならどうにかできるよね。
同じような恐いおにーさん達をまとめるジローさんなら、あんなヤツらなんかやっつけてくれる。
心のどこかで期待してた。
ジローさんは助けてくれる。そう思い込んでいた。
「めんどくせえ」
一言吐き捨てて、ジローさんはどかっとソファーの背もたれに体を預けた。
私に、目を合わせてくれない。
冷めた彼の横顔に……希望が、打ち砕かれた。
「え?どう……して?ジローさん、強いんでしょ?不良の王様なんでしょ?アイツらに勝てるんでしょ!?」
狼狽える私にも、ジローさんは口を閉ざしたままだった。
こうしてる間にも、小春は魁帝のヤツらに捕まったままで怯えてるっていうのに。
早くしなきゃと、そればかりが気を急かす。




