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思考が追いつかない。
舐める?ジローさんを、私が?
マジでどこを!?
意味わかんない。
も、もしかして犬がするみたいに舌でペロペロしろと!!?
「ム、ムリです!!そればっかりはできません!!!」
「タマならやれよ」
「私タマじゃないもん、ももだもん!!」
「桃にゃ見えねえよ。反抗すんの?」
くっ、さすがマジシャン……!!手強いじゃん!!
そういえば、私の本名この人に教えてなかったし!!
ジローさんの場合、なんかもう色々と順番めちゃくちゃだ!!
「わかんねえなら、教えてやるよ」
不吉な言葉を残して、私に顔を寄せてくるジローさん。
え、ちょ……何する気!!?
後ろに逃げようとしたものの、首輪を掴まれて反対に先輩の方へ引き寄せられる。
強引すぎるジローさんの行動に、私は硬直しちゃって抵抗なんてできなかった。
がっちりと首輪を握られているから、びくとも動けやしない。
徐々に狭まってくる、先輩と私との距離。
え、ウソ……やだ、何で!?
信じらんない、ハイジの嘘つき!!どこが女嫌いなのよ!!
超積極的じゃんか!!スケベじゃんか!!
美しい顔は、もう目と鼻の先。
キス……されるの?
そんなの、イヤだ。
確かに先輩は絶世の美形だよ。
女の子なら、誰もが憧れるし相手にしてほしいって願うだろう。
キスなんて、どんとこいなのかもしれない。
でも、私はこんなの受け入れられるはずがない。
だって……初めてなんだよ。ファーストキスなんだもん。
私だって、初めては好きな人としたいなんて人並みに思ってるわけで。
一応そんな、乙女な夢を持ってたりすんのよ!!
ジローさんはカッコいいけど、好きな人じゃない。
それにジローさんだって、私のこと好きじゃないだろうしむしろ犬として見てるし、なおさらムリだよ。
っていうかジローフィルターどうなってんだ!!
この人、完璧に私を犬だと思ってる。
本気で、真剣に心の底から。
一つツッコむとすれば、犬は話せないと思うんですけど……!!そこはどうなんですかジローさん!!
色々と考えが頭を巡っているうちに、鼻先がくっつきそうなくらいに近く、ジローさんが迫っていた。
長い睫毛を伏せた、艶めかしい目にクラッとする。
唇が、触れそうになる。
「や……!」
瞬間的に、肩に力が入る。
唇が重なりそうになる寸前で、私はジローさんから顔を背けた。
どうにか、キスは免れた。
ファーストキスは守り抜いた!!
ほっとしたのも、つかの間。
ジローさんの勢いは衰えなかった。彼はそんなことで引き下がる男ではなかったのだ。
もしかすると、キスすることが目的じゃなかったのかもしれない。
顔を横に向けてしまった、私。
ジローさんは私の髪を梳くようにして、耳にかけてきた。
そうすると、彼の目の前には私の耳が露出されてしまったわけで。
なんとこのスケベな不良キングは……私の耳に、微かな息を吹きかけてきたのだ。
「うひぁ!?」
こそばゆくって、変な悲鳴があがってしまう。
びくんって体がちょっと跳ねて、全身が力んだ。
さらには──
耳たぶに、舌を這わせてきた。
「ちょ、やめ……あっ、」
「耳がいいのかよ」
んなこと言ってない!!しかも耳元で喋らないで……!!
な、何なの!?この人本性は、すっごいえっちなんじゃないの!?
こないだキングダムで見せた姿は、何だったの……!!
生温かく柔らかい舌で舐められるたびに、背筋がゾクゾクする。
経験のない変な気分に侵されそうな自分が嫌で、先輩の胸を押し返しても、ちっとも退いてはくれなかった。




